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23:仮決めのキャリア論③「会社と個人の関係を再定義する時代」その3

乗り越えていく問題

こんにちは。今回は前回の「仮決めのキャリア論②『会社と個人の関係を再定義する時代』その2」の続きです。前回私が目指している世界観を書きました。それはある会社への提案書の中の一文です。その会社はとても従業員を大事にしており、それこそ家族であるかのように対応しています。しかしながら制度として、これまでの制度では難しい点も多くなり、どうしようかというご相談から私から制度の問題だけではなく、会社と個人の関係をどうデザインしていくかが大事ではないか?ということでご提案させていただきました。下記に再掲します。

社員一人一人が自分のキャリア感を持っている
社員はプロのビジネスパーソンとして「どこに行ってもやっていける」けれど、自分で選択してこの会社で働いている
上司は部下一人一人のキャリア感を把握しており、その支援者として、部下が会社というフィールドを活用して自分の人生を豊かにしていくように関わることができている
そしてそれは社員が好き勝手を言っているのを許しているという甘い態度ではなく、部下のキャリアや人生を豊かにするのと同時に、組織の成果を最大化し、お客様への価値発揮が最大化できるように部下と合意形成をしていく姿勢である
元々のこの会社の良さである家族としての「暖かさ」を残しつつ、個人個人が独立したプロとしての自律性を両立することができている
会社が守り、社員が滅私奉公をするのではなく、独立したプロが自分の意思で会社に貢献し、納得して働いている
このような文化を創るのはいかがでしょうか?

さて、このような世界観を提示しましたが、実際にこの「会社と個人の相互支援関係」を作っていくことを考えるときに、乗り越えていく問題があります。いくつか問題を羅列してみます。

社員側としては
・エスカレーターに乗っているかのようなキャリア感を持ちがち
・自分のキャリアは会社が考えてくれているはずという無意識の依存がある
・会社に適した社内能力を高めてきたため、社外能力が育っていない
・他社や異業種との接触が少ない場合、社会や業界の変化に疎い
などなど

また管理職側は
・自分自身もキャリア感を持っていないため想像ができない
・自分の部下を、良い意味では「無理を言っても良い仲間」悪い意味では「自由に使って良いリソース」と思ってしまう
・部下の面倒を全て見なければいけないという無意識の義務感
・効率化や短期的視点のため、部下の能力が偏ってしまっている
・部下の視野を広げる機会を与えていない

私はよく企業の人事の方に話をするのですが、これは実はある意味「良い会社」だったことを示しているのではないかということです。
社員がこのような状態でいるということは、それだけの「人生に対する安心感」を会社が個人に与えることができていた、ということになるからです。
これってすごいことなんです。ただ、状況が変わったことにより問題となってしまっている、ということだと私は考えています。

「会社と個人の関係の再定義」「キャリア感」を理解する

このような問題を解決するためにはどうしていくと良いのでしょうか?
まず私は前回、前々回で書いたような「会社と個人の関係の再定義」についての理解を進めていくこと、また管理職も一般社員も「キャリア感」を持つことを前提にすること、その上で管理職であれば「部下のキャリアを扱う力」を、一般社員は「自分のキャリアデザインを行う力」を身につけていってもらうのはどうかと考えています。
まとめると下記の内容です。

管理職、一般社員ともに必要な前提として
・「会社と個人の関係の再定義」する時代であるという認識を持つ
・キャリアを考えること、キャリアを自分が作っていくことなんだ、という感覚を持つこと

管理職が持つべき「部下のキャリアを扱う力」として
1:自分のキャリアデザインを行うことができる
2:部下とともにキャリアを「描く力」
3:組織の目標達成と部下のキャリアを重ねる「仕掛ける力」

一般社員が持つべき「自分のキャリアデザインを行う力」として
1:自分の未来を「仮決めで描く力
2:これから起きる出来事を「受け止める力」
3:ワーク・ライフ・イベントを「利用する力」
4:周囲との関係性を「自分のキャリア」と結びつける力

それぞれに細かい内容はありますが、まず全体像としては上記の通りです。

研修だけ行うのは足りないことが多いのです

ここまでの考えをもとにして私は自分のコンテンツで企業向けに研修を行っています。ただこのことを研修だけで行うのは足りないことが多いです。
大事な点は「会社と個人の関係を再定義」することですから、お互いの認識を変えただけでは関係の再定義まで行くかどうかがわからないのです。
管理職と一般社員のコミュニケーションをデザインすること、そこまで行って初めて変化の可能性が高まってくるのではないかと思います。

本日はここまでとします。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
この先の管理職向け、一般社員向けの内容は公開しておりません。
今後有料での公開か、コミュニティのみの公開かを検討中です。
もしご興味がありましたら、そちらを購入かご参加いただけると嬉しいです。
とは言ってもそういった購入とかに興味がなくでももちろん良いです。私としてはこの世界観に少しでも共感していただける方が増えると嬉しいです。
それでは今回もありがとうございました。

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