読書記録56『赤めだか』
立川談春
『赤めだか』
(扶桑社 2008年)
将来の夢はなんだったか?と考えると中学校の時から「教員」だった。
それは身近な職業しか知らなかったのだだけだと思う。
決して良い生徒ではなかった自分自身をつかず離れずの距離感で導いてくれた高校時代の恩師がいて…。
その影響(恩を感じた?おれもそうしたい?等々)もあり結局、教職に就いた。
大学を卒業した当時、公立の試験がなかなかパスできない超氷河期=倍率は約100倍
(努力しても努力してもなんとも通らなかった…。)
そしてあなたには公立という水が合わないとは、いろんな人によく言われ続け笑、現在私立にお世話になっている。
(公立とは違い私立って「建学の精神」っていうものがあり独自にいろんな教育活動ができるのです。いいでしょ?)
馬鹿馬鹿しい話ではあるけども、今どんな職業に就きたい?と聞かれれば迷わずに「プロレスラーか落語家」と答えている。
それくらい興味がある。まずどう考えても運動神経も体力もないためレスラーは無理だ。
割と本気で落語家になりたい。
「赤めだか」は、立川談春の青春譚。師匠や兄さんたちとの関わりが描かれる。
若い時には苦労をするものだと「昭和的」考え方は、コンプラ違反になるのだろうか?
そんな時代。理不尽なそんな話は今の若い子にはぐっとはこないかもしれない。
40も過ぎて振り返ると、尊敬できる先輩の背中を見ながら学んできた気がする。
(今は、そんなことは無理。生徒だけでなく若い先生は丁寧に励まし教え伝える必要がある。)
不器用な師匠「立川談志」に心底惚れ、その愛情を受ける。いい関係性だなと思う。
(文中の立川流。もちろん救われないことは98%くらいある。ほとんどが理不尽な世界。)
身の回りにもいろんな先輩がいる。かっこいい先輩がいるということは本当に頼もしく心地よく思う。
昨年、とても期待していた後輩が離職してしまった。これは家庭の事情や夢を追うために仕方がないことだったが何かもっと力になれなかったのかと後悔した。
だから今年度の自分の目標を定めた「後輩(若手教員、生徒)を励ます1年間にしよう」と。
さらに授業は高座のようなものだなとも感じる。古典落語をどのように自分らしくお客さん(=生徒)につたえられるか。
落語家に憧れてはいるが、同じような職業についているじゃないかと思うような日もある。
先輩、後輩との関わり。仕事として邁進する姿勢。「赤めだか」は、ただの青春譚ではなく自分と重なる。面白くて一気に読了してしまった。
『落語とは人間の業の肯定である』
この言葉を何回も何回も何回も考えてしまう。
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