欧州大学院!ヨーロッパ企業のオファーを蹴ってアメリカ就職する話
(祝)大学院を卒業しました
こんにちは、ちぇるし〜です。2021年の夏からイタリアにあるミラノ工科大学(Politecnico di Milano)で修士号取得のために留学をしていたのですが、実は先日9月に卒業しました。Time flies so fast!あっという間!
私が在籍していたのは一年間のInternational MBAのプログラム。そこにラグジュアリーマネジメント、デザインと経営学を掛け合わせたデザインマネジメント(デザイン経営)などを専門として学んでいました。あまりまだ日本では知られていない専門分野、且つ学位名ですが、日本でも少しずつその存在は知られ始めており、実は経産省(特許庁)などでもデザイン経営が推進され始めていたりしています。日本でも高等教育レベルでこの領域を学べる学校が増えたら良いですね。
また、ラグジュアリーへの理解、感覚をイタリアで学べた事も大変意義深いものでした。少なくとも、日本でラグジュアリーを大学院レベルで学べる場所は想像しがたく、ビジネスパーソンでラグジュアリーの感覚を持っている人も多くありません。
一方で、欧州では男女関係なくラグジュアリーが学べたり、それがMBAプログラムの一部となっており、金融領域で活躍するエキスパートがラグジュアリーを学んでいたりもする訳です。ラグジュアリー = ファッション という概念ではなく、もっと広い領域で活かしていける専門知識でもあります。女性が多いというイメージもありますが、業界に男女は関係なく、マネージャークラスの幹部がわざわざアメリカのマイアミから私の通うミラノ工科大まで一週間泊まりがけで来ているという授業もありました。(加えて、ドバイから来ている学生もいたり。)
その授業を担当している教授は元々品質管理を専門にしていた人で、今では「ラグジュアリーマネジメント」という学問では著名な教授となり、モナコにある大学でも教えているとのことでした。企業との共同研究も盛んに行っているようで、教授であり、ビジネスの現場で何が起こっているかをいち早く掴んでいる人でもあったりという印象です。著名な教授は引く手数多(あまた)であるため、会社を立ち上げ、企業コンサルティングをしながら、教壇に立っているというケースも多かったです。その方が机上の空論にならないので、実践的です。もしくは、生涯ビジネスパーソンとして勤務をしてきて、退職後に教壇に立っているというケースも見受けられました。
私自身がイタリアでどんな学びをしていたのかについては過去のブログでも簡単にまとめてみています。
一年間のMBAプログラム
ヨーロッパの大学院の特徴的なポイントといえば、アメリカでは二年間のMBAが主流な中で、ヨーロッパは一年間プログラムがあるところです。通常二年掛かるものを一年にぎゅぎゅっと圧縮しているので、毎週異なる科目を数個同時に履修し、日々事前課題やケースを読んで準備をしたり、毎週末レポートや試験などに追われていました。計30弱の科目を履修し、500時間の授業を受け、200時間の企業研修・企業とのプロジェクトワークを行いました。私の場合、パリに本社を持つ L'Oréal(ロレアル)のミラノ支社とのプロジェクトを担当し、その中でも CeraVe(セラヴィ)という皮膚科医が監修しているプロダクトのマーケティング戦略を立案しました。イタリア市場やアメリカ発のプロダクトをどうヨーロッパ市場で広めていくかを学ぶ良い機会となりました。
私が通っていたミラノ工科大学のビジネススクールの場合、基本は9時から18時までの講習があり、その後はビジネススクールらしく企業プレゼンや講演会などがあり、帰宅時刻は21時、22時を過ぎることもありました。授業に加えて、イタリア語のレッスンも受けており、イタリアにいるにもかかわらず観光らしい事はできていないなぁという感じの始まりではありましたが、同じ状況に置かれたクラスメイトと一緒に一つ一つこなしていく事で絆も作れたんじゃないかなと思います。
一年間のプログラムだと、学生ならではの長期休暇は祝日以外にはない想定で、最初の3ヵ月でビジネスの基礎固めをし、その後の3ヵ月は各々が選択する専攻科目(私の場合はラグジュアリー x デザインマネジメント)に移行していきます。そして最後の数ヵ月間は企業インターンをしたり、既に年明けの3月頃から企業就職しているクラスメイト(コンサル大手やラグジュアリーブランド、消費財; BCG, バレンシアガ, P&Gなど)もいました。
私の場合はインターンシップがパートタイムのオンラインだったので、5月から卒業する9月までは卒業プロジェクトに打ち込む & 世界各国のスタートアップエコシステムの視察という目的で、ヨーロッパやアメリカを周遊したので、他のクラスメイトよりも夏休みを満喫していたように見えていたかもしれません。本来はここで就活に打ち込むところでもあるのですが、私の場合は従来の就活スタイルがどうもしっくり来ず… 笑 (そうは言うても、一通りはこなしてみたので、ヨーロッパ、特にイタリアでの現地就職についてもお話しする事はできます。)
大学院で学んだ結果
根は真面目な性格なので、追試や単位を一つも落とす事なく、成績も100点満点換算だと96%を取得、わーい!
個人的に一番面白かった授業は、ロベルト・ベルガンティ教授のInnovation Leadershipというものだった。内容としてはリーダー像について考えるもので、十人十色のリーダーシップの形がある事、創造的な批評 Creative Criticism、同じものを見ても人によっては全く違うものを見ている事(例えば、円柱を上から見ていれば円に見えるが、横から見ている人にとっては長方形に見えることから。どちらの見方も間違いではない事、見る角度によってここまで見え方が違う事の例え)など。ハーバードやスウェーデンでも教鞭を取っている先生がわざわざ授業のためにミラノに飛んできていました。
また、コロンビア大学で教鞭を取っているP&Gの元エグゼクティブだったイタリア人の教授に関しては、質問をする事で相手に自分の意見を伝えるデモンストレーションを見せてくれました。真っ向から反論するのではなく、質問をするのです。質問の技巧というもので、価格の交渉術としても実際にチームに分かれてデモンストレーションをして、クラス内で対戦してみた事もある。世界のビジネスパーソンがいかに思考をして、考えているかに触れる事ができた事は大変貴重過ぎるものでした。
ちなみに、↑の授業は完全オンラインの授業で、プロジェクトマネジメントについて学びました。開発工数や所要時間、プロジェクトの時間軸を考えて動く、プロジェクトマネージャーに仕事そのもので、アジャイル開発、スクラムマスターなどについても学んでいきます。
オープンイノベーションなどについてもよく学んできたのですが、中でもあるスイスの銀行にまつわるケーススタディを読んでいたところ、その文中の人が実際にクラスに登場した事もありました。「実はスペシャルゲストが来ています!本人のご登場!」と言わんばかりに 笑 登場した人はイタリア人ながら、スイスの銀行のイノベーション担当としてその分野では未経験ながら抜擢された人でした。経験がないながらもいかに組織内で変革を生み出してきたのかという体験談を話していたのですが、まずはあらゆる部署の悩みを聞き出していく事から始め、信用を培っていったそうな。人柄としてもコミュニケーション力、人間力ともに明るく、誰にも好かれそうな雰囲気を持った人で、この人が言うのならと組織内が動かされていく事を想像するのは難しくなかった。言葉には表しにくいそんな雰囲気を自分の目で目撃できた事には大きな意味があったと思います。
ミラノでの日常
海外留学の醍醐味は授業だけではなく、その国の生活、人々の暮らし方、歴史や分野に触れることにもあります。旅行や観光ではなく、その海外で暮らすという日常、イタリアのミラノでの生活がどのようなものだったのかなかなか想像しづらいものです。「百聞は一見に如かず」というわけで、その生活の一部をこちらでご紹介します。
ランニングイベント
お誕生日会
ラーメンナイト
遠出バストリップ
アペリティーボ(イタリア文化 豆知識)
イタリアで欠かせない文化の一つにディナーの前に人々と軽くつまみつつ、お酒を飲むというアペリティーボというものがあります。
その際の定番のお酒 No.1 はスプリッツ(Spritz)という赤やオレンジ色のカクテルです。日本でもEataly(イータリー)が事業展開しているため、見かけることが今後増えていきそうです。
その他にもイタリア生まれのカクテルは意外と多い…!
その中でも私のお気に入りなのが、下の写真でも手に持っている「Hugo」というワインカクテルです。日本語ではフーゴと書かれてありますが、イタリア語でHは発音しないため「ウーゴ」となります。
お家アペリティーボ
サッカー観戦
ミラノには、インテルとACミランという二つのチームが存在するくらいに熱狂的なサッカーファンが多く、どちらのチームを応援するかは家系によって決まっているという人もいたり、試合に負けるとムードに支障をきたしたりする人もいたりする街です。(一喜一憂している人を時たま見かける。)
自然あふれる街
自然あふれる公園も至る場所にあり、白鳥やカモがよく泳いでいたりします。ミラノはイタリアの中でも大都市ですが、緑も多く、木々に囲まれる住宅街もよく見かけます。休みの日にはただ夕焼けを観に、公園に集まる人も多々。
ミラノファッションウィーク
とにかく、イベントが多いミラノ。デザインウィークというミラノサローネで有名なイベントもあり、日本からそのためだけにミラノに来られる方も少なくありません。音楽、ワイン、コーヒー、ファッション、デザイン、建築… イベントがたくさん。
スイス国境までドライブ
お花溢れる街
わんちゃん天国の街
古い物の循環を大切にする街
クラスメイトのお家でBBQ
クラシックな夜
クラシックな夜を過ごす事もミラノ生活の醍醐味で、オペラや演奏会、バレエなど、クラシックなエンターテイメントを楽しむことができます。イタリアではカラオケ、ゲームセンター、ギャンブル(競馬、競輪、パチンコ)などは見かけません。コンビニもありません。不便かと思いきや、自炊する機会も増えて、添加物を摂取する機会も減りました。むしろ健康なのかも。
ヨーロッパ、 アメリカを巡る
課題やレポート、試験に追われつつも、ヨーロッパにいれる間に周遊する事、人に会いにいく事、土地勘を身に付ける事、自分の目でその街の雰囲気を感じ取ってくる事にはお金に換えられない価値があります。というわけで、ちょっとした時間を見つけてはあらゆる場所へ旅に出ていました。ヨーロッパは格安で飛行機に乗れたり、交通機関を発展しているので、電車でササっと移動できたりで旅行好きにはたまりません。
イタリア国内
コモ
トリノ
フェレンツェ(ルネサンス文化が花開いた街)
ローマ・バチカン市国
ヴェローナ(ロミオとジュリエットの街)
ベネチア(ビエンナーレに駆け込み)
ヨーロッパ
フランス: パリ、ボルドー
スペイン: バレンシア、マラガ (ピカソの故郷)、マヨルカ島
ポルトガル: リスボン
スイス: サンモリッツ、ツェルマット(マッターホルンが有名)、ローザンヌ
オーストリア: バートイシュル、ハルシュタット(世界遺産)、ウィーン、ザルツブルク(レッドブルとモーツァルトの街)
ドイツ: ミュンヘン
デンマーク: コペンハーゲン
ブルガリア: ソフィア (友達の結婚式にて)
イギリス: ロンドン
スロベニア: リュブリャナ
ついでに、授業の一環でアメリカの西海岸に行く機会があったので、そのまま滞在期間を延長させて、アメリカ全土を周遊した事もありました。個人的にはドイツとオランドをもう少し回りたいところ。
アメリカ
サンフランシスコ / ベイエリア
シアトル
ワシントンD.C.
ニューヨーク
ここまで旅行をすると、言わずもがな帰ってきた後はその反動でどこにも行きたくなくなるのですが 笑 その代わりに、日本や他の国から友人がミラノを訪問してくれたりして、比較的楽しく過ごしていました。(私の場合はやっていたインターンシップも全てオンラインだったため、このような事が実現できましたが、他のクラスメイトは基本的に企業のオフィス出勤をしながらフルで働いていたりだったので、私のようなケースはレアだったと思います。旅し過ぎて、クラスメイトからはびっくりされていたかも 笑)
遊ぶ時も全力で
Work hard, Play harder、人の2倍働き、3倍遊ぶを達成できた一年でもありました。「真面目なだけな人生なんて楽しくなーい、いえーい!」と私の心は叫んでいます 笑 仕事もできるけど、人生もちゃっかり充実させてエンジョイさせてこそ、本当の仕事ができる人として認定される。そんな精神は、Red Bullで働いていた時に当時そこにいた社員さんを見て、私が学んだ事でした。一度きりの人生なので… YOLO!(You Only Live Once.)
辛くてきついだけの人生なんてイヤだ!楽しんだもん勝ち!スマートで遊ぶように楽しみながら働く人たちが世の中にはいるんだ!遊び心に目をキラキラさせて働く大人となり、それを背中で語るような人になりたいと私の中の何かが変わった体験の一つでした。ちなみに、ヨーロッパに来てからやりたかった事、野外音楽フェスに行くという夢も果たされました。ビーチで音楽と波の音に囲まれながら、南スペインのラテンな文化に触れた時間、最高にチルで楽しかったです。しっかり学びつつ、人生を全力でエンジョイしている人たちに出会えて最高でした。ビバ、レゲトン!ムーチョ グラシアス!
海外、ネットワークの大切さ
海外大学院へ進学する価値の一つは、繋がりの構築だと考えています。同じ学校を卒業したということで共通項が作られ、違う学部や学校であれど、同じようなハードワークを乗り越えたという事で作られる仲間意識もあるはずです。ここで言う繋がりはタテヨコナナメの関係での事で、学内外や同じ国や言語圏に留まる事なく、学生という身分を思う存分活用するべきです。
年齢や働いてる会社に関係なく、繋がり合えるというのは同じ学生という身分だからこそできる事で、働き出すとどうしても利害関係が発生してしまうような関係も多いのではないでしょうか。
ヨーロッパの特徴で言うと、学校は違っていてもMBA留学生専用のネットワークやイベント、カンファレンス、ビジネスコンテストもあったり、物理的にも近いためヨーロッパはアメリカに比べて別国でもお隣さんという意識があり、心理的な距離感も近い気がしています。
ヨーロッパのMBAネットワークイベントには、学校毎の競技ヨット対抗戦などもあり、開催場所はもっぱらヨーロッパですが、米トップビジネススクールも参加していたりで、このような学校や国を跨いだネットワーキングがヨットを通して行われる事もヨーロッパらしい特徴の一つです。日本ではなかなか語られる事が少ないのですが、ネットワーキングは日常世界からかけ離れた場面でこそ、多く行われているようにも感じられます。
(日本のような名刺交換会なんていうのはなく、仕事とは全く関係のない場面で仲を深めていき、ある程度仲良くなって初めて相手がどんな仕事をしているかを知るという事も多いです。そういう意味では日本語で言われる”ネットワーキング”と、欧州でのNetworkingの概念はやや異なるのかもしれません。会ってすぐに仕事の話をしたり、職業を聞いたりするのは品がないという感覚にも近いです。)
場所はイタリアのカプリ島、スペインのカナリア諸島、ポルトガル、クロアチアなど。日本から海外MBA留学をする場合には、Sailing ClubやRegatta(レガッタ: 競技ヨットやボートの事)というキーワードで事前にネットワーキング情報を調べてみるのも良いかもしれません。ハーバードMBAなどには留学前に、このようなネットワーキングイベント(in ヨーロッパ)が開催されたりもするようです。
海外での就職活動、ヨーロッパ編
さて、ようやく真面目な就職活動の話に入ります 笑 一言でまとめるならば、日本とは全く異なるジョブマーケットでの就活は至難の技でした。まず、イタリアの大学院を卒業する人は自動的に一年間の就労許可ビザが付与されるイタリアでの就職活動を行う事となりますが、(スペインも大学院レベルの学校を卒業すれば、その後一年間は就労許可される。) 非EU国籍という事でヨーロッパでの就職活動ではビザの問題が発生し、自ずと卒業をした学校がある国で最初の仕事を見つけることが一般的です。
第三言語を身に付けるべし
ワーキングホリデービザも日本国籍の場合はあるので、他の国で仕事を探せない事はないのですが、更新が必要な人とヨーロッパ人の場合、且つその国の言葉を話す人が他にいた際にはやはり弱い立場である事には間違いありません。また、繋がりをどこから持つかも大変重要で、大学との繋がりがあるイタリア企業とのやり取りが殆どでした。大手コンサルやMicrosoftやGoogleなどではEU国内の都市で希望を出せますが、その国の言語が話せて、就労が可能なビザを持っている場合のみという条件が付いてくるため現実的にはあってないようなものです。
その国の語学がビジネスレベルでまだ話せない際には、国際的に事業を既に展開しているスタートアップの方が英語が話せるグローバル人材として重宝してくれる印象でした。ちなみに、個人的に驚いたのはMBA取得予定の学生だけを対象にしたリーダーシッププログラムも大手企業にはよく設けられており、全世界のポジションを見かけました。日本ではここまで大々的にMBAに特化した採用を見た事はないのですが、日本に帰国してくる海外MBA卒業生をターゲットにした採用イベントは内々に行われている印象です。
外資系で東京に支社を持つ企業では、そのようなプログラムもあるような気もしますが、ボストンキャリアフォーラムなどで採用活動がなされているようにも思います。
繋がり命の海外就活
海外大を卒業する事は、海外での信用を買うという事でもあります。大学のネットワークで繋がるご縁もあり、その大学の卒業生だから雇うよという雇用主も多い訳です。また、専門の修士号を持つ事も大事で、日本とは異なり、欧米では専攻と関連のある専門職で採用をされる事が殆どです。その点、MBAは網羅範囲が広く、MBAホルダーに絞った採用枠も多く見受けられました。
因みに、アメリカとイタリアでは履歴書の書き方も異なります。アメリカの州によっては、性別や写真、年齢、国籍などは記載してはいけないという法律がありますが、イタリアでは顔写真や国籍などはそう厳しく取り扱われておらず、むしろアピールのためにそれらの情報を載せているテンプレートもありました。
プロから学ぶ、欧州就活のいろは
私が通っていた大学院はビジネススクールでもあるため、入学直後に履歴書 (CV/ Resume) を作り直す事から始め、そこからキャリアアドバイザーとの面談、模擬面接、性格診断のようなキャリア診断、グループワークやプレゼンテーションから見る特性診断、LinkedInプロフィールやSNSから見るセルフブランディング講座など、日本ではこんな事したことないなという振り返りにはうってつけの機会で、ヨーロッパでの作法や当たり前となるコモンセンスの構築など、大変勉強になりました。プレゼンテーションの練習、ワークショップなどもありました。
それでもまだまだ最適解ではないと思いますが、私のLinkedInプロフィールを参考程度に置いておきます。もしくは、Arisa Chelsea Uenoで検索ください。
その結果、日本でもよく知られているイタリアのラグジュアリーブランド、ヴァレンティーノ、モンクレール、グッチなどの採用説明や面接もせっかくなので受けてみたりもしました。手帳で有名なモレスキンもミラノ本社で、そこのデジタル部門から連絡をもらったりもありましたが、大学のキャリアセンター越しにスカウトされたイタリアのスタートアップ(Fin-tech)からオファーをもらう事ができました。留学を始めたのは9月末で、オファーをもらったのは翌年4月末のこと。
日本で経験を積んで海外へと考えてる人は、最初から海外でキャリアを構築する事を念頭に会社選びをするべし。そういう意味では、海外での知名度が自ずと高く、海外の働き方にもまだ近しい外資系での仕事の進め方や実務を積んでおく方が仕事のレベル感を下げる事なく、海外にキャリアをスライドできるように思います。
私自身が考えるキャリア戦略に関しては、こちらにまとめてあります。私自身の体験談である事から、特に日本から海外へキャリアをスライドさせていきたい志向は強めです。
ヨーロッパでの給与基準
まず一言目に、給与交渉はダメ元で必ずしてみる事!!というのも、今回給与交渉をしてみたところ当初提示してきた額の€10,000 (145万前後)も上がったからです。この違いは大きい。イタリア語が話せない非EU市民にも関わらず、合計額もイタリアの標準年収よりも高い€70,000 (1,000万円前後) + ストックオプションで提示してもらったのですが、仕事内容にピンと来ず、イタリアにも長くいたいのか分からなかったため、オファーレターにはサインしない申入れを行いました。(非EU市民として、ヨーロッパ基準のオファー年収と比較してもこれは良い方だと言われましたが、当時はよく分からず 笑)
ちなみに、その後調べてみるとヨーロッパの年収基準はアメリカに比べるとグッと低く、南欧では$60,000あったら良い方で、二人の子を持つお父さんであるクラスメイトは€55,000でドイツのスタートアップからオファーをもらっていました。イタリアではMBA生のフルタイムインターンであっても、まさかの月に$600-700 (8-10万円)ほど、もしくはお金がもらえるだけマシだという考えの人もいるようです。(イタリアでは一般の修士号を取得後に、管理者コースへ進んでいくためMBAを二つ目の修士号として取得する人もいます。それなのに… !涙)
イタリア語を覚えるための特別な機会だと考えれば別なのですが、MBAの学びで繋がった仕事というよりは圧倒的に前職での経験で買ってもらった感があり、違う路線に進みたいと思っていた私にとってはどんな金額をオファーされてもしっくり来なかっただろうなと思います。異国でなかなか仕事を見つけることが難しい中で大変有り難い話でしたが、悔いはないです。
海外での就職活動、アメリカ編
アメリカ大を卒業もしていないのに、アメリカ就職なんてと思うかもしれませんが、アメリカにはルーツがあり、そこで働く事は幼い頃からの私の夢でもありました。英語を学び、海外に憧れ、興味を抱き続けていたのも「アメリカに行くんだ」という目標を叶えるためでもありました。(目標というよりは、私の中では決定事項でもあったので、英語が話せるようになりたい!ではなく、英語を話せるようになる事はアメリカに住むためには避けては通れない決定事項でもあったので、これまで地道に学ぶ事を続けてきました。それはこれからもずっと学んでいく事には変わりません。)
GAFA本国ポジション
アメリカでも就活してみようと、前職の同僚や知り合いのエンジニアやリクルーターにFacebookあらため、Meta、Googleなどを紹介してもらいました。通常ルートで応募しても見向きもされない中、現役社員のリファーラルがあるだけで、Metaでは社内の専属リファーラル特化型のキャリアアドバイザーが付いてポジションを探してくれたり、Googleでは優先的に履歴書を見てフィードバックをくれたりなどがありました。
ただ、応募時にアメリカに住んでいない事やアメリカでの職業経験がない事、大手のポジションは高い専門性が求められるなど、面接にすらこぎつけないのが常でした。おそらく、スタートアップ環境の方が私のバックグラウンドを活かしやすいのと、日本での転職活動と同じく、アメリカのヘッドハンターと直接繋がって案件を紹介してもらうなどの方が良いんだろうなと思いつつ、なかなかどこから始めて良いか分からなかったり、日系の案件ばかり見つけてしまったりしていました。
アメリカVCでの経験
イタリアにいながらも、アメリカとは縁を繋いでおきたくて、大学院で唯一アメリカ企業とのコネクションを作れるプログラムに入学早々に応募をしました。クラスには60人ほどいたのですが、そこからの4人に選ばれました。
アメリカのVC (スタートアップ投資を行う)での学生プログラムで、世界各国のトップスクール50校ほどから選ばれた学生が約140人集まっており、毎週世界中から集められたスタートアップのピッチ(資金調達のために自らのビジネスについてプレゼンをする事)を見ては、投資判断をしていくという7ヵ月間でした。イェールやコロンビア、スタンフォード、ハーバードなどの学生がいる中で縮こまる私でしたが、コツコツとやれる事を積み重ねていきました。半べそかきながら、涙目となり、もうここまで来れば気合いです。「失うものなどない!」
その間に見てきたスタートアップは500社以上。その後、その140人の中から更なるプログラムに参加する14人にも選ばれ、そこから4ヵ月間はグローバルアナリストとして、投資検討を続けていきました。
プログラムも無事に終わり、次どうしようかなという時になり、ずっと活動を見てくれていた人に相談すると、投資部門のヘッドを紹介してくれる事に。私自身が人柄含め、初めて尊敬できると思えた投資家であるその人との、個別ミーティング。緊張しないわけがありません。
10分間のミーティングで「2年後のビジョン」と「私の家族はどんな人?」というカジュアルな質問をされ、その後私が想像する自分像と家族が私にきっかけを与え、モチベーションを与えてくれている存在である事を伝えると
とニッコリ。ビックリしつつも「That’d be great!」と答え、働けるタイミングを伝えるとそのまま「Great! あとは他のメンバーから連絡を送るよ。Have a nive day. 」とミーティングは終わり、10分間で未来が激変してしまった事実に拍子抜け。アメリカンドリームとはまさにこの事。
「私なんて…」と思い続けてきたのに、気が付けば当初私が戦々恐々としていた周りの人たちはプログラムから脱落していたり、自然と抜けていっていたり。
「投資なんて、私に分かるわけない」と思ってきたのに、気付けばこれまでやってきたスタートアップでの経験が大いに生きる仕事だったり。
という事で、アメリカ行きが決まったのでした。このように本社勤務のために選ばれたのは世界から選ばれていた学生140人中、2人のみ。まさか…という展開ですが、一年間続けてきた事が認められた事は少しだけ自信にも繋がりました。これまでの経験で過大評価される事もなく、日々の地道な作業を見てくれた結果でもあったので尚更嬉しくなりました。
というわけで、来年頭よりカリフォルニアのベイエリア、シリコンバレーと呼ばれているエリアに引っ越すことになりました。ヨーロッパを離れるのはやや名残惜しいですが、アメリカの地を開拓して、そこでも結果を作っていき、日本から世界へ羽ばたきたい人たちのための道を耕していけたらと思います。
InstagramやTwitterで細々と発信をしているので、興味のある方は覗いてみてください。
@Chelsea5201
つづく
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