世界はイズムであふれている
小説「ロンリー・プラネット」販売開始しました!
昨日、編集長から写真が送られてきました。私の原稿の校正作業の風景です。兵庫県にある小さなひとり出版社、白兎舎。はくとしゃ、と読みます。立ち上げたばかりの新しい出版社です。
私はこの会社から2冊目の小説を、単行本だったデビュー作とは趣向を変えて、電子書籍という形で出すことに決めました。タイトルは「ロンリー・プラネット」。アメリカはサンフランシスコを舞台にした、アーティストたちの物語です。
ただいま、最終準備の真っ最中。生原稿から徐々に本になっていくプロセスを見るのは、本当に嬉しい時間です。
写真に写っている白猫は、編集長の大切なご家族で、編集長の片腕として私の原稿の校正作業を担ってくれているらしい。肉球でタイプを打つのに疲れて、また、猫目でパソコンの明るい画面を見続けるのに疲れて、途中で眠ってしまわれたそうな。
私はこの小説「ロンリー・プラネット」を書いている時から、この作品は電子書籍向きなストーリーだなと思っていました。
「小説に単行本向きとか、電子書籍向きとか、そのような境界線はあるんですか?」
2年前の単行本デビューの頃から応援して下さる読者さんから、そのような質問を受けました。そうですね。あくまで私が考える紙よりも電子書籍に向いている本というのは、政治性が濃かったり、著者の世界観の方向付けがはっきりと色付けされているものです。そして「ロンリー・プラネット」はまさにそういう本なのです。
私自身の人生観や価値観を登場人物たちに色濃く反映させたストーリーを、伝わる人に届けたいと思っています。書店の棚に並べるために、万人向けに内容や主張を薄めることはしたくなかった。そのような思いで書き進めてきました。
本を出す前から読者を選ぶ
私の背中を押してくれたのは、白兎舎(はくとしゃ)。昨年末に起業して、今年に入って軌道にのせたばかりの新しい出版社が、電子書籍に初めて取り組む私自身の心境とちょうど良いタイミングで重なったのです。この出版社となら、互いに新しい者同士として、試行錯誤しながら共に未来を切り開いていかれると思いました。
一方で、知人からは、今どき、電子書籍なんて古いんじゃない?という声も受けました。アマゾン・キンドルのサイトを覗けば、無数の電子書籍のタイトルが現れる。そう、今は誰だって電子書籍など出せる時代です。そんな周回遅れの今だからこそ、私はこの分野の媒体に駆けてみたいと思ったのです。単刀直入に言えば、本を出す前から読者を選ぶ、という我儘で贅沢なことが、電子書籍なら許されるような気がしたのです。
私のことをすでに知ってくれている人、私と似たような考えの人からじわじわと広がり、友達の友達がそのまた友達を連れてくるようにして、読者の共感の輪がじんわりと拡大していったら嬉しい。顔の見えない幻想の大衆読者を想定して「万人受け」を狙うことはしません。1ページずつ読んでもらうごとに、狭くて濃密で温かい心の交流を読者さんと交わしたいと思っています。そして、私のこうした姿勢はきっと新しい読者たちを連れてくる! そう私は信じています。初めてなのになぜか親しい感じのする、申し合わせたわけでもないのに似た者同士の読者たちが、同じページを捲ってくれる。そんな奇跡が奇跡ではなく起こることを信じています。
もうすぐの刊行まで待っていてほしい。そして、どうかあなたの世界と繋がれますように!
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