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全国大会決勝の逆転劇から学ぶ!『ユーモアとレジリエンス』

2020年1月の全国高校ラグビー選手権は桐蔭学園が優勝しましたね。決勝戦素晴らしい試合に感動しました!

私が注目したポイントは、何と言っても桐蔭学園が「完全な劣勢から逆転して優勝を決めた」ことです。なぜ桐蔭学園は大舞台で逆転優勝できたのか?

技術・体力面はもちろんですが、ここではチームの心理面の要因ついて考えてみます。


強さの象徴

桐蔭学園は2019年ほんとうに強かったですね!花園単独初優勝し、2019年全国大会3冠という最強である証を刻んだといえます。

なんでこんなに強いのか気になって、試合後報道での選手のコメントを追っていました。そこで、私が注目したのは、大ピンチで迎えたハーフタイムのロッカーでキャプテン伊藤選手がユーモアをチームに発信したこと。

ユーモアには「レジリエンス」つまりメンタル面の逆境を跳ね返す力が高める効果があります。レジリエンスとは日本語で「回復力・逆境力・復活力」と訳される心理的な力です。

ラグビーのスキルやフィジカル・戦略面も高校最高レベルである桐蔭学園ですが、レジリエンスの高まったことが逆転勝利の要因としてあげられると感じました。


決勝戦ハーフタイムロッカーでのユーモア

決勝の試合の流れを簡単に説明すると、桐蔭学園は前半、桐蔭学園0-14御所実まで大差をつけられました。そこから何とかPGを決めて桐蔭3-14御所実でハーフタイムを迎えていました。

後半早々に御所実がワントライ決めたらもう勝負ありか!?というピンチの状態だと思います。まあ普通、この状態でのハーフタイムって、やばいやばい汗汗汗。「気合入れ直すぞ」とか「こんなんじゃだめだ」とか喝が入ると思います。

しかし!!!!!!

毎日新聞ニュースの取材によると、ハーフタイム、ロッカーに戻ってきた桐蔭学園伊藤キャプテンの第一声は

「負け試合だね 笑」

と冗談ぽく切り出したそうです。(想像ですが頭ポリポリしてる感じ?)そのあっけらかんとした発言に、選手からは笑いが起こったそうです。

伊藤キャプテンは試合後のインタビューで

「あれで気持ちが切り替わった。後半は別のチームになった」

と言っています。おそらく、戦術面も心理面も完全に切り替えて臨んだ後半は、完全な桐蔭学園ペースで、御所実業は点を取れず桐蔭学園が23-14の大逆転勝利を収めたのです。


ユーモアはレジリエンスを高める

レジリエンスに関して心理学の分野ではたくさん研究が進んでいるのですが、レジリエンスを高めるポイントの一つとして「ユーモア」があるんです。ユーモアが大切な理由は、なんといっても明るい気持ちになれること!

人は明るい気分のときほど、行動が積極的になりやすいので、笑いは気分転換になり、前向きに新しい課題に取り組みやすくなる。(『勝ち続ける組織の法則』より)

納得ですね。

花園の大舞台の決勝、大ピンチのハーフタイムに第一声でユーモアを出した伊藤キャプテン。殺伐とした空気になりかねない状況でのユーモアは、大人でもなかなかできることではないですよね!!すばらしいリーダーシップだと思いました。

そこで笑って切り替え、後半にやるべきプレーにフォーカスした桐蔭学園。もちろんキャプテンの一言だけではなく、チーム全体が日常的にレジリエンスを高めていて、本番でその力が発揮されたのだろうと思います。

逆境、ピンチ、ストレスが多くかかる場面では技術面、戦略面、フィジカル面だけでなく、高いレジリエンスが備わっているかが勝負を左右するということですね。


レジリエンスを高める11のポイント

ちなみにレジリエンスはトレーニングで高められます。気になりますよね照れレジリエンスを高める11のポイント紹介します!(『勝ち続ける組織の法則』より)

①ユーモアを入れる
②仲間・指導者・家族などとの強い繋がりを持つ(安心感・一体感)
③何事もプラスの経験と捉える
④自分をいたわる
⑤過去を割り切る
⑥失敗を活かす
⑦小さな目標を立てる
⑧新しいことをする
⑨とにかく行動する
⑩自信があること・できることを探す
⑪大きな視点を持つ(長い人生の中の一つとしていま直面していることを見る)

レジリエンスを高める意識・トレーニングを日常から行って、大事な場面でピンチになっても逆転する精神力を発揮できるようになりたいですね!!

私ユーモア苦手なので、今年はユーモア取り入れること意識します!


<参考>
・布施努(2015)勝ち続ける組織の法則
・スティーブン・サウスウィック&デニス・チャーニー(2015)レジリエンス:人生の危機を乗り越えるための科学と10の処方箋
・鹿毛雅治 編(2017)パフォーマンスがわかる12の理論
・上野雄己・清水安夫(2012)スポーツ競技者のレジリエンスに関する研究
・Reivich, K., & Shatté, A. (2002).The resilience factor: 7 essential skills for overcoming life's inevitable obstacles.
・小塩真司, 他(2002)ネガティブな出来事からの立ち直りを導く心理的特性
・毎日新聞ニュース(2020)「負け試合だね」主将の冗談が呼び込んだ桐蔭学園単独初V 後半まるで別チームhttps://mainichi.jp/articles/20200107/k00/00m/050/340000c

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