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恋人に不満がある時は、歩け

〝彼氏が休日一緒に出かけるのを渋る〟
〝予定を決めるのに一苦労〟
〝休みの日は昼過ぎまで寝てる〟

こんなお悩みをお持ちではありませんか?という恋愛コラムに目がとまる。はい、それ私です。

今に始まったことではない、付き合い始めた当初から知っていた。それに男女は脳のつくりがそもそも違うから仕方がないともいう。


でも完全に割り切れていない自分もいる。

こういう恋愛コラムの最終的な解決策は、

〝あまり彼を急かさず、責めず、可愛くおねだりしてみましょう〟だったり〝自分の時間を楽しむことにしましょう〟だったり。

それはそう、分かってる。けどだからといって「なーんだ!じゃあ可愛くおねだりしてみよ♡ダメだったら自由時間だし♩」とすぐ納得して切り替えられるかと言われたらそうでもない。

場合によっては烈火の如く、怒り散らかす未来が見える。


違う、違うんだ私が知りたいことは。

出かける出かけないとかもそうだが、それよりもっと根本的な、彼にとって私って?みたいなもやもやした気持ちを、ちゃんと納得して晴らす方法を知りたいんだ。



そもそも、私はどうして彼と出かけたいんだろうか。

〝一緒に楽しい思い出をつくりたいから〟
それは家でもつくれるな。

〝行ってみたい場所があるから〟
別に恋人と一緒じゃなくても行けるね。

〝2人の時間を大切にしたいから〟
普段から大切にすればいいし…。

うーーーん、考えれば考える程、私の中のひ◯ゆき氏が「それってあなたの感想ですよね?」と論破してくる。きぃーっ!!なんてこった、このままだと何にも悪くないひ◯ゆき氏が私の悩みのせいで巻き込み事故をくらってしまう。



どうすることも出来ない気持ちに嫌気が差し、スマホも持たずに家を飛び出し歩き出す。

そうして、ああでもないこうでもないとぐるぐる考えていたら、ひとつの答えに辿り着いた。



〝自分が素敵だなと思ったものを、好きな人にも知ってほしいから〟


これだ!!だから私は彼と一緒に行きたいところがたくさんあるんだ。素敵なもので自分の心が満ちる感覚は、大事な人にも感じてほしくなる。


夕方の薄暗くなった道を、ブツブツ言いながら当てもなく歩いた甲斐があった。こんがらがった思考がひとつほどけた今、ほんの少し優しい気持ちになれた。


気がする。





ここで本題。どうして彼は出かけることを渋るのだろうか。


今の季節はクリスマスにイルミネーション、お洒落なカフェにだって行きたい。世の女性の多くはきっとこういう場所を魅力的に感じてくれると思っている。

恋人となら尚更、一年に一度のこのキラキラした季節を一緒に過ごしたいなんて、大多数でなかったとしてもごく普通の思考だろう。


だが、うちの恋人は一味違う。

クリスマスの話をすれば
「俺キリスト教じゃないし」

イルミネーションに行こうと言えば
「電飾の塊を…?片道2時間かけて…?」

お洒落なカフェに関しては
「どんな顔して座ってればいいか分からない」(当方九州生まれの居酒屋育ち)


すごい、ここまでくると最早尊敬に値する。
こんなに清々しい程キラキラムードをぶち壊してくるのも才能なんじゃないかと思う。


いつもの私だったらこの辺りで凹むかキレるかしているのだが、一度逆の立場で考えることにした。


彼はいわゆる〝ギャンブル〟が好きだ。スロット、麻雀、パチンコ、どれも私からすれば〝楽しさが分からない世界〟である。

では彼に「スロット行こうよ、めちゃめちゃ楽しいんだよ!素敵なところだし!」と言われたとしたら…

私の答えは間違いなく「え〜〜ちょっと…嫌…」だろう。


比較対象が違いすぎる!とツッコミを受けそうだが、あながち大袈裟ではないと思っている。何故ならスロットに出かける時の彼は、キラキラなクリスマスの街に繰り出すカップル達と同じくらい、とてもワクワクしているから。

普段はぐずぐず起きない朝だってシャキッと起きるし、テキパキ準備するし、しばらく帰ってこない。 

それはもう出逢ったばかりの恋する男女と同じくらい、スロットの画面に夢中になっている。


同じ電飾でもあのチカチカがいいんだよ、って
やかましいわ。


つまり、お互い様な部分も大いにある。
界隈は違えど好きな場所へは赴くし、逆に興味も魅力も全く感じない場所へはそりゃ行く気も失せる。


もちろん、なにも彼だって絶対にどこへも行ってくれないわけではない。旅行に行きたいと言えばのってくれるし遠出することもしばしばある。

私が悩んでいたのは、あくまで彼が重い腰を上げるまでの過程だったんだろう。


そんなことを考えつつ夜の住宅街で光る電飾を眺めていたら、煮詰まった思考も段々と落ち着いてきた。





とはいえ、恋人の性分を頭では分かっていても、心が追いつくまでには時間が必要だ。いくら話し合いを重ねたって平行線なままの時もある。


以前の私は頭にきた時、瞬間的に不満も怒りも、とにかく全て伝えていた。何気ない一言でねじれた私の気持ちを、知られずに終わるのが癪だった。


でも、それが良案なわけではないことも歳を重ねるにつれて学んだ。

相手の気持ちが見えないのも、感情に任せて言葉を間違えてしまうことも、お互い様なのだ。

じゃあ、もやもやを抱えた時に私は自分の気持ちをどう彼に伝えるべきなのだろう。


「いいよ、しょうがないもんね」はちょっと強がり過ぎだし、かといって「私はまずあなたのこの言葉に引っ掛かりました。何故なら…」と一から十まで丁寧にプレゼンするのは、相手にとってかなりヘビーだ。

受け取る側が全てということは大前提として、無意識に自分だけを軸にして言葉を選んでいないか。


相手がはっきりと言葉にしていなくても、その背景に隠れた想いが潜んでいないか。


道端に転がっている小石を蹴りながら、逆の立場だったら…とまた想像することにしてみた。



私は恋人に対して怒りの導火線が短い方だと思う。好きというだけで勝手に期待してしまうのがいけないと分かりつつ、

やれ無駄遣いするな、
やれ余計なこと言うな、
やれソファで寝るな布団へ行け…

細かいことまで口出ししてしまっている自覚がある。


どうしよう、うるさいな私。いまさら反省。



では、恋人にくどくど言っていることを全て私が体現出来ているかと言われると、多分そうではない。


その時、彼はどうしてる?


人には無駄遣いするなと言いつつ、コスメを買っちゃった…と言えば「お化粧好きだもんね、いいんじゃない」と笑い、

ついカッとして、絶対言わなくてもいいことを私が言ってしまった時は「ごめん、俺が悪かった」と何故か先に謝り、

ソファで寝るなと彼には言いながら、ちゃっかり自分は気絶してる時は「風邪ひくよ」と言いながらありったけの毛布でぐるぐる巻きにして、部屋を暖かくしてくれる。


…なんだか思い出して泣けてきた。
そうだ、彼はいつだって言葉がヘタクソ過ぎるだけ、態度で私に愛情を示してくれているのだ。


そう思うと、それ以外の彼の〝してくれないこと〟だけに焦点をおいて悩み続けるのが申し訳なくなってくる。


私はいつだって彼に許されているし、ちゃんと愛されている。

どれだけ腹が立っても相手への感謝を忘れてはならないし、言いたいこともちょこっと言いつつ、それ以上のありがとうを伝えられるようにしよう。


それと同時に〝デートをしなくたって傍にいてくれればいい〟と彼が以前ぽろっと言っていたことも思い出し、頭の中の絡まりがするっとほどけた。



急に寒くなってきた。呑気にゴロゴロしているであろう奴がいる家に帰るか。




さて、ここに辿り着くまでにかなりの時間を要したし頭も神経も使った。でも恐らく、彼も私も懲りずに衝突を繰り返すと思う。



これからもきっと私の恋人は一言多いか少ないかだし、出かけるのには腰が重いし、こうして私が帰宅した今も、人が散々悩んでいたとは知らずに楽しそうにゲームに没頭している。

私も多分、一喜一憂だし、口うるさいのは直らないと思うが。悩む度に今日のことを思い出して、考えて、ありがとうを伝えていこう。


〝言葉にされない隠れた愛情〟という些細な悩みの解決よりもきっと、大切なことに気付けたから、いつもより少しだけ優しい気持ちで彼と向き合えそうだ。



最後に。この私の忙しない頭の中を文字にしたnoteを通じて、同じような悩みを持つ人の心がふわっと軽くなったら嬉しい。



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