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30:(組織の話)企業が家族心理学、家族療法を学ぶ重要性②

両立支援という課題

前回の記事
28:(組織の話)企業が家族心理学、家族療法を学ぶ重要性①の続きです。

https://note.com/cherishgrow/n/n54311d40e666

ずいぶん期間が空いてしまいましたが、続きを書いていきます。
前回の記事では女性活躍推進や男性育休推進について書きました。
今回は両立支援について書いていきます。

両立支援はいくつかの表現で使われています。
・家庭と仕事の両立支援
・治療と仕事の両立支援
・介護と仕事の両立支援
などなど。
家庭と仕事の両立支援は前回書きました女性活躍推進や男性育休に関わってきます。出産や育児といかに仕事を両立させていくかということです。
治療と仕事の両立支援に関しては、詳しくは厚生労働省の「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」をご覧いただければと思いますが、、メンタルヘルスやがん、脳血管疾患などを患いながら働く人を企業としてどのように支援していくかを記述しています。
介護と仕事の両立支援は親や家族の介護のために介護離職が増加していることを防ぐために企業としてどのようなことをしていくかということです。
私の父方祖母が認知症になり介護が必要になった時、私の母親が介護を担いました。私の母は同居の息子の配偶者にあたります。もう30年以上前の話ですが、以前はこのような形が一般的でした。しかし厚生労働省の「国民生活基礎調査」(平成28年度)によると、同居の子供の配偶者が介護を担う割合は9.7%となっています。現在は主に同居の配偶者、もしくは同居の子供が担う割合が主となっています。そうなると30代から40代、50代の男性が介護を担うことも多くなり、企業としては働き盛りの人材を介護で失うことが多くなる、というわけです。・・・とはいえ、私自身はちょっとこの文脈は気持ち悪くて・・・以前の息子の配偶者(要するにその家のお嫁さん)が担っていたのであればよかったのか?というとそうではないはずですよね。そっちを良しとしてしまうと今度は女性活躍推進の考え方を合わなくなってきますので。
ちょっと脇道にそれました。
さてこういった両立支援に対して企業として各種支援としての制度を導入していきます。ここでも前回の記事と同じことが言えるのではないかと思うのです。
それは「企業での働き方に関して支援するだけでうまくいくのか?」ということです。

私たちは家族することを学んできていない

これ、どうですか?
皆さんはどのようにして家族を学んでいますか?
もしかすると小学校の道徳の時間などで学んでいるのでしょうか?
私、全く覚えていません。
自然に学んだと思えることはあります。
私の父親は6人兄弟でした。その兄弟の5人は家族全員で毎年私の家に年末や様々な行事ごとに集まっていました。子供の時の私はその時にくる従兄弟たちと仲良く遊んでいました。今、思い返すとその家族の形は様々だったなぁと思います。亭主関白のところもあれば、妻が権力を持っているなぁと思う夫婦もあります。子供への管理が厳しそうな家庭もあればそうでない家庭もありました。また子供の時、友達の家によく遊びに行っていました。特にIくんとは仲良しで週に何度も遊びに行っていたいました。Iくんの父親も母親も強烈な個性の方でその会話も印象に残っています。
そういった生活の中で家族の形を色々みていくことで「家族」についてのイメージを作ってきたいたと思います。
でも・・・この自然に学ぶだけで家族を学んだと言えるのでしょうか?
今の20代30代の世代の方々はどうでしょうか。私の世代(50代)よりも大学などでキャリアを学ぶことや結婚や出産について学ぶ機会は増えてきたと思います。一方多くの「家族像」を見ることについては少なくなっているかもしれません。

結局何を言いたいかというと、本当に両立支援をしようとするなら、仕事だけではなく、家族やプライベートを扱っていく能力を高めなくては両立できないのではないかと思うんです。なのに私たちは家族やプライベートを扱う能力を高める機会は個人の環境や資質に委ねられてきたのではないか、と思うのです。
この能力開発を企業が担うかどうかは議論が必要です。教育分野についても検討が必要であることは当たり前です。しかしながら大事な点は今現在そういった能力開発をする必要があるとするならば何か対策をすることが大事なのではないでしょうか。

「家族する」ことができる個人をつくる

さて、2回にわたって様々な施策から考えてきたのですが、ここで私なりの解決策を書いていきたいと思います。
大きな方向性としては以前にも「仮決めのキャリア論」という記事をシリーズで書いてきました。その中の主張である「会社と個人の関係を再定義する」とも関係しています。
過去の記事はこちらです。

https://note.com/cherishgrow/n/n886b73af0183

この3本の記事の内容はここでは繰り返しませんが、個人のキャリアを会社が丸抱えする時代は終わった、これからは個人が自分のキャリアを考えていくこと、そして個人のキャリアに対して企業は自分たちの事業への参画を照らし合わせて合意をとっていくことがこれからは必要だ、という内容でした。
前述していますが、まず個人の強化としてはキャリアを考える際に両立を含めて考えていくことが良いと思います。
20代であれば、これから家族を持とうと思うのかどうか、持つのであればどのように考えていくのか?
30代であれば、出産や育児、今後の介護の可能性などについて、どのように考えていくのか?
40代、50代であれば、育児の状況の変化(空の巣症候群など)への対応や、介護について、どのように考えていくのか?
もちろん両立で家族について扱うのは、家族を持とうと思う人、思わない人、子供を持とうと思う人、思わない人など、個人の価値観や事情に応じて実施する必要がありますが、大事なのは「仕事だけ」扱って終わりにしない、ということです。
このようにキャリアを考える中で両立という文脈の中で「家族」について学びたい人に学ぶ機会や考える機会をつくることが大事なのではないかと思います。

企業、管理職が家族を扱えるようにする

次に企業や管理職がどうするかです。
私は2つの方法が良いのではないかと思います。
①企業の担当部署の人や管理職が「家族心理学」や「家族療法」などの知見をもつ事によって、両立支援などの各種施策ができるようになる
②企業の担当部署の人や管理職が「家族のプロ」と連携して必要に応じて、その知見を使える環境をつくることで、両立支援などの各種施策ができるようになる。
私は上記二つのうち、どちらがおすすめかといえば②かなと思います。
というのは①で担当部署の方が学んでいくことは現実的ですが、管理職が学んでいくことは難しいのではないかと思うからです。
とはいえ、全く知らないのは問題で、浅くても良いので最低限の知識は持っていると良いように思います。
①を最低限学ぶことと、②の専門家との連携していくのが良いのではないでしょうか?

いかがでしょうか。
個人への対策と企業、管理職への対策でご提示しました。
対策はより自由度を持って、色々な方法があって良いのではないかと思いますが、以前の記事も含めて「企業が仕事のことだけ扱うことの問題点」に関しては一度考えてみていただけると嬉しいです。

今回はここまでとします。
ここまでお読みいただきありがとうございます。

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