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ミスを減らし金を浮かすスケジュールの組み立て方

今回も、当たり前の話に落ち着いてしまったので、自分のスケジュール作成方法が確立されている方は流し見して頂ければ幸いです。偉そうなことを言いつつ、私も出来ていないことがありますし、誤植も起こしましたが、その経験をもとに、なるべくミスのリスクを軽減できる方法を模索して、意識するようになったスケジュールの作成方法です。

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ほとんどの仕事がそうであるように、広告の制作進行も費用・スケジュール・内容の3要素が揃わないと進められません。正確には、一部進行できたとしても完成しません。不足した状態で進行することで、最終的には0から組み直すパターンもあります。

昔、先輩からこの3要素を「カネ・スケ・ナイヨウ」と言われました。(まんまですね。)きちんとしたオリエンなら良いですが、クライアントがトップダウン(クライアント社内で上長の決定によりやらなければならない状況)で急遽制作を始めなければならない案件の時に、カネ・スケの要素が抜け落ちる事がよくあります。3拍子を揃えてから制作を開始する。これをクライアントとしっかり握っておかないと、クライアント含め関係者全員が痛い目に合います。

今回はこの中でもスケジュールについて、私のやり方を紹介します。あくまで話の中心は広告業の制作進行においてですが、あらゆる職種に応用できるものだと思います。結婚式の幹事でも、旅行プラン作成でも応用が効くかと思います。

まず大前提として、スケジュールを組む目的は、①予定通りに不備なく(事故なく)施策を進めるため、②限られた予算を効率的に活用するため、だと考えています。それぞれ細かく話します。


①予定通りに不備なく(事故なく)施策を進めるため

施策の開始日が決まったら各制作物のスケジュールを逆算で詰めていきます。その中で広告制作進行時に私がよくやる工夫を紹介します。

工夫1:クライアントの社内説明のタイミングを落とし込む

スケジュールを組む時、代理店・制作チーム側ではツールの進行スケジュールに目が行きがちになりますが、そもそもクライアント側の稟議が通らないと作りたいものも作れません。稟議には、最低限上記の3要素(カネ・スケ・ナイヨウ)が必要になります。「ナイヨウ」に関しては、クライアントや担当者によって必要な完成度が変わります。「クライアントの稟議のタイミングはいつになるのか」「稟議までに何を用意しておかなければならないのか」をクライアント担当者と話し合っておかないと、直前になって制作物の提出日を早めなければならなくなり、スケジュールがどんどん崩れていきます。急遽、社内説明に間に合わせるために、提出物のクオリティが下がり、やり直しになったら元も子もありません。クライアント側で必要な手続きを理解し、一緒にスケジュールに落とし込むことで、リスクを減らすことができ、クライアントにとっても、社内での動きが可視化されている方が使いやすいスケジュールになると思います。


工夫2:各協力会社の作業内容と時間を理解する

制作物の入稿作業や印刷、ムービーの書き出しなど、クリエイティブの出し戻し以外にも膨大な作業を制作チームは対応しています。その作業は何をしていて、どのくらいの時間が掛かる作業なのかを理解しておくと、下記のようなメリットが得られます。  

〇調べなくてもある程度のスケジュール感が分かるので、概算で全体スケジュールを素早く作成できる。※もしかしたらイレギュラーで通常通りの対応ができない場合もあるので、もちろん最終的に裏どりは必要です。同様に、スケジュールの変更が起きても、ある程度予測できます。  

〇急な案件が発生した際、”物理的に"間に合うかどうかをすぐに判断でき、現実的なスケジュールをその場で提案できる。
 ※物理的に、が重要です。基本的なスタンスはどうすれば出来るかを考え、あらゆる手を尽くします。それでも不可能なものは不可能と説明し、別の条件を出します。オフセット印刷1000枚はどうしても間に合わないが、オンデマンドで100枚までは可能。なので最初はオンデマンドで対応して、その後オフセットで分納(部数を分けて納品)する、など。  

〇制作チームに負担の掛かりそうな部分に適切な時間を設けることができ、ミスを減らすことができる。

話が逸れますが、制作物の校了と入稿が同日になっているスケジュールをよく見かけます。デザインカンプ(制作物の仕上がりを具体的に示すために作られる見本)が校了して、営業とクライアントは終わったーと肩の力を抜きますが、デザイナーはここから入稿用データ作成の作業が残っています。  

トンボ(断ち切りのライン)が入っているか、テキストデータのアウトライン(印刷環境の違いによって文字化けを防ぐために、テキストを図形データとして再設定する作業)がされているか、画像のリンクが正しいか等々、細かいチェック項目に照らし合わせて、入稿用のデータを作成します。B1ポスター1枚でも1~2時間かかることもあります。校了と入稿が同日だと、校了した時間が遅い時間になればなるほど、デザイナーは夜中に働かなければなりません。なので、校了日と入稿日は分けます。修正対応後の疲弊した状態で、入稿作業をするとミスも出やすくなるので、入稿はなるべく翌日に落ち着いて対応できる環境を整えられるようにします。

こんな感じで、各制作者の作業内容を理解していると、あらかじめミスが出にくいスケジュールを組めるようになります。


工夫3:モノを作る会社(印刷会社やノベルティ会社など)から提示された入稿日よりも1日前に入稿日を設定する。

そのままです。例えば、印刷会社から「4月10日に入稿をお願いします」、と言われたら、8日校了・9日入稿のスケジュールを組みます。上記コツ2で記載したような、各制作会社の作業内容を理解していると、実際は印刷会社から提示された期間はバッファ(予備期間)が設けられていることに気づきます。ただし、それを最初から削ってはいけません。むしろ、多少その前のデザイン出し戻しの期間を縮めてでも、入稿直前はスケジュールを多めに確保するようにします。焦って進めた案件ほど、データに不備があり、再入稿が必要になったりします。特に経験したことない制作物ほど、「絶対に何か起きる」という意識で慎重に進めた方が賢明です。ノベルティなどの「物」の制作スケジュール短縮は最後の砦と考えた方が良いと思います。


②限られた予算を効率的に活用する

なぜスケジュールの話なのに、金の話が出てくるのか。と一瞬感じる方もいるかもしれませんが、皆さんご存知の通り、スケジュール(=時間)は金になります。一番わかり易い例だと、特急料金です。デザイン制作においても、印刷においても、特急で対応してもらう=他に抱えている案件よりも優先度を上げて対応してもらうことになるので、特急料金が発生します。協力会社から言われない場合でも、代理店側から言ってあげるべきだと思います。「急遽発生した案件で、特急で対応して欲しい。もちろん特急料金を払うから。」という感じです。
また、例えば複数の著名人を集めた対談動画を撮影するとします。全員が同じ日に揃って1日で撮影を終えることが出来ればよいですが、候補日程の幅が少なく、どうやっても2日に分けないと撮影出来ない場合は撮影費が倍になってしまいます。これも、スケジュールに余裕があれば、より多くの候補日を確保することができ、1日で撮影をやりれる可能性を高めるので、より予算を効率的に使うことが出来るようになりますを
本当にやむを得ない場合を除き、スケジュールで対応出来ないが為に、発生する料金は無駄金だと思っています。限られた予算を無駄にしない為にも、スケジュール作成は重要な要素だと思います。


最後に・・・スケジュールは守ってなんぼ

スケジュールを作ると、なんだか仕事をした気になってしまいますが、スケジュールはその通りに進行してこそ意味があります。スケジュール通りに進めるには、それぞれの段階で労力が必要になります。その労力があってこその仕事だと思いますので、面倒がらずに前進していきたいですね。

上記以外でも、何か思い当たる工夫があれば随時追記更新していきたいと思います。参考になれば幸いです。


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