脳外科病棟ではブルガリアンジョークはジョークではなかった
ブルガリアにはラキヤ/Ракияという、発酵させた果実から作る伝統蒸留酒があります。
アルコール度数は40%以上で、飲むとのどが焼けるタイプのお酒です。
最近のブルガリア人の若者はあまり好んで飲まないようです。
ブルガリア人の友人がラキヤにまつわるジョークを教えてくれました。
多くのブルガリア人はラキヤを薬だと思っているんだ。
飲んだら痛みも忘れるし。
心の苦しみも和らげてくれる。
のどが痛んだらラキヤを飲むし。
寒かったらラキヤで暖を取るんだ…
確かに私も寒い日やストレスの溜まった日にはラキヤを飲んでいました。
グラス1杯でテンションマックスで、そのままベッドダイブ。
全てを解決というよりも脳を強制シャットダウンしていました。
でもさ、こんなのジョークだと思うじゃないですか。
だけど、嘘なのか本当なのか分からないのがブルガリア。
いつだって人々を驚かす事に関しては期待を裏切りません。
その日、私は脳神経外科実習で開頭術後の患者を診察に行きました。
患者のベッドサイドの引き出しの上にのっているのはなんと、
ボトルウォッカ!!
『これなんですか…?』
当然、誰かが指導医に聞くじゃないですか。
誰しも入院患者のベッドサイドにお酒があるなんて思いません。
指導医は一言。
『あぁ、あれ飲むと患者さん術後の痛みを感じなくなるから。』
それ以上担当医に質問するメンバーはいませんでした。
医師ですら、酒を薬だと思うのか。
ブルガリアの病院実習で、貧しい国で医療資源が少ない中、あるもので代用しているシーンは何度か見かけました。
だけど、術後鎮痛をアルコールに置き換えたらだめでしょ…
ブルガリア人の友人が教えてくれたのは、自国を皮肉るブラックジョークだったのでしょうか。
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