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予約したはずなのに、届いていなかった

モスクワで一番好きな場所のレーニン図書館(現在は国立図書館)。

見たい本で新しいものも所蔵されたし、見たい展覧会もやっているし、日本語の本も読みたいしで、7月5日の深夜に、何冊か自宅からネットで予約をした。

翌日に行けば、すぐに閲覧できたが、義理の妹家族も来ない平和な土曜日だったので、出かけるのがもったいなくて、家にいた。

予約してから、何日くらい取り置きしてくれるのか分からないが、1か月くらいは取り置きしてくれるかな?と思っている。
次の週に行けば大丈夫だろうと思い、義理の妹家族が来たタイミングで、まず、音楽部門がある建物に行った。

この建物は利用する人も少ないから、トイレが比較的きれい。
入り口の警備員さんに、「どこへ行く?」と訊かれたから、「楽譜を見たい。」と言ったら、丁寧に道案内をしてくれた。
しかし、久しぶりだが、何度も行ったことがあるから、場所は知っている。
突きあたりが展覧会場だと分かったので、最初に見てしまった。
ガラスケースにプーシキンの詩についた音楽の楽譜が展示されていた。
窓ガラスの外の光が反射するし、写真を撮るのは辞めた。

その後、きれいなトイレを使う。手を洗ったら、ジェットタオルが、三菱だった。

音楽部門の入り口のところに係の人がいて、丁寧に説明してくれた。

音楽部門の担当者は、かなり年配のおばちゃんが1人。

よく分からないアジア人が、図書館カードを見せたものだから、「この人分かっているかなあ?」とちょっと不安げになったおばちゃん。
「予約した?」と訊かれたから、「予約したよ。」というと、パソコンの画面を見て、すぐに、棚に置いてある楽譜を出してくれた。

予約していた楽譜はこちら。

中を見ると、ギターコードが書かれている楽譜で、夫はすぐに演奏できるかもしれないけれども、私は、ピアノの楽譜じゃなかったから、少しがっくり。
ただ、歌詞は分かった。また、真ん中あたりには、カラー写真があり、それを見るのはよかった。

前日の夜に、ネットでダウンロードできる楽譜もあったし、モスクワ市内の公立図書館で別の楽譜が1冊あるのも分かっていたから、それらに収録されている曲を書き出して、収録していない楽譜を書き写そうと思う。
まだ、リストができていないから、音楽部門の閲覧は、短時間で終了。

音楽部門の建物から本館に向かう途中、本館のエアコンは、日立と三菱だと室外機を見て分かった。

次は、本館。
本館では、チュヴァシ共和国が作ったロシアの刺繍地図の本の新しいものを予約した。
1月に、2022年に発行されたものを見ていて、2023年に発行されたものはまだ見ていなかった。

窓口は1つしか開いていなくて、1人しか職員がいない。
タイミング悪く、大量の本を返却する人がいて、時間がかかっていた。
少し待ったが、予約した本が出てきた。しかし、この職員は、本の扱いが乱暴で、半分投げていた。だから、時々へこんでいる本があるんだと思った。
扱いは雑だが、無事に予約した本を受け取った。
これが、2023年に出版された新しい本。

これは、2022年に発行され、4つの州が加わっているもの。

これも2022年の出版だが、4つの州が入っていないもの。

こんな感じで3冊予約した。

文を読まずに、写真だけパラパラ見た。
この本も30日間取り置いてもらうことにした。

確かにエアコンの室外機があり、途中の部屋は冷房が効いていて寒すぎる部屋もあったが、私が利用した読書室と本の受け取りの場所は、エアコンがなく、やや暑かった。本の受け渡しの所は、何台も扇風機が稼働していた。外の方が涼しくて、日陰のベンチにいるのが一番いいと思った。

最後に、地下道を通って、道路の反対側にある東洋部門に行くことにした。
これが、本館とその前のドストエフスキーの銅像。夏の時期は、植物が飾られている。

東洋部門に到着した。
1月に行ったばかり。自分の本をクロークに預けて、中に入る。

ロシアの図書館は、本を持ち込むことはできない。

カード番号と名前を紙に書いて、カードと一緒に提出する。
すると、職員のおばちゃんが、「あなた、初めて利用する?」と訊いてきた。「いいえ、前にも利用したことがあります。」というと、予約していた本を探しに行った。
ところが、持ってきた本は、全然違うものだった。しかも、カード番号も違い、別の人の本だった。
その後、「いつ予約した?」と訊かれたから、「5日に予約した。」と言ったら、別の若い男性の職員を連れてきた。
若い男性が来るまでの時間に、女性の職員は、日本語の部屋の説明を始めた。過去に2回来たことがあるから、何があるか知っているけれども、「ふんふん」と言いながら、説明を聞いていたら、若い男性職員が来た。

男性職員は「予約した時のお知らせメールはある?」と訊いてきた。私は、登録がうまくいっていないのか、メールでお知らせがきたことはないことを伝えて、予約ができていないことは分かったから、「ここで、もう一度予約できますか?」と訊いてみた。

本が届くまで30分くらいかかると待ち時間があるから、嫌だけど、日本語の本を読む気満々で来ているから、なんとしても閲覧したいと思った。
すると、男性と女性の職員が、「5分か10分くらいで届くから、カタログを見に行きましょう。」と奥の部屋に案内してくれた。
「パソコンで予約するよりも目録の方が早いわよ。」と。
男性職員が「何を予約した?」と訊いてくるので、「日本語で書かれたプロコフィエフの本。」というと、アルファベットのПの引き出しを猛スピードで見始めた。
そこにあった目録は、ロシア語も書いてあるけれども、日本語も書いてある。
男性職員がプロコフィエフの本を見つけると、スマホですぐに写真を撮った。
目録を見る男性職員は、若いけれども、さすが、図書館のプロだと思った。そして、世界中で同じように文献が整理されているから、国が違ってもすぐに探せるのは本当に便利だと思う。
それを女性職員が紙に記入して、注文してくれた。
「他には何を見たい?音楽に興味があるんだね。」と、作者順の引き出しだけでなく、分野ごとの引き出しを教えてくれて、音楽のところを教えてくれた。
プロコフィエフだけ見られればいいやと思っていたけれども、本が届くまで少し時間がかかるし、この目録を見たくなった私は、音楽の部分を隅から隅まで見た。

例えば、日本でも読んだネイガウスの『ピアノ演奏芸術』の本もある。

プロコフィエフが日本で会った太田黒元雄さんの本もある。

そして、以前から読みたいと思っていた『チェーホフとチャイコフスキー』もある。

井上頼豊さんの本も何冊もある。

ショスタコーヴィチはそんなに興味がないから、自伝を読んだことがないけれども、ショスタコーヴィチもある。
目録には、必ず日本語が書いてあるから、探しやすい。

次に来た時に、すぐにこの引き出しにたどり着けるように、写真を撮った。

興奮して目録を見ている間に、プロコフィエフの本が届いた。

ちなみに、日本語の本の目録は、これだけある。

作者の引き出しに、『サカグチ』とキリル文字で書いてあるのが目についた。
『サカグチ』って、坂口安吾の本があるのかな?と思った。それで、引き出しを開けたら、坂口安吾の本の目録があった。
どの小説がいいのか分からないから、フォロワーさんで、坂口安吾が好きな人がいるから、その方に訊いてから、予約をしようと思った。

日本文学の作家の本があるということは、ロシア文学の作家の日本語の本もあるかも?と思い、試しに、トルストイを見てみた。もし、トルストイ全集があれば、日本に行かなくても読めると思ったからだ。
残念ながら、私が日本で読んでいたトルストイ全集とまったく同じものはなかった。
しかし、旅博で無料でもらった本で、母をヤースナヤ・パリャーナに連れて行ったときに、母が持って行った本の目録を見つけた。

トルストイを見た後は、チェーホフもあるかな?と思った。チェーホフ全集の手紙で確認したいこともあったから、目録を見てみたら、チェーホフ全集は、中央公論社のものがあった。

それで、プロコフィエフだけの予定だったが、他の本も閲覧することにした。
『チェーホフとチャイコフスキー』

『ピアノ演奏芸術について』

トルストイと次から次へと届けてくれた。

ところが、女性の職員が「ショスタコーヴィチの本を出したら、こんなのが出てきたけれども、これは、違うよね?」と本を持ってきた。それを見たら、難しそうな数学の本だった。
2人で大笑いして、廊下を歩いている他の職員にも「ショスタコーヴィチのはずが、数学が出てきた。」といいふらすほど、おもしろい出来事だった。

それで、もう一度目録の引き出しを見た。

番号を確認する女性職員。
その後、作者別の目録を見たのか、正しい番号が分かったようで、届けてくれた。
目録の番号が間違っていたようだ。

ショスタコーヴィチの自伝だが、モスクワの出版社で発行された本で、4ルーブル48カペイカと書いてあった。

アマゾンでは、22,153円もしている。


最後に、チェーホフ全集が届いた。箱が少し潰れていて、埃がかぶっていた。よほど誰にも読まれなかったようで、書庫から出てきた本たちは、ざらついていた。

それで、読んだり、メモを書いたりしながら、読むこと3時間。
途中だが、とりあえず、帰ることにした。
必要な本は取り置いてもらうことにした。

それにしても、予約がスムーズだったら、プロコフィエフだけ見て帰ったと思うから、予約ができていなくて良かったと思った。

日本語の部屋でまもなく展覧会が始まるのか、展示の準備をしていた。

廊下では、プーシキン生誕225周年関連の展覧会が行われていた。プーシキンの日本語の絵本の展示もあった。
『漁師と魚の物語』

ビリービンの絵で、ヒンドゥー語に訳された物。

『サルタン王物語』

『スペードの女王』

壁には、日本語で書かれたものも展示されていた。


図書館のあとは、天気もいいし、赤の広場まで歩くことにした。途中大使館の車がたくさん止まっていた。赤いナンバープレートは大使館の車。

アレクサンドロフスキー庭園。

衛兵の交代は終わった後だった。子供たち3人が衛兵の足を高く上げる歩き方を真似していた。

以前は、ここに警官は立っていなかったが、銃を持って立っていた。

そして、花束を持った人が来て、その人たちは、警官が鎖を開けて、献花をするために、中に入った。

花を持ってきた人の誰でも入れているのか、それとも、この人たちは、特別なのか、それは分からないが、初めて見た。すでに、永遠の火の所に花がたくさん並んでいたから、特別なのかもしれない。

その後、赤の広場にたどり着いた。

やはり、私にとってのパワースポットだと思う。

コロナ禍からよく見られるようになった、ベビーカーでの散歩。地元の人でにぎわうようになった。

キックボードもある。

いつもの地下鉄の2つの心臓の飾りもある。


家に帰ってきて、レーニン図書館のホームページを見た。
目録で見た日本語の本が検索でヒットするかどうかを調べた。
すると、ヒットしなかった。
女性職員がパソコンより目録の方が早いと言っていたが、ロシア人にとっては、日本語の本を利用する人は少ないから、デジタル化を進める優先順位は低いと思う。
そのため、まだデジタル化していないため、パソコンの検索画面に反映されていないと思った。

つまり、予約ができていなかったことによって、目録の場所を教えてもらい、そこで、他に日本語の本はどんなのがあるかな?と思って、探したことによって、気づくことができた。
すごくラッキーな一日だった。

他には、どんな日本語の本があるのか、また目録を見に行ってみようと思う。日本大使館の図書館よりも蔵書が充実していると思う。

余談だが、20年以上前、大学生だった私は、ロシアへ行ってみたかったが、テロも心配だし、お金もなくて行けなかった。
そんな時、伯母と伯父がロシア旅行に行くことになった。
それで、伯母に「プロコフィエフに関する資料がないか調べてきて。」とお願いした。英語でバスガイドをするくらい、英語が得意な伯母だ。
伯母は、「観光中に国立図書館に行って、司書さんに訊いてきたよ。チャイコフスキーの本だけで、プロコフィエフの本はなかったよ。」と言った。
当時はネットもないし、伯母のその話を信じるしかなかった。チャイコフスキーだけでプロコフィエフはないんだと。
普通なら、そうなんだで終わるのだが、それから10年後、私がロシア旅行に行き、ロシアに魅了され、挙句の果てにロシア人と結婚して、住み始めて6日目にレーニン図書館に行った。
そこで、チャイコフスキーだけでなく、他の作曲家のロシア語の文献が山ほどあることを知ったのだ。つまり、伯母は、国立図書館に行かず、適当に話したなあということも分かった。
今回、日本語の文献もたくさん所蔵されていることが分かった。レーニン国立図書館は奥深いから、毎度大冒険になるが、また出かけてみる。
そして、これは、と思う情報があれば、また記事にする予定だ。

観光客も利用カードを作れるので、興味のある方は、ぜひ、中に入ってみるといい。
1人で行くのが不安な方は、事前にお知らせいただければ、同行も可能。


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