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生まれて初めて読書会に行った話②

最近思ったこと。赤ちゃんとペットって、人間の気まずい沈黙の間をもたせる特殊な存在だということ。
成人した人間同士の会話でもう話すことがなくなったとき、おもむろに赤ちゃんやペットに話しかけて間をもたせたりしません?あれです。
赤ちゃんや犬猫に向かっておもむろに「◯◯ちゃんは可愛いでちゅね〜」「お腹すきまちたね〜」ってなんとなくやってしまう。もう話すことのない気まずさが数値化できるとしたら、いったい赤ちゃんやペットはどれほどの沈黙を背負ってきたのだろう。

そして、読書会

仕事中の暇つぶしネットサーフィンでたどり着けた、幕張のLighthouseという、今の私が求めていた本屋さん。ウェブサイトのお知らせコーナーに記載されていた「読書会」の3文字にビビビっと惹かれて、数時間後にお店のinstagramで「課題図書を読んだことがなくても参加できますか」と訪ねた。
とにかく読書会というものに参加してみたかったのだ。
お店からすぐに返事が来て、「課題図書を読んでいなくても大歓迎です。気軽にお越しください」って!わー嬉しい。すぐにホームページから受付登録をすませて、読書会はもう翌日だ。

初めて降りた幕張

幕張といえば幕張メッセ、大きなイオン、コストコ、ゾゾタウン帝国、アウトレットと、とにかく大きな施設が街にあるイメージだったんだけど、LighthouseのあるJR幕張駅はなんてことのない普通の駅だった。
道すがらに昭和っぽい古本屋があって心惹かれた。

今回は時間が限られていて立ち寄る暇なし、次の楽しみに。

てくりてくりと10分も歩かないうちにLighthouseについた。小さなお店がいろいろ横並びになっていて、左にたい焼き屋さん(帰りに友人へのお土産に全種類を2つずつ買った。アップルシナモンとポテトサラダ味が美味しかった。また絶対買おう)、あと右におしゃれなカフェがあった。
ここで本を買って、たい焼き食べて、コーヒー飲みながらゆっくり本を読むことができる一角!こういうの、私の最寄駅にあればなぁ。幕張羨ましい。

読書会の始まる10分前に到着したので、店内をいろいろ見た。ZINEがたくさん置いてあったり、物々交換コーナーや子供募金(ここに寄せられた募金は子供がここで本を買うときにあてがわれる。良い仕組み!)なんかもあって、店内にいろんな循環システムがあるように感じた。

読書会

詳細な内容は割愛するけれど、本当に行って良かった!課題図書について話すからもちろんネタバレはあるにしろ、私を含めた参加者4人+ファシリテーター?の方、それぞれが色んな見方をしていたから、「今すぐ課題図書を読ませてくれ・・・・・」と何度も思ったわ。
ストーリーの解釈の共有から脱線することは何度もあったけど、その脱線がそれぞれの読者の考え方、それにつながるバックグランドを知る道標になるようで、「脱線こそが本筋」というファシリテーターの言葉がぴたりと当てはまるよう。
あと、批判も過剰な共感もなく、たんたんと人の話を聞いたり、聞いてもらえるのが心地よかった。読書って読者の文化的背景やこれまでの経験、バイアス、後天的なことが物語に反射して、その人独自の読書体験を形作っていてるんだなと、当たり前のことに気がついた。そこには正しさや間違いも、右も左も上も下もなくて、超個人的な他者の営みを垣間見る機会になるというか…。だからこそ、共感も批判もないということが、安心できた。

他者を通して自分をみる

私はここ数年、自分と他人(それは友人や家族も含めた他人)を比べることの一切を止めることに努めてきた。努めているだけで、完全に止められたかといえば全く別の話なんだけど、少なくとも今の自分が持つもの、置かれた環境、できることに注力することで、いたずらに自己肯定感を下げたり自分のこころを傷つける他人への羨望を排除してきたつもりだ。
でも他人と関わる以上、「すごいな」「憧れるな」「こんな人になりたいな」「こんな生活がしたいな」って比較対象は絶対にできちゃうのもわかってる。逆に「これくらいの人もいるのだから、自分はこの程度でいいのか」というパターンもある。
もしかして、この感情が怖くて、昨年日本に帰国してから人付き合いの多くを遮断してきたのかもしれない、と今になって思う。

だからこそ、参加者のバックグランドや個人にフォーカスした情報が一切ないまま、「本」を媒介にして少しずつその人のことを知ろうとする読書会は私にとって大きな意味があったんだ。

「すごい、私もそうなりたい、羨ましい」の感情を、「すごい、あなたが好き、応援する、あなたを好きな私でいれて嬉しい」に変えられるようにしたい。
なんだか色んなことを感じた読書会体験だったから、またLighthouseさんに限らず色んなところで参加してみたいなぁ。

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