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✢ 雨だれの追憶 ✢ Prélude de la Goutte de Pluie (プレリュード ドゥ ラ グット ドゥ プリュイ)

♢♢テーマイメージ♢♢
優しく耳を打つ雨音に誘われて
仄かな明かりの中でそっと目を開ける

戸を窓を、壁を伝って響く
子守唄を歌い子供の背をあやすように
指先で優しく叩くような雨だれ

束の間、嵐のごとく強まった雨が
甘やかな香りの花を散らしながら過ぎ去り
柔らかな陽射しが雲間から射し込むと
窓の雫が淡く輝きだした

夢のように穏やかなひととき
そこは記憶の中 美しい追想の景色

美しく優しい曲想のショパンのピアノ独奏曲「雨だれの前奏曲」のイメージさせる透明感のあるヘアピンです。
「雨だれの前奏曲」は本来の曲名ではなく、当時の恋人である作家ジョルジュ・サンドが名付けたのだとか。

曲のイメージとはうらはらに、この曲が仕上げられた時のショパンは大変な苦境に居たようです。
恋人と静養に訪れた地中海の楽園・マヨルカ島では悪天候が続き、肺結核が悪化。死の淵をさまよう病状の中、恋人が出掛けた日に突然の嵐に見舞われ彼女は夜まで帰れず、不安と孤独と苦痛の中で作り上げられたのだとか。想像すると泣きそう(。ŏ﹏ŏ)

そのような状況で作られたにも関わらず、この曲は多くの人に大変に美しい印象を与えます。
空想の彼方、想い出の揺り篭、心の内側──
目に映る景色以外の情景を視ながら作られたのかもしれませんね。

【追憶】ついおく 【追想】ついそう
意味……過去のことを思い出してしのぶこと。
【偲ぶ】しのぶ
意味……過去や遠くの人・所を恋い慕う。懐かしく思う。

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