タルト・タタン【その1】
本日はタルト・タタンのお話。
タタン姉妹によって失敗からできたお菓子の代名詞として有名。
フランスはソローニュ地域に広まり始めたフランス郷土菓子の一つとして数えられています。
タルト・タタンの発祥については私が紹介するまでもないので割愛します。
【引用:ウィキペディア タルトタタン】
余談として私が現在暮らすフランス中西部にあるシャラント県にも、タルトタタンと同様に19世紀にとある女性料理人の失敗から生まれたお菓子が存在します。
山羊乳のフレッシュチーズを使って作るトゥルトー・フロマージェです。
名前の由来は大西洋に面するポワトゥー・シャラント地方で獲れる西洋イチョウガニ、【トゥルトー】の甲羅の形に似ていることからと、この地方の方言でお菓子を指す言葉の【トゥルトー】から由来するとのことです
今ではこの地方を代表的する郷土菓子として、マルシェはもちろんスーパーでも手軽に購入することができます。
さてタルトタタンの話しに戻りますが、作り方は実に様々存在します。
ここでは大きく4つの作り方を紹介します。
それぞれの【メリット:A】【デメリット:B】としてお話させていただきます。
①(プロ向き)
りんごを4等分カットしてカラメルソースと合わせてじっくり弱火で1時間ほど鍋の中で煮る。しっかり火を入れたりんごを丸型につめて、パータブリゼをかぶせてから200度のオーブンで焼く。
A:プロが用いる一般的な方法で一番本式に近い作り方。調理工程に一貫性がある。
B : りんごをカラメルソースと合わせて火を入れている時間が長く、絶えず混ぜていないとならないので付きっきりになってしまう。
②【プロ向き】
りんごを4等分にカットしたら、グラニュー糖、バターを使って表面が柔らかくなる程度(15分ほど)軽く火を入れる。カラメルソースは予め丸型に流しておき、固まってから軽く火を入れたりんごを型に詰めて180度のオーブンでじっくり焼く(40〜50分)。ある程度りんごに火が入ったら、オーブンから取り出してりんごを押し詰めてからパータブリゼを被せる。オーブンを200度にして30分焼く。
A:りんごを型に詰める前に、火を入れる時間をつきっきりにならず短縮できる。
B : オーブンから出し入れする工程がありパータブリゼを仕上げる手前で被せる必要がある。調理工程が多い。
③【素人向き】
りんごを4等分にカットしてグラニュー糖と合わせるだけ、火は入れない。カラメルソースは深鍋に入れて、りんごを鍋に積み重ねる。りんごがはみ出てしまうのでアルミホイルを使って覆いかぶせてから安定させて、180度のオーブンでじっくり焼く。30分おきにオーブンから取り出して、りんごを押し詰めて鍋の中の水分になじませながら1時間半から2時間焼き続ける。
パータブリゼは別で丸く焼いて予め準備しておきます。焼き終えて冷え固まったタタンの表面に被せてひっくり返す。
A:カラメルさえ上手くできれば後は鍋に重ねてオーブンに入れるだけ
B:生のりんごを鍋に積み重ねるので、りんごの果汁が鍋から溢れ出るリスクが多々ある。りんごを押し詰めるためオーブンから何度も出さないといけない。
④【素人向き】
最後はフランスのスターパティシエのクリストフ・ミシャラク氏が紹介している簡単に誰でも短時間でできるタルトタタンの作り方を紹介。500gの溶かしたバターに同量のグラニュー糖を加えます。沸かした状態を保ち、半分にカットしたりんごを液体の中で10分間だけ煮る。煮たりんごはカラメルソースを流した丸型に並べて生地をかぶせて、180度のオーブンで35分焼く。
A:調理工程が少なく一貫性もあり、りんごを煮る時間も短く見極める必要がない。何より簡単。
B:りんごを煮た後の大量のバター・グラニュー糖を使用しない(笑)
④のレシピを参考にして作っているタルトタタンの動画を載せておきます
①〜④のうち、どの作り方が優れていると言うよりかは、キッチンの環境、手元にある道具、そしてお菓子作りの経験値によって作り方を選ぶのが最適だと思います。
今回紹介する私の作り方は、プロ・アマのどちらの方が何処で作っても、作りやすく失敗の確率が極めて少ない作り方を紹介します。
先程紹介した①〜④の作り方の良いとこどりです。
家庭でも作りやすいようにカラメルを作る小鍋1つと、りんごに軽く火を入れるフライパンを使った特性のレシピです。
今回使用したりんご品種はピンクレディーという名前の品種です。仕上がりの食感・酸味・甘みのバランスが非常によく、私の好みのタルトタタンの仕上がりになります。
りんごの品種は日本ならば紅玉かフジが一番向いていると思いますが、どの品種を使用しても作れます。後は好みの問題です。
品種によっての味わいの違いは、また次の記事【タルト・タタンその2】でお話させていただきたいと思います。
それではタルト・タタンのレシピを紹介します。
【材料と分量】18cmの丸型1台
*パータブリゼ
薄力粉 100g
バター 50g
塩 2g
卵黄 20g
水 20g
*カラメル
グラニュー糖 80g
水 20g
バター 20g
りんご【紅玉】【フジ】 7個
(もしくは皮を向いた状態が1.0〜1.1kg)
グラニュー糖 20g(りんごにまぶす用)
バター 40g(りんごの加熱用)
①
パータブリゼを作り冷蔵庫で1時間休ませる
【冷凍のパイシートでも代用できます】
②
カラメルを作り丸型に流し入れる。りんごは皮をむき半分にカットして芯をくり抜くてグラニュー糖とまぶしたら、バターを溶かしたフライパンで片面10分ずつ蒸し焼きいする(計20分)
③
②のりんごをカラメルを流した丸型に詰めて180度のオーブンで40分間焼く。焼いている間に、パータブリゼの生地を2ミリほどの厚さにのばす。
④
③のりんごをオーブンから取り出して、スプーンの背を利用して押し詰めて型の中の水分(りんごの水分とカラメルソースが混ざった液体)をよくなじませてから、のばしておいたパータブリゼを被せる。200度のオーブンで30分再び焼く。
⑤
翌日冷え固まったら、湯煎もしくはガスバーナーを利用し丸型の外側を温めてからタルトタタンを外す
注意点を一つあげるとすると、カラメルを作る際の火を止めるタイミングを見極める点です。
煙が上がり始めたら火を止めても加熱は進み、放って置いたら焦げが進行していきます。そのため私はカラメルを作る鍋の横に濡れた布巾を必ず予め準備して、鍋を火からおろしたらカラメルの進行を遅らせるための処置をおすすめします。
その後すかさず冷たいバターをキャラメルの中に加えて、布巾の上で熱々のカラメルとバターを乳化させてカラメルの進行を止めます。
こうすることでカラメルを焦がすリスクを極力低くします。
乳化を確認できた後、熱いうちに18cmの丸型に流し込みます。
詳しいタルト・タタンの調理工程は私のYoutube動画で紹介しております。
是非参考にしてみてください。
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Chef ichi
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