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【恋愛私小説】恋する青の鎖鋸1章⑦「好意破れてなお続く」
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二〇二二年二月二八日。
今日は吹奏楽団の定期演奏会だ。コンクールに参加しない我々にとって、この演奏会は一年の集大成を示す場でもある。
先程、最終確認を終えたため、後は三〇分後に迫る本番を残すのみだ。始めはホールの控室で待機していたが、緊張ゆえに逆に開き直ってしゃべり倒す面々についていけず、一人舞台袖で楽器と時間を過ごしている。
奏者も観客もいないステージは、輝
【恋愛私小説】恋する青の鎖鋸1章⑥「誰かを好きになることって凄く尊いこと」
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十二月。乾いた冬の冷気が肌に刺さる。
十一月では毎週のように会っていたコノミとも、サークルがテスト期間の日は活動を行っていなかったため、しばらく顔を合わせていなかった。
それがよくなかった。
「恋愛結構苦手かも」という彼女の言葉を何度も反芻しては不安に駆られ、彼女の笑顔を思い出しては「好きだ」とひとりごつ日々。どうにもならない葛藤を吸い込んでは吐き出す。