見出し画像

▲群馬・栃木への旅▲②足尾銅山を訪ねて

4月2日と3日に群馬、栃木まで旅した記録。前回は久喜駅をスタートし、東武線・JR線を乗り継ぎ、群馬県の桐生駅までやって来ました。
(前回の記事はこちら)

今回は、桐生駅からわたらせ渓谷鉄道に乗り、足尾を目指します。

今日の乗車券は、「ぐんまワンデーパス」です。
群馬県内中心ですが、JRだけでなく、私鉄も乗れるお得なフリーパス。
桐生駅の片隅から発車するわたらせ渓谷鉄道。
沢入(そうり)駅から先は栃木県に入るため、
フリーパス利用の場合は乗り越し運賃が必要です。
久しぶりに手売りの社内補充券を車掌さんから買いました。
花咲く窓の外を眺めながらのんびりと列車は進みます。

この鉄道、トロッコ列車の運転で注目されていて、沢山の方が利用されることもあるようですが、少し早めの時間帯の普通列車は比較的空いていました。それでも観光用のグッズ販売や弁当の売り子などが途中駅から乗り込んできます。

のどかな山間の車窓を眺めながら列車は進みます。
通洞駅に到着。ここで下車。
古びた駅ですが、足尾銅山観光の玄関駅です。
通洞駅舎。「足尾の四季」青山勇の歌碑があります。

「足尾の四季」という歌が有名だそうです。その歌碑がありました。鉱山に生きる人たちが住む町を歌った歌です。せっかくなので歌詞を転記。

春晴千里 水清く
桜とまごう 桜花
いまたけなわの 渡良瀬や

夏庚申の 滝の音
緑滴る 満山に
雲紅の 夕日影

すすきおののく 山の峰
脱硫塔の 影黒く
月中天に 秋深し

男体颪 吹き荒れて
白皚々の 備前盾
幌馬車急ぐ 暮れの町

脱硫塔のような、銅の精錬で出る硫黄分を処理する施設が歌に出てくるのが、足尾らしい曲です。駅前にはこんな歌詞もありました。

鉄道唱歌足尾編の歌詞です。
遮断機の無い踏切の先にお寺がある風景。
なかなか風情のある駅前です。
駅前の分庁舎。なかなかいい味出しています。

通洞駅から少し集落の中を歩くと、足尾銅山の観光坑道があります。

足尾銅山の観光坑道への入口
しばしトロッコに揺られて坑道内へ。
坑道内にトロッコに乗って入ることができます。

坑道内にトロッコで連れて行ってもらいます。

観光坑道の先にも、坑道はとても長い距離が続いているとのこと。
木製支保工で支えられた坑内。

坑道は、採掘の過程でとても長い距離掘られて、いまも残っているそうです。坑内は木製支保工で補強されています。今の時代のトンネルは、NATMと言われる工法で掘られていて、鋼製支保工と吹付コンクリートとロックボルトで補強されますが、この時代は丸太を写真のように組み合わせて補強していました。

木製支保工の坑道、なかなかここ以外では見られないかもしれません。
江戸時代の採掘の様子。手掘りです。
水替え人夫なる役割の人もいます。今ならポンプで自動化されていますが。
機械化される以前はすべて人力でした。

昔の掘削方法の解説が面白いです。人力掘削の大変さがわかる気がします。

鉄サビ結晶地帯という場所も。
新しい年代。削岩機を使って掘っています。機械化が進みました。
採掘した鉱石やずりは、手押しのトロで運びます。

私はトンネルを掘る技術者でもあるので、ここの鉱山の掘り方は、昔の掘削技術を知るうえでとても興味深いという気がしました。

支保工の支柱の建て方も様々なようです。
今度は火薬を使った発破掘削。どんどん近代化していますね(笑)。
鋼製の支保工で補強された区間に来ました。とても近代的な感じがします。
コンクリートで覆工された坑内。
昭和2年8月3日 大河内組 とあります。これも立派な土木遺産。

江戸時代から明治、大正、昭和と掘削技術が進化していくストーリーが、坑道内に広がっています。とても面白い展示でした。昭和といっても、まだ今のNATMのような掘り方になる前の時代の技術なので、坑道そのものが生きた化石のような存在と思います。

鉱石って、こんな感じで採掘されていたようです。
ここは、昭和11年8月下旬の施工。
坑外に削岩機の体験コーナーが。たまりません(笑)。
坑道内で活躍していた、バッテリーロコと台車たち。これも立派な遺産です。
通洞坑の入口。かっこいい。
通洞坑の上部には、鉱石を吊り上げる設備があったようです。
そういう設備もいくつか残っていますが、貴重な遺産だと思います。

鉱山と言うのは、当然鉱石を採掘する坑道を伸ばしていくことも重要ですが、そこから採掘した鉱石を、精錬所まで運搬することや、人や物を届ける物流手段なども重要です。このような施設がここの通洞坑にはありました。

掘りだした銅を使い、昔は寛永通宝を作っていました。
足と書かれたのは、足尾銭と言ったそうです。
博物館の隣に、通洞鉱山神社なるものがありました。
山で採掘する男たちの守り神です。
通洞 採鉱夫組合 の文字が。
解散記念、昭和16年3月 とあります。
いろんな歴史を刻んでいるようです。

通洞坑を巡るだけでも、興味深いものが沢山ある場所でした。今回はここまで。次回は足尾の町を歩き、さらにその魅力に迫りたいと思います。

【終わりに】
わたらせ渓谷鉄道に乗り、通洞駅から訪れた銅山の観光坑道。掘削の歴史などにも触れることができる、とても興味深い施設でした。次回に続く(笑)。

(つづきはこちら)


この記事が参加している募集

#旅のフォトアルバム

39,267件

#この街がすき

43,925件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?