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ちーかま
2024年6月13日 00:11
双子の兄である弦夜に呼び出された俺は、山道を急いだ。「普段着で来いよ」定期連絡だと言いながらも「普段着で来い」の意味がまったくわからなかったが、俺は指示にしたがった。やがて弦夜が指定した庵に着いた。庭の方に回ると、縁側で杯を持って佇む弦夜がいた。弦夜は何時もの着崩した着流しではなく、仕立ての良い着物に身をつけていた。「おー朔夜。早くこっち来いよ。美味い酒を飲ませてやるからよ もっとみる
2024年6月13日 00:06
正式に伊達の忍になってからどのくらい経っただろう。俺は目の前に差し出された報酬を目の前にして、ため息を一つついた。「なんだ?不満か?」何時も堅苦しい小十郎さんが俺のため息に反応して、顔を引きつらせる。「不満つーかよ…美味い酒とか出てこないかなぁ…なんてな」「何?」立ち上がろうとする小十郎さんを、隣で黙っていた政宗が静かに制する。「弦夜の望みは酒か?」政宗が俺に真っ直 もっとみる
2024年5月12日 00:07
※天下統一 恋の乱の二次小説ですヒロインの名は陽菜です信長様にお客様が来ていると聞き、私は広間へお茶と茶菓子を持っていった。広間からは何やら早口の言葉が聞こえてくる。(聞いたことある声…もしかしたら)襖を開けると、想像通りそこにはフランシスコ・ザビエールとルイス・フロイスがいた。「ザビちゃん!ルイちゃん!お客様って二人の事だったのね」「あら!陽菜!元気ソウね」 もっとみる
2024年4月23日 22:04
説明し難い感情を胸に、俺は一人庭で鍛錬をしていた。雑念を払うように己を奮い立たせる事数時間、気がつけば空は薄暗く、ぼんやりとした月明かりが俺を照らしていた。「もうこんな時間か…夕餉を取るのも忘れていたな」「幸村様?」廊下が軋む音に振り向くと、そこには陽菜が立ち尽くしていた。「夕餉の場にいらっしゃらないと思ったら、こんな時間まで鍛錬ですか?」陽菜は呆れ顔をしながら庭へ降り、俺 もっとみる
2024年3月1日 00:11
弦夜影EDの後日談で朔夜目線です「弦夜…抜け忍の庇い立てするなら、お前も始末する」「もう後戻りは出来ねぇな…朔夜」俺の半身である双子の兄である弦夜は、里の命より、任務よりも…この俺でもなく陽菜を選んだ。何時かはこうなるのではないかと、心の奥底で思っていたのかもしれない。俺の心中は驚くほど冷静だった。「朔夜…わりぃな。死んでもらうわ」「それは俺の台詞だ」 もっとみる
2024年2月25日 00:11
弦夜影EDの後日談ですヒロインの名前は華、月ともに基本『陽菜』となっていますあの夜、捨てる事など出来ないはずだった双子の弟の朔夜を裏切り、陽菜を選んだ。その代償はあまりにも重かった。朔夜の放った刃から俺を庇った陽菜は、右腕に大きな傷を負った。それはただの薬師として生きて行きたいと願う陽菜の人生を奪った。「弦ちゃん!凄いね!ほんと筋が良いよ」「な もっとみる
2023年3月13日 11:35
天下統一 恋の乱 信長さまのSSです「こんぺいとうを…寄こせ…口移しで…だ」背中に受けた矢の痛みが増す中、私は震える手でこんぺいとうの小瓶を取り出し、口に含んだ。信長様にそっと口づける。今までにはないくらい、甘い口づけだった。「信長さ…ま…生まれ…変わっても…また貴方と…」「俺以外の男と…契る事は…ゆる…さん」いつもの強い口調に笑みが溢れる。「はい…」 もっとみる
2023年3月31日 17:34
三葉の行く末の為、藁も掴む思いで服部半蔵の元に身を置いたそれは間違いだったのか…もうわからない私は彼に捕われ…身も心も捕らわれてしまったぼんやりする頭で考えてみるが、甘ったるい香の匂いがすると、何も考えられなくなる与えられる刺激に耐えかね、甘い声が漏れる感じる肌の熱をもっと感じようと身をよじるやがて体の芯が熱くなり、頭が真っ白になった「で…お前が望む結果になった もっとみる
2023年6月2日 00:05
※天下統一 恋の乱の二次小説です。ヒロインの名は陽菜です。天正十年六月二日早朝本能寺は炎で赤く染まっていた前日に信長様は本能寺にて茶会を開き、そのまま滞在をしていた。私は茶菓子の準備はしたものの、茶会には参加しなかった。今思えば少しの我儘を言ってでも同行すれば良かったのだ。今生の別れとなってしまったのだから。当時、本能寺のそばに光秀様の軍が居たという。それ もっとみる
2023年10月8日 12:56
「で?今日は陽菜ちゃんと何で喧嘩したの?」「してねぇよ!ちょっと言い合いになっただけで…」陽菜は俺、前田利家の幼なじみで…今は恋仲の関係だ。だが今朝些細な事で言い合いになり、謝る事もなく今に至る。「だからそれが喧嘩でしょ」秀吉の呆れ顔を無視して、俺は御屋形様の元へと向かう。襖を活勢いよく開けると、甘味を口にしている御屋形様と陽菜がいた。「犬、猿、揃ったか」「はいっ! もっとみる
2024年1月4日 22:46
あやつに昔の話をしたせいで、ガラにもなく感傷的になっていたのだろうか。あの頃の夢を見た。織田の再興を図るため非道を繰り返し、弟である信行を自ら手にかけ、魔王と呼ばれていたあの頃の夢を。気がつけば目の前に見知らぬ女がいた。女はポカンとした顔で俺の顔を眺めている。「貴様…何者だ?」女中に紛れた刺客かもしれない。「名を聞いている。名乗れ」だが女は口をパクパクとさせ もっとみる
2024年1月15日 09:10
「犬千代?大切な話って何?」幼なじみの陽菜は首をかしげながら、俺に問いかけてくる。そんな仕草さえ可愛くて、緊張が走り俺は言葉に詰まるのだ。(俺の気持ちをハッキリ言うだけだろ)そう己を奮い立たせるが、いざとなると言葉が詰まる。「だからよ…」何時からこの幼なじみが好きなんだと問われれば、遠い昔からだと答える。「うん…あっ…もしかして」「なっなんだよ!」みっともなく声 もっとみる