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□多摩市の乞田川のあるべき姿は?:ワークショップ参加を踏まえて

私の住んでいる八王子市南大沢の隣町である多摩市は、職場のある新宿への通勤経路のである京王相模原線沿いにあるので、とても身近なエリアです。多摩センターや永山の駅前付近は何回も訪れているので良く知っているのですが、少し足を伸ばしたところは、まだまだ知らないところが多いです。

最近、多摩ニュータウン周辺の街歩きを投稿しているご縁で、様々な地域の方と知り合う機会があり、そのご縁があって、地域の若手が主体で運営されている、「多摩市若者会議」が主催するワークショップに参加しました。多摩市の未来像を考え、できることを実行するという課題をグループで議論するワークショップ。中学生から年配の方まで、いろんな方が参加され、活発な議論が繰り広げられていました。

ワークショップの模様。8つの班に分かれて、
テーマを決めて未来像を話し合います。

私は、3回あるワークショップの最終回に飛び入りのような形で参加したので、2回の議論等は理解していませんが、8つあるグループの中の「多摩市の川の魅力を高める」というテーマでグループワークをさせてもらいました。

前回のワークショップで、各グループの活動内容を
ロードマップ形式にまとめたもの。私のグループは、一番右のグループです。

そこで導き出した近未来像は、

人ときれいな水が流れる乞田川を作る!

というキャッチフレーズ。それを実現するために、

  • 川や川沿いの道をきれいにする活動を活発化

  • 川沿いで駅伝大会を開催し、人が集まる場を作る

  • 緑や田んぼを保全する

  • 子どもやカップルが集える、安全な水辺空間をつくる

  • 子どもたちなど次の世代に、川の大切さを教える

などのことを実現したい、と言う話をまとめました。具体的に川の清掃活動や駅伝大会のスケジュール等まで決めて、近未来の実現への一歩は踏み出せる!という具体像まで提言できました。他のグループもとても面白いアイデアが出てきており、とても楽しい2時間でした。今後このワークショップの取り組みを踏まえた活動が始まることを考えているそうなので、楽しみにしたいと思います。

今回のワークショップへの参加したことを踏まえて、題材にした乞田川を歩きました。それを踏まえて考えたことなどを書きたいと思います。

■乞田川とは??

乞田川とは、多摩川の支流の一つで、多摩市の真ん中を流れる河川です。源流は多摩市の西部、府中カントリークラブというゴルフ場があるあたりで、そこから多摩センター、永山、聖蹟桜ヶ丘の近くを流れ、大栗川、多摩川に合流します。多摩川の河口(東京湾)からは30kmくらい。多摩丘陵を削って谷戸を作った河川です。

多摩川中下流域の川と支流。乞田川は多摩市を東西に貫いて流れる河川です。
(国土交通省 京浜河川事務所HPからお借りしました)

乞田川の代表的な風景として、永山駅周辺を、「今昔マップ」で眺めてみたいと思います。乞田川は、多摩ニュータウン開発前までは谷底を蛇行する河川でしたが、開発と同時に直線化された流路に改良された川です。

今昔マップで昭和30年頃と現在を比較。当時は「多摩村」で、
地図上を通る旧鎌倉街道沿いに少し集落がある程度でした。
乞田川は地形に合わせて蛇行していたものが直線化されています。

■永山駅から乞田川を目指して歩いてみる

さて、ここからはその乞田川やその周辺を実際に歩いてみたのでご紹介したいと思います。

永山駅から探索開始。
駅の北側は、少し商業施設があり、歩道橋が続いています。
駅近くには、日本医大永山病院があります。
多摩ニュータウンエリアの医療拠点のひとつです。
駅前の道路と交差する歩道橋があり、ここからは地上へ。

駅前から北側に少し歩くと、乞田川に差し掛かります。

乞田川に到着。歩道沿いに立派な桜の木が並ぶ川沿い。
乞田川の桜は世界一、とワークショップでも熱い会話がされていました(笑)。
川沿いに、水辺近くを歩ける歩道が整備されています。
いくつかの橋の下を抜けて立体交差することもできます。
駅側は丘陵地で、川を直線化する際に切土したのでしょうか。
擁壁が並ぶ区間もありました。
結構河床勾配が急なのか、ところどころに落差工があります。
桜並木はありますが、基本的にコンクリート張りの護岸が続きます。
何箇所か、支流の谷戸からの合流があります。
支流の谷戸は、小さな川だったり、既に暗渠化されているものも多いです。
暗渠化されている支流のひとつ。地上は公園になっています。

乞田川に架かる、「大橋」。ここは旧鎌倉街道が通る昔ながらの道。すぐ隣に都道の車が激しく行き交う橋が、「乞田川新大橋」です。

旧鎌倉街道に架かる、大橋。シンプルなネーミングなのは、
昔はオンリーワンの橋だったから、なのでしょうかね。

■乞田川のあるべき姿を考える

こんな乞田川ですが、ワークショップの際に議論したあるべき姿について、少し整理してみたので、少し書いてみたいと思います。

①人が集まる場所にしたい!

人が集まる場所にするためには、水も周辺の歩道などもきれいに保つ必要があると思います。河川やその周りを清掃する活動は、例えばすでに「グリーンバード」さんなどが続けられていると聞きました。そういう活動をもっと広くやれるようにしていくのが大切だと思います。

集いの空間としてお手本になるのは、私の実家である京都市の鴨川が挙げられるのではないでしょうか。鴨川と高野川が合流する、「鴨川デルタ」は、人が集い、子どもが遊ぶ場所です。そんな空間、やっぱりいいなと思います。乞田川をこんな空間に近づけるのにはどうしたらいいのか?やはり人が集まれるような魅力的なランドマークを作るのがいいのではないでしょうか。そんなことを過去に投稿しているので、興味があったら以下の記事を参照ください。

京都の鴨川デルタの風景(2018年撮影)

②水が流れるための取り組みを!

最近の都市河川には、川に水が流れていないことが少なくありません。都市化の進展により、地盤の露出が少なくなり、地下への浸透が減り、河川の流量が減り、水質悪化、憩いの場で無くなる、暗渠化・・のような過程をたどってきたところも少なくないと思います。乞田川流域も、そういう意味での課題点はとても多いと思います。

乞田川の支流のひとつ。普段は流量が少なく、3面コンクリート張り。
あまり「憩いの空間」と言えないかも・・。
こちらは、乞田川沿いに敷設されている、多摩川流域下水道の汚水管。
下水道の普及で、水質はずいぶん良くなったのでしょうが・・。

流域下水道の普及で、この街の汚水は稲城市にある処理場で処理されています。川はきれいになっています。私の住んでいる南大沢と同じ汚水幹線を流れていきます。(過去に調べた記事があるので興味があればどうぞ。)

乞田川にも、谷戸の池を残した場所が原峰公園にあることを見つけました。水は枯れた状態だったのは、真冬の渇水期のせいかもしれませんが、夏場でもあまり水が無い場所をよく見かけます。やはり地下水の供給が減っているからなのでしょうか。


原峰公園にある、谷戸の池。渇水期だからか、水はほとんど枯れています。

多摩市役所のすぐ隣にはちょっとした谷戸があり、水田も残っています。水田があるということは、水を活用するということになります。なので、たくさん耕作地を持っていることは、その流域を守ることにもつながるのではないでしょうか。水田の水は、地下水や湧水を活用することもありますが、用水路などの水源を用いている地区もあります。田んぼを守る取り組みをすれば、その流域をいかに水で潤すかということを考えるきっかけにもなるかもしれません。

市役所と原峰公園の間にある谷戸。
耕作地を残すことは、乞田川の潤いと大きな関係があると思います。

乞田川のお隣、大栗川の支流に当たる、八王子市の長池・別所地区では、宅地開発の際にせせらぎの空間を残そうとして、そこに流れる水の流量を確保するために、地下ダムを作るなどの取り組みがされています。そうした取り組みをもっと知り、今後のまちづくりの参考にするのも重要かと思います。

■終わりに

ワークショップに参加し、歩き、考えることで、思ったこととしては、

もっとみんなで乞田川に集まり、乞田川のことを知るようにしよう

と言うことだと思います。それが我々のできる将来の乞田川の将来像をよくすることなのかな、と思います。それはもちろん乞田川だけでなく、他の流域全てのことにも当てはまると思います。そんな思いで、これからも歩き、楽しんで知り、それを発信し、交流することを楽しみたいと思います。

今回乞田川を見て歩いた際に、大好きな街歩き+探索を色々としましたので、次回以降の投稿でその周囲のことをもう少しご紹介したいと思いますのでお楽しみに。

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