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第76回 辛い長ネギに当たった。

辛い長ネギに当たった。最悪。
辛い長ネギは薬味にするには主張が強すぎる。辛みしか口に残んねぇ。最悪。たぶんたくさん並んでた長ネギの中で、一番辛いやつを引いてしまった。


2本1束198円。ちょっと高い日だった。先週は2本1束100円だったのに。
無くてもいいけど、あった方がいい薬味の長ネギ。それがこの自粛期間で学んだことです。だから一回スルーしたけど、引き返して買うことに決めたのよ。

一発目に手に取った、太くてかたい立派な長ネギ。「俺をカゴに入れてくれ」と言わんばかりの太さとかたさ。男からしたらとても羨ましい長ネギ。

こんなに立派なのに、あたしが手に取るまで何で残ってたのかと。
他の売り場には目もくれず、長ネギだけをカゴに入れてレジへ向かう。長ネギだけならカゴは要らねぇ。途中カゴを戻し、長ネギだけを手に持ってレジの行列に並ぶ。その姿、聖なる剣を持った選ばれし勇者。
選ばれし勇者、小銭でお会計を済まし、明らかに間違ったサイズの家から持ってきたビニール袋に入れて、スーパーを後にするのだった。


待ちに待った晩酌の時間。

浸けに浸けた鳥むね肉のチャーシューに、買ってきた長ネギを気持ち多めに切って綺麗に散らす。
これですよ。あたしゃこれを食べるために今日を生きた。有難う長ネギ。気持ちよく、今日という日を終わらしてくれ。



めっっっちゃくちゃ辛いじゃねぇかよ。
長ネギの辛みしかねぇじゃねぇか。食感はほとんど肉だったんだぜ。それくらいの量しか口に運ばなかったのに。主張強すぎ。失敗した。


だから売れ残ってたんか。
まだあたしの中に振り分けられるスキルが残ってるなら、手に取っただけで長ネギの辛さが分かる能力に極振りしたい。



よりよいはきだめのために使わせていただきます。