Pちゃん@ブルガリア医学部

ブルガリア医学部を卒業しました。留学生活の思い出や取り留めのない事をゆるゆる書いていき…

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ブルガリア医学部を卒業しました。留学生活の思い出や取り留めのない事をゆるゆる書いていきます。

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東欧医学部に留学した話

私が東欧医学部に単身乗り込んだのは10代の終わり。もう10年も前の話である。 空港から大学のある街までバンで揺られること3時間。2月の始めで吹雪いていた。耳がちぎれるほど痛い。首都のソフィアから離れていくと、吹雪の中から辛うじて廃墟群を見えた。『なんて灰色な街なんだろう。』そう思ったことを覚えている。 都会に住んでいた私にとって、全てが田舎染みた選択肢のない国で10代を終え20代の初めを生きることは、夢と私の持つはずだった楽しい時間を全て引き換えにしたのではないかという感

    • 東欧医学部卒が専門医になるまで

      昨年専門医試験を受けまして、年明けに無事合格したことが判明しました。 よかったー。 はてさて。 専門医試験に受かって改めて思ったのは、『これで自分の経歴コンプレックスから解放される』でしょうか。 この10年、書類手続きの卒業大学の記載を求められる度に、この経歴が自分のキャリアに何か影響するのだろうか、そんな不安に苛まれていました。 結果としては、厚生労働省の書類提出も、国家試験も、就職も、大学院入学も、専門医試験も、ブルガリアの医学部だったからという理由で、減点され

      • 新しいことを始めること

        新しいことを始めるのはいつだってしんどいもので、道無き道を足元を救われながら草をを掻き分けて進んでいるような、いつもそんな感覚になる。 はてさて、今週は調子が悪くてずっと凹んでいた。そんな私を見かねてか、先輩が『1週間思いっきり落ち込んで、また元気になりなね。』なんて優しいことを言ってくださったのだが、なかなか気持ちが浮上しないもので困ったもんだ。 新しい事は初めはワクワクする。 時間が経つと自分の不足している面に目がいき始める。 新しいフィールドに飛び込んだ時、自分

        • インド人の先生達から学んだこと

          私が在学中、生化学を教えてくれるインド人の若手の先生がいた。 その先生のお名前は失念してしまったので、仮にA先生としよう。 A先生はプレヴェン大学の卒業生で、当時は教師になりたてだった。 計3回しか授業を受け持たなかったのだけれど、英語に慣れていなかった私でもすごく面白くて、この先生の授業をもっと受けたいと思うくらいだった。 初めてA先生の授業を受けて2年経ち私が3年生の時、大学構内ですれ違ったA先生に話しかけた。A先生は私のことを覚えていてくれた。(日本人が少なかったから

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          ブルガリア人とヨーグルトへのこだわり

          先日、ハンガリー医学部を卒業した日本人の方にお会いする機会があった。 「ハンガリーなんてマイナー国で誰も知りませんよ。」なんて言われて「いやいや、ブルガリアも...」と言いかけてやめた。明治ブルガリアヨーグルトとブルガリア出身力士のお陰で、意外と日本人の中でブルガリアという国が認知されている事にふと気づいたからだ。 多くの日本人のイメージ通り、ブルガリア人とヨーグルトの関係は長い長い歴史があり、生活にも深く根付いている。 ブルガリアのスーパーには、日本のコンビニのペットボ

          ブルガリア人とヨーグルトへのこだわり

          海外医学部卒は大学院に入るのも一苦労

          医師国家試験を取得した後の進路はいくつかある。 病院で患者さんの治療をする臨床医、研究室で病気のメカニズムなどの解明をする研究医、企業して他の職種として働くなど様々な働き方がある。 海外医学部に行く人はほとんどが卒後に臨床医として働くことを目標にしているのではないだろうか。 かくゆう私も臨床医希望で日本の国家試験に受かって働き始めたが、先輩に声をかけていただいたことがきっかけで、どちらかと言えば研究よりの臨床研究をしたいと思い始めた。臨床研究が何かというと、私の場合は希少疾

          海外医学部卒は大学院に入るのも一苦労

          身の程知らずに頑張ること

          『うちは医者家系じゃなくて...医療ドラマとか漫画とかってかっこいいじゃないですか!医学部入って夢見心地だったんですけど働いてみて現実を知ったというか...自分の実力が見えてきても名医を目指すことが正義って思っちゃうんです。』 『チャレンジせずに楽な方に進む事は逃げではないでしょうか?』 この間、後輩の進路相談に乗った時の話。 数年前から専門医過程の医者の雇用は、各都道府県ごとに人数が定められ、各病院に実際の雇用できる人数として割り振られるようになった。今までだったら、

          身の程知らずに頑張ること

          ブルガリアで作る日本の味

          ブルガリアで日本の食材を手に入れるのはとてもハードルが高いです。あったとしても、スーパーのまれにやっている日本食フェアで手に入れることができるかどうか。(日本の食材はすごく高い) しかし! 日本で食べていたものを、ブルガリアでも意外と作ることができます。 栗ご飯 ブルガリア人も米を食べます。米はいろいろな種類が売っていて、私は鍋で米を炊いていました。鍋で米を炊く方法は意外と簡単で、米の上においた手に水がかぶるくらい入れて後は火にかけるだけ。 「はじめちょろちょろなか

          ブルガリアで作る日本の味

          また留学がしたい!

          暇な時にブルガリア時代の写真を見返して、また留学したいなーなんて考えている。 いろんな事があったけれど、振り返ってみるとブルガリアのプレヴェンっていうど田舎は私の肌に合っていたと思う。 時間の流れのゆっくりさとか、いろんな事が適当だけどちゃんと物事がまわっている感じだとか。不便さの中に工夫が生まれたり、生活や行動に選択肢が減って現状に満足する心が生まれた。なにより、自分が日本人としての行動とかモラルを強いられないっていうのがよかった。ありのままの自分で生きることができたっ

          また留学がしたい!

          あえて留学経験を隠す訳

          『Pちゃんってあまり留学してた感じしないよね〜。留学してた人ってさ、もっと留学してましたアピールすごいじゃん。』 ある日同期にそんなことを言われた。 何を隠そう、私は自分の経歴を話した時以外で留学経験を人に悟られないように細心の注意を払っている。 留学していた事を隠したいと思い至った理由はいくつかあるが、出る杭は打たれるという事を身をもって知っている事が1番の理由だ。 2013年にネットで少し話題になっていたクソ女処刑botの画像から。この画像を見て、当時自分自身を省

          あえて留学経験を隠す訳

          オーベンから教えてもらった若手医師がやるべき3つの事

          午前の仕事のルーチーン(検査、カルテ記載など)を終えると大抵一息つく時間がある。その日も午前の仕事を終えて、早く検査結果出ないかなぁなんて思いながら、カルテの前ぼーっとしていた。そんな私をみかねてか、隣にいたオーベン(研修医や医師を指導する上司)が唐突に口を開いた。 『先生、若手医師がやるべき3つのことって知ってる?』 『(やば、サボってたのばれたか⁉︎)勉強ですか?』 『こういうのってあまり教えてもらわないからねえ。』 オーベンによる若手医師がやるべきこと3つ ①

          オーベンから教えてもらった若手医師がやるべき3つの事

          当たり前が当たり前じゃなくなった日常に思うこと

          医療者がコロナ感染することの社会的リスクを考慮して、この半年は働くか家で寝るかという干物みたいな生活をしていました。いくら根暗と言えど、毎日淡々と仕事をして家に帰る生活は息が詰まります。そんなコロナ騒動の中、1年に1週間だけ許されているあのおやすみがやってきてしまったので、近場で楽しませてもらうことにしました。 半年ぶりの買い物はThe PERFUME OIL FACTORYのバラの香水。 この香水何がすごいかって、ブルガリアを離れる時にもらった香水と同じ匂い!! ブルガ

          当たり前が当たり前じゃなくなった日常に思うこと

          根暗コミュ障の留学生活

          留学をすると、世界中の友達ができてかけがえのない経験ができるとか自分に世界が広がるとか、そういう考えの押し売りが嫌い。 なぜなら、私自身がそういう考えに囚われて苦しんでいる1人だから! 何を隠そう、私は友達が少ない。 自分の気分にあった生活をしたいから予定を立てることが苦手。予想外に連絡が来ると自分に踏み込まれる気がしてしんどい。その場では相手に興味が湧いても次から次へと自分の中の興味が移り変わって関係を維持することができない。 そんな奴が、気軽に友達を作りに行けるわ

          根暗コミュ障の留学生活

          誰に医学部留学を勧めるか

          以前ブログを書いていた頃もだけれど、 医学部留学を勧めるか という記事が必ずと言っていいほどアクセス解析上位に入ってくる。 改めて医学部留学について考えてみたけれど、基本的にはお勧めできないという考えは変わらない。 ただ、例外的に留学を勧める人たちがいる。 2、3浪しても医学部に合格できない20台前半の子達だ。 医師として働いていると、行く先々で出身校を聞かれる。私の出身校のお陰からか医学部受験をしている子を持つ母から相談を受ける機会が多い。 こないだ聞かせても

          誰に医学部留学を勧めるか

          先輩に人生そんなもんだよと言われて思ったこと

          予想外のことが起こった時、この世の終わりなんじゃないかってくらい落ち込んでしまう。 私は不安定な状況や変化にめっぽう弱い。 そう言う時は常に最悪の未来を想像して、それを回避するために脳内であれをすべきだとか、これをすべきだとか、プチパニックを起こしている。 不安についてネットで調べてみると、人が考えうる最悪のことは得てして起こらないから大丈夫とか言っているサイトを見かけるけれど、それって違って、最悪の事態に備えて行動しているからこそ、結果が最悪にならないだけなのではない

          先輩に人生そんなもんだよと言われて思ったこと

          ブルガリア医学部卒であることを日本の現場でどう活かすか

          『あなたって本当に上司運がいいよね。』 旧友にそんなことを言われた。私もそう思う。 初期研修が始まった初めの1ヶ月。慣れない日本の医療現場、上司との関係。私の目には周りの同期達は本当にうまくやっているように見えた。日本の医学部に行けなかったコンプレックスは自分が思っていた以上に凄まじかった。今なら同期達は要領の良さはあるものの、アンテナを張り巡らせて自分が出来る事を必死に考えながら働いていたんだと冷静に考えることが出来る。当時はブルガリアの医学部を卒業したからできないのか、

          ブルガリア医学部卒であることを日本の現場でどう活かすか