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他人を変えられなくても関係改善への努力は重要

 私は依存症研究のために参加しているコミュニティで、フォロワーの方々や各種相談者向けにより良い情報発信・サポートを提供すべく、また、私自身の心を整えるべく、随時、精神医学や心理学を学ぶようにしている。

 先日 YouTubeで配信された、野口義則さん(公認心理師)のライブアーカイブを視聴したので、その感想を著述しておきたい。


 野口先生のライブの要約は、以下の通り。



● 他者との関係に問題が生じた時、過去と他人を変えることはできないとされるが(アドラー心理学で提唱される概念)、だからといって、相手との関係改善に努めなくていい、ということではない

● 相手との関係改善は可能だということを理解する必要がある

● 関係に問題が生じた相手との話し合いはとても面倒なことではあるが、改善に向けたコミュニケーションを取ることは非常に重要である

● 人間関係は流動的なものであり、常に他者(家族含む)との関係は変化し続ける
だから、相手との関係にすきま風が吹いていると気づき、なおかつその相手との関係改善を望むのであれば、放置したり、蓋をするのではなく、互いに前向きな話し合いを行う必要性がある

● 相手さえ変われば問題は解決される、関係は改善されるんだ、という思い込みに支配されて話し合いを進めても、関係改善は期待できない

● 相手の苦しみやつらい経験に寄り添う態度を示す(ここに傾聴の態度を示さず否定・非難すると、相手との関係は一気に悪化・破綻する)

● 相手の嬉しい出来事・おめでたい出来事をともに喜び、祝福する
この時、ノンバーバル・コミュニケーションの重要性を理解し、言語外の表情や態度、しぐさなどで、しっかり共感を伝えるようにすることも大事(情緒応答性を高める)

● ただし、上記のような人間関係改善策は、ASD(自閉スペクトラム症)の相手とは奏功する可能性が極めて低い
ASDの人は、他者の心情に深く共感したり、情緒的な交流を行うことが苦手



 さて、私自身、日頃他者との関係を良好に保つ上で、他者の喜びに強く共感を示すということと、褒める・煽てるということを混同しないよう注意している。

 もちろん、努力が実って良い結果が訪れ、相手が喜んでいるシーンなどでは、しっかりその努力を讃える。

 しかし、むやみやたらに褒めたりすると、それはかえって相手の心の負担となり、「恥ずかしいからもうやめて!」と、羞恥心を高めてしまう事態になりかねない。

 あるいは、「そんなに褒めるのはなにか下心があるからなのでは?」と、警戒心を強めてしまう可能性もある。

 かく言う私自身、過去に人前で何度も何度も褒められたり、高く評価されるような出来事が続いた時、言葉にならないストレスが蓄積して、食事がほとんど喉を通らなくなったことがあった。

 相手を不快な気持ちにさせたくなくて、「やめてください」と言えず、どうすればこの心情が相手に理解してもらえるだろうかと、悶々と思い悩んだ(その後、その相手にはこちらの甚大なストレスが理解されないまま、お別れする結果となった)。

 ともあれ、「他人は変えられないから」という理由で、「話し合いで解り合おうとするのは無理」と決めつけるのは良くないと、この野口先生の配信を視聴し、改めて認識することができた。

 もっとも、動画の概要でも触れた通り、相手がASDである場合は、こちらがいくら関係改善や相互理解を深めることを望んでも、叶わぬ願いとなる可能性が高い。ここは非常に重要な注意点である。

 多様な他者への理解・配慮を深めるためにも、相手の特徴や、相手との関係変化をよく観察する。

 そして、必要と感じる場面では関係を温め直したり、修復するための取り組みを怠らない。

 以上のような事柄に留意しながら、今回の野口先生の教えを、日々のより良い人間関係構築に役立てて参りたい。



ここまでお読みいただきありがとうございましたm(__)m

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