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[読書]雪の鉄樹 遠田潤子

 前半は主人公の壮絶な環境に読み進むのが辛い。でもそこに提示される「なぜ?」の多さに引きずられ読み進む。登場する人物達は何故か皆、どこか不器用な生き方をしてきており、それがこんな悲劇を産んでしまった様だ。

 一旦雅雪から離れていった遼平だが、後半になりあの日がどんどん近づいてくると、そこで起きた事件も関係してか雅雪との間が変化してくる。最後は納得の結末を迎えられ、胸を熱くさせられるのだが、そこに至るまでの雅雪の心理葛藤は実に読み応えがある。

 7月7日という象徴的な日を目前に、この本が読めた偶然にも感謝したい。

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