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宇宙の中の点

私はあまり悩まない人間だと思う。
悩むのは時間にして年3日くらいだ。
昔からそうだったわけでもない。むしろ、中高生の頃は年中知らぬ間にいろいろと抱え込み、答えのでない悩みに悶々としていたように思う。

それでもいつしか、いろんなものに影響を受け、折り合いをつけられるようになってきた。答えは出ない。正解はないことの方が多い。ただその悩みの中で、大人になってきた。私のライフハックはこんな感じだ。

① 誰が悪くなくてもうまくいかないことがある
人間関係がうまくいかない時、誰が悪いのか犯人探しをしてしまうことがないだろうか。自分なのか、相手なのか、その他大勢、はたまた不特定の誰かを必死に探しだして、安心したり落ち込んだりする。
でも、そんなに明確に犯人が見つかることなんてない。人それぞれに正論があって、その正しさはやっかいなことに様々だ。ひとりひとりがよかれとやっていても、うまくいかないことはあるのだ。そう思っていれば、余計な犯人探しをする必要もなくなる。

② 他人に期待しない
人は自分のしたことに対して、無意識に相手に見返り求めているのかもしれない。何も期待してなければ、相手の行為を損得なしに受け入れられるだろうし、そもそも相手は私が何を求めているかなんてわかっていなくてあたりまえなのだ。そして、人に期待するということは、結局自分にもはね返ってきて、自分自身のプレッシャーになり追い詰められる場合もある。

③ 愛情が確立している事
愛する人がいて、その人が自分を愛してくれているという実感。辛いことやうまくいかないことも、根本にその実感があれば精神的安定が生まれる。傷つけられた心も徐々に癒され、今ここに存在していることを肯定できる。いわゆる自己肯定感が高まるということにつながる。家族や恋人、親子でも安定した信頼関係を築けているということは精神的支柱となりえる。

④ 何者でもないことの自覚
私は20歳の時、初めて海外旅行をした。初めてにも関わらず、ホームステイとバックパックをあわせて3週間。友人と3人、初めての土地に英語も学校で習った程度。でも、不安より好奇心の方が勝っていた。異文化に触れ、圧倒的な自然を前にし、今まで自分が生きていた世界がいかにちっぽけであるかを身をもって感じた。自分はなにものでもない、ただの宇宙の中の点だと思った。何者でもない自分を自覚することは、敗北感ではなく、なんと心地よいことだろうか。

ライフハックとは「人生を効率的に・豊かに過ごすための工夫」である。悩みがないことがいいというわけではないだろうが、悩みに支配されない処世術は持っているにこしたことはない。

そう、私はなにものでもない、宇宙の中の点だ。でもそれはかけがえのない点なのである。

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