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エッセイ集

16
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#詩が好きな人と繋がりたい

汚れてしまえ

汚れてしまえ

どんなに幸せにしても
君の白目はまっしろなの
それが美しくて
憎くて
憧れで
君のからだから引きちぎって
今日に掲げて
未来へ駆け抜けていきたい
そうすればこの目も汚れてぼく色になる
キラキラな未来も
汚れてしまえ

茶埜子尋子

はじめて田原坂に行った話

はじめて田原坂に行った話

中学校くらいかな、
父が出かけるの好きで
休みの日はしょっちゅうどこかへ連れて行かれていた
ある日のドライブ先が、
田原坂だったのだ

田原坂にはいる向かいの道側に
まんじゅう屋さんがあって、
最後はそこに寄って帰ろうね、なんて
話しながら、
田原坂公園へ続く山道を登った

一の坂、二の坂という看板があって
どんどん上へ登っていくんだけど、
なんかね、すごく厳かな感じっていうか、
重い色をしていて

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青いやさしい看板

青いやさしい看板

今なら誰かの言葉で簡単に
死ねる気がする
意味のない爽やかな言葉でさえ
藁人形に刺す釘のように
深く黒い鋭いもののように感じる
そんな自分が嫌だよ
分かってるけど
分かってるの
吹き出す気持ちは止まらないし
あの時の一瞬の出来事がこびりついている
錆びて腐って血の味がする
ああ、自分の気持ちだけで
死ねるな
ひとみを涙で覆いつくしながら
真っ直ぐな一本道を
ぐしゃぐしゃと走るんだ
そうしてほんとに

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光へ

光へ

誰にも知られないまま沈んでいた
うまく生きているように沈んでいた
のに
友が言うんだ
君の友達であることが誇らしいんだ
言葉ではうまく伝えられないけれど、と
うまく生きている自信はあったのに
わたしは生きている心地がしなかった
その言葉でわたしが一人死んだ
亡霊が死んだんだ
息苦しくなった
溺れている死んでしまう
必死にもがいて無我夢中で
光の射す方へもがいた
わたしの痺れた腕を引っぱりあげて

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純粋は健康的な幸せ

純粋は健康的な幸せ

好きな人との約束は
急に決まっても嬉しいのは純粋で、
嬉しすぎて気持ち悪くなるのも純粋です
未来が決められているスケジュール帳の
枠を飛びこしても割りこんでこられても
平気な気持ちでいられるのは純粋です
その日は先に予定があったの
でも昼からは大丈夫だった
君じゃないなら、
いいよって言ってなかった
私急な予定変更苦手だもん
好きな人でも基本苦手だけど、
すごく心が軽くなりました
その日晴れたら夕

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