「幸福度」で仕事や働き方を決める
「野心はある?」
そう聞かれて、私は一瞬とまどった。先日この質問を投げかけられた時、答えがすぐに出てこなかった。
「野心は……ない、かもしれません」
結局、そんな答えを口にしたように思う。言葉をやや濁しながら。
■仕事に対する向き合い方
野心とは何だろう。
あれから心の中でずっと引っかかっている。
野心家といえば、ギラギラした雰囲気があり、エネルギッシュに何かを「成し遂げよう」という欲が強いイメージがある。
少し調べてみると、以下のような定義があるらしい。
●ひそかに抱く、大きな望み。また、身分不相応のよくない望み。野望。「政治家になりたいという野心に燃える」「政権奪取の野心をもつ」
(デジタル大辞泉)
●現状よりもさらに高い権力・名誉・財力などを得ようとする心。ひそかにいだいている分をこえた望み。
(大辞林 第三版)
私の感覚は、おおむね合っている気もする。
20代の頃は、私にも野心らしきものがあったように思う。社会人になりたての頃は、自分で働いたお金で生きていけるようになったし、頑張れば何にでもなれるような"万能感への期待"を抱いていた。
けれど、社会の中での自分というものがだんだん分かってくる。これは諦めではなく、客観的といういい意味で。
30代になって、結婚や出産を経て、価値観はまるごと変わってしまった。でも、とても自分らしい。
どこかの女優さんが「30代は引き算」と言っていたけれど、こういうことなのかもしれない。私にとっての"野心らしきもの"は、引き算で引かれる対象だったのだ。
「野心はある?」の質問には、たいていの場合、YESの反応が求められている。特に就活の面接なら、その人のやる気をはかる意図がある。
そんな気もして、つい言葉を濁してしまったけれど、それでも「ない」と答えられた自分に少し成長を感じたりもした。偽っても仕方ないのだから。
■根っこにあったのは「幸福度」だった
じゃあ、今の私が大切にしているものは何だろう。
子育てと仕事の両立、とは常々言っているし、そのバランスを最重視しているのは間違いない。でもよくよく考えれば、それも手段でしかないことに気づかされた。
私の根っこにあるのは「幸福度」だったのかもしれない。
こういう状態が快適で、やりがいがあって、幸せを感じられて。
こういうことが嫌いで、ストレスを感じるから避けたくて。
そうやって少しずつ、紆余曲折もありながら(転職も4回しているし)選び取ってきたものが、今の仕事や働き方なんだと思う。
■足りない20点をどう埋めるか
今の仕事における幸福度は、自己採点をするなら80点ぐらい。こうやって数値化して自分の現在地を確認する方法は、以前のコーチングで学んだことだ。
あと足りない20点をどう埋めるか?
そう考えることで、見えてくることは多い。
もっとこんな仕事に挑戦してみたいし、もっとスキルアップもしたいし、仕事人としてつよくなりたい。そしてもちろん収入も上げたい。
ちなみに言っておくと、野心はなくとも向上心はめちゃくちゃある。学習欲も成長欲もあるし、それは単に"色"が違うだけなのかも、と思う。
キャリアを考える時には「どんな仕事がしたいか」「希望年収はいくらか」といった条件で選びがちだけれど(分かりやすいから)、誰もがもっと幸福度にフォーカスしたほうがいい。真剣に。
でもそれが分からない人も多いだろうから、そういう場合は「消去法」で知るしかない。
私自身がまさにそうで、接客業に向かず、営業に向かず、女の世界に向かず…。転職を繰り返す中で、自分の向き不向きや本音を知った。我慢強さがなかったことが、結果的に良かったのかもしれない(笑)
いずれにせよ、自分の幸福度を100点にするには、どんな仕事や働き方をすればいいのか?という視点は、きっと考えるヒントになるはずだ。
私がここに行き着くまでにはずいぶん遠回りをしたけれど、娘が進路を考える頃には、そっとアドバイスをしてあげたいな。ウザがられない程度に。
それでは、また明日。
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