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疑似体験とはコストを要するものなのか?【ICT夢コンテスト2021優良賞を頂きました!】

日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)が主催するICT夢コンテストというものがあります。https://www.japet.or.jp/japetcec/

この度、ICTを用いた疑似体験的な活動で優良賞を頂きました!


概要

 実験が難しい分野をできるだけ安価に疑似体験するというのがメインのねらいである。校舎全体を人体に見立て、各種臓器や内分泌腺をQRコードの形で配置した。QRコードはGoogleフォームや各種資料などに繋がっている。生徒はクイズラリーのような形で、QRコードを読み込み、主体的に出された課題を解決していく。


工夫特徴

【チェックポイントをQRコードとすることで思考の制御・ファシリテーション等が可能に!!】

 校舎を人体に見立て、生徒達がホルモンになり、各種臓器をめぐり、恒常性を乱す悪を倒すというファンタジー世界を設定した。
 チェックポイントとなる各種臓器をQRコードとしたことが、多くの恩恵をもたらした。このチェックポイントが紙では教室から出て演習問題を解いていることとほぼ同義となってしまう。例えば、Googleフォームの特定の回答のみを受けつける機能を用いて、答えを入力しない限り次へ進めないという制御が可能になった。また、Googleフォーム内にヒントとなるリンクを埋め込み、ファシリテーションをおこなったり、回答状況が記録されるため生徒の進捗状況を確認したりすることも可能となった。
 恒常性にはフィードバック機構という概念が存在する。血糖値が減少すると脳から膵臓などに血糖値を上げるように指示がでるが、その結果血糖値が上がると今度は脳から血糖値を下げるように指示がでるといったものである。これの疑似体験がQRコードを用いたチェックポイントでは可能となる。同じQRコードであってもGoogleフォーム等で条件分岐をかけることで、異なる反応を提示することが可能となるためである。

校舎を人体に見立てたマップ
C階段踊り場に掲示されたQRコードを読み込んだ際に表示されるページ

成果

 活動中の生徒達は活き活きとしており、各所で活発な活動が見られた。想定していた通り、理科の苦手な生徒であっても、主体的に課題に挑み、チームに貢献しようとする姿が見られた。
 特筆すべき点は、本実践は活動2時間、振り返り1時間で実施したが、活動の授業時間が終わっても、教室移動をする生徒を横目に、なんとか課題を解決しようと挑み続けるチームが複数みられたことである。この授業デザインに強く動機づけられていることが如実に表れた結果であると言える。


終わりに

 GIGAスクール構想によりICT機器をどう使わせるかが議論の中心となりがちであるが、所詮ICTはツールであるため、どのような力をつけたいか、どのような姿を目指すかといった生徒の姿中心の議論や授業デザインを心掛けたい。本実践はVRもARも高価なものは一切用いず、GoogleフォームとQRコード、校舎を人体に見立ただけという低コストでの実践ではあるが、その効果は十分認められた。活用の一例となれば幸いである。


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