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庭で牡蠣を食す

福岡県の糸島に移住して格段にレベルアップしたことの1つが食生活だ。

昨日は産直で買ってきた牡蠣を庭で焼いて食べた。殻付きの牡蠣を炭火で熱していくと、中の汁がグツグツ沸騰し、やがて口が少し開く。そのタイミングで牡蠣を掴み、軍手をはめた手でパカりと殻をあけ、ポン酢をひとたらし。生臭さはまったくなく、とろっと美味しい。本当に美味しい。どれだけ美味しいかというと、魚以外の魚介類を苦手としていた夫が、自ら産直に赴き牡蠣を買いこみ、「なぜ今まで嫌いだったんだろう」とむしゃむしゃ食べるくらい美味しい。

しかも牡蠣、安い。1キロ1000円だ。1キロあれば、大人ふたりでかなり満足できる。そもそも牡蠣ってキロ単位で買うものだっけ?1粒いくら、じゃなかった?

牡蠣なんて東京ではほとんど食べる機会がなかった。殻付きの牡蠣なんてほとんど見たことなく、たまにカキフライを定食屋で食べるくらい。オイスターバーなるものがあることは知っていたが、1個500円するとか聞き、恐れ多くて行ったことなかった。

海に囲まれた糸島、牡蠣はもちろん採れたて。食べ物は採れたてが美味しいのだという、めちゃくちゃシンプルな真実を移住して強く実感した。直売所で買う野菜も魚も美味しい。それどころか、スーパーにならぶ普通の刺身すら美味しいのには驚いた。他県に旅行して、お店で刺し盛りを食べて「これなら糸島の方が美味しいね」と夫と囁きあったことも結構ある。

移住して3年目、移住したての頃は毎日感動していたのが、もはや美味しいことが当たり前になりつつある。これが「舌が肥える」ということか。恐ろしいことである。上京したての大学生の頃、北国から上京してきた友人が、一緒に居酒屋に行ったとき「こんな刺身、まずくて食べられない!」と言ってた気持ちも今ならわかる。子供たちには、「こんな美味しいものだらけなの、当たり前じゃないんだよ!?」としょっちゅう言っているが、余計なお世話であろう。

東京と地方の収入格差があることはよく知られているし、実際データを見ても、平均年収は3割以上低い。でも移住先のこの地に住む人々は、総じて明るく毎日楽しそうだ。県民性や暖かな気候も関係してると思うけれど、安くて美味しくて身体にいいものがすぐ手に入る、という環境も大きいと思う。美味しいもの食べてれば大体幸せだもの。東京時代はそれを手に入れるために、たくさんのお金が必要だったけれど、こちらではそこまでお金は必要ないのだもの。



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