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たった1つの極小マウスが特別支援を変えました!

今年の夏、僕とA君はそれまでの学校生活をガラリと変えるものに出会いました。個別の支援を達成するための「適切なツール」がいかに支援の充実性を高めるのかを実感しました。
その適切なツールとは

超小型マウスです!

今日はこの新しい相棒の魅力を紹介します。

結論は次の3点です。

・筋力がほとんどない子どもでも使える。
・Chromeブックの画面キーボードと組み合わせることで、自分の意思を伝えることができる。
・結果として生徒のコミュニケーションの幅が格段に広がる。

特別支援は、その子の特性にあった相棒を見つけるだけで、大きく変わる一面を持っています。特別支援で働くみなさんにこの記事が届けば幸いです。

※私が担当する生徒は、筋力がほとんどなく手足を自由に動かせません。また声を出すことができず、筆談などで会話します。そんな特性の生徒の担任として役立ったものであり、それ以外の生徒にも役立つとは限りません。

買ってよかったものは、超小型マウス!

このマウスはなんといってもコンパクト!。

横4センチ、縦5センチ、重さはたったの25グラム!

彼は筋力がほとんどないため、太めのペンは持つことができません。普通のマウスを使うこともできませんでした。それがこれを使えば一発解決。小さくて軽いマウスは、スイスイ動かすことができるんです。

iPadなどのタブレット端末があるじゃない?

でもさ、iPadやchromeブックのタブレット端末はタッチパネルで操作できるから、そっちのほうがいいのでは?と思ったそこのあなた!そうなんです。私も当初はそう考え、iPadも購入し使ってみました。

しかし、問題は自力で腕を動かせず、また腕の可動領域がほとんどないことでした。そのためディスプレイのほとんどを自分で触れることができないのです。

ここは盲点でした。サポートツールになるはずのタッチパネルは、彼の場合まったくサポートにならなかったのです。これは特別支援教育ならではだと思います。個別の支援を工夫することがいかに大事か、彼から学ぶことができました。

活用例 画面キーボードと組み合わせる。

それまでchromebook本体を片手で持ち、もう片方の手で彼の手を持ち、腱鞘炎になるんじゃないかという状態でタブレット端末を使っていましたが、画面キーボードとマウスを組み合わせたことで、いまでは私の支援を一切必要とすることなく、タブレット端末を使いこなしております。

画面キーボードとは、ディスプレイの一部にキーボードが表示される機能のこと。ChromeBookだとこんな感じ⇩

画面右下が画面キーボードです。もちろん大きさは変えられますが、これくらいの方が画面を邪魔せずいいと思います。

手順は次のとおりです。

まず右下の時計をクリックして、ユーザー補助機能をクリックします。

そうすると、下の方に画面キーボードが出てきますので、これをオンにします。

そして右下のこのマークが画面木ボードオン・オフの切り替えアイコンになっています。ちなみにGoogleの検索画面などをクリックするだけでも起動されます。

実際はこんな感じになります。

こんな感じでGoogleドキュメントで会話したり、ノートをとっています。

本当は写真を撮りたいし、動画も撮りたいんですが、なにぶん教育現場でのことなのででできません。

結局何が変わったのか。

この小型マウスとChromebookを組み合わせたことによる一番の変化は、彼のコミュニケーションの幅が大幅に拡大したことです。

すでにお伝えしているように、彼は発声することができません。唇を震わせて「ブブブッ」という音を周囲の人間が何らかのメッセージだなと思うしかないのです。

ですから周囲の生徒と発話によるコミュニケーションはできません。筆談はできますが、その場合レスポンスが圧倒的に遅くなります。周囲の子どもたちだってできればスムーズな会話を望みますよね。

彼の発達を考えたとき、最重要課題となっていたのが、クラスメイトと自発的なコミュニケーションをとることです。社会的自立の視点で考えたとき、自分の意思を他者に伝えることが、学力以上に重要だからです。

だからこそ、私もiPadを使ったり、トーキングエイドというアプリも使いながらやってきましたが、常に2つの課題がありました。
それは、介助者がいなければ筆談もiPadでの画面表示もできないということ,そして圧倒的にレスポンスが遅いということです。

しかし、極小マウスはこの課題を簡単に解決してくれました。

まず彼自身の力だけで、自分の意思を文字にして伝えることができます。私がいなくてもパソコンとマウスだけであれば大丈夫です。

そして画面キーボードを使っているにせよ、レスポンス速度も格段に速くなりました。元々パソコンに触れることが好きで、パソコン部にも所属しており、アルファベット入力はお手のものです。

宿泊研修の散策コースなどの話し合いにも、パソコンとマウスだけで参加し、しっかりと議論に参加できていました。疑問に思ったことを聞いたり、聞かれたことに具体的に返答したりと、これまで以上に彼のポテンシャルに気づくことができました。

周囲の反応

この変化に一番驚いたのが、小学生の頃から彼と学校生活を共にしている看護師さんたちです。にわかの私より、彼の成長を見守ってきた看護師さんたちだからこそ、その変化に一番驚いていました。そして、それは保護者の方も同じです。授業参観で宿泊研修のまとめを紹介している姿やいつもの授業の姿を見て、「いまはこんなことができるんですね!」と言っていただきました。支援冥利に尽きると言ったところです。

特別支援は工夫一つで全てが変わると言っても過言ではありません。このマウスを作ってくださった開発者の方に感謝します。そして今同じような状況にある生徒先生、保護者の方にこの記事が届き、何らかのヒントになれば幸いです。

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