12 オンライン教育の未来

コロナウイルスの休校の影響で多くの学生が学ぶ機会とコミュニティ環境を奪われて、その代替えとしてオンラインで学ぶ・オンラインでつながる事になりました。
GWが明けて、僕が教えている専門学校でも正式にオンライン授業しても良いよという許可が下りて、準備していた環境でオンライン授業を実施しています。今回は2週間ほど計20コマほどの授業を通して気づいた点や可能性などを記事にしていこうと思います。


オンライン環境への順応

リアルに対面で行っていた授業をオンライン化するにあたって、ちょっとした準備が必要です。

一つは教育の本質と授業の本質を振り返る事
二つ目はオンラインに置き換えるという事

教育の本質でいうと社会で生き抜く力を身につける。学校的に解釈をすると、稼ぐための技術力と人間性を身につける。授業ではそれぞれのシラバスに沿った専門知識や技術を身につける事がそれぞれの本質的なところかなと思います。

オンラインの置き換えを考えていくと、失敗するパターンとしてはツールを使う事が目的になっていますが、オンラインで何を置き換えるのか?
これが重要になります。
その為にどんなツールを選ぶのかが大事になります。

僕が選んだツール(サービス)は以下のものです

   ・ Slack
   ・ Notion
   ・ Zoom
   ・ GoogleDrive

以下のツールを活用して何を置き換えたのか紹介します。

① コミュニティ
Slackの雑談チャンネル・Zoomの雑談ルームで朝のコミュニケーション、昼の雑談、放課後の交流などを徐々に置き換えています。
学生同士の交流や先生と学生との交流を増やすことで、学校というリアルな環境をオンラインに置き換える効果を狙っています。
N高さんなんかは既にSlackでのコミュニティが成功していると思いますが、自分の所はまだそこまで文化が浸透するのに時間がかかるかもしれません。

② 授業
Zoomでの対面でのコミュニケーション、双方向の理解確認、ブレイクアウトルームでのディスカッション、リモート操作でのトラブル対応、Slackでの情報共有、授業終了後のZoom講義動画のアーカイブはGoogleDriveにアップしてNotionで授業Wikiとしてリンクの貼り付けと授業メモの共有。(復習も簡単です)、出席管理もNotionで行う様になりました。
授業素材の配布もあらかじめ準備してあるNotionの授業ページからダウンロードが出来る様になっており、課題提出もDriveにアップしてからNotionの課題提出ページにリンクを張り付けてもらう事でデータベース管理をしています。(先日行った演出の授業の授業アーカイブページ例です。消込汚くてごめんなさい・・・)

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③ 学びの機会や刺激を受ける環境
授業とは別に色々な刺激があった方が望ましいです。
ドライに効率を求めてオンライン化を進めてしまうと、視野の狭い教育になりそうなので、Slackでの雑談やコミュニケーション。Notionでの有益情報の共有。Notionでのクラスメイト課題の取り組みやアドバイスがすべて履歴として残る様に工夫して、なるべく刺激を受けやすい環境を準備します。
放課後に何げなく残って作品作っている一人から派生してやる気が出てきた数人が引っ張られる形で制作に打ち込めるのも学校ならではだと思うので、そういった刺激の再現もデザインする事が重要です。

これらを意図的にデザインするために選んだのが紹介したツールになります。特段目新しいツールではないですが、どんな事を置き換えたいのかという視点で選んで活用しているのでかなり有効に活用出来ていると思います。

余談になりますが、ビデオチャットツールはwebexを使う事になっていましたが、自分の環境での致命的なバグが見つかったので即座にZoomに切り替えて対応しています。自分はエンジニアでも詳しくもないので、その辺は目的に応じてシビアに切り捨てています。
学生がお金を払って受けている授業が、トラブル対処で終わったら残念ですからね・・・

コミュニティ・授業・機会の創出これらをオンラインで作りだす為にツールを使っています。なんとなくツールを使っても効果はないと思います。

とても重要な点は順応です。
生物的に言えば

強いやつが生き残るのではない!
変化に対応したものが生き残るのだ!

ってやつです。

実は学生自身にこの心配はしていません。
授業アンケートの結果も100%に近い数字で肯定的で、オンライン授業の方が良いという意見が4割を超えてきました。様々な改善を行っているのでこれから更に増えていくと思います。

順応の一番の怖い部分はトップが変われない事だと思います。
おそらくこの話題は社会全体の問題で、多くの企業のリモートワークでも同じ問題が起きているはずです。
教育業界とて例外ではなく、むしろ今までほとんど変化をしてこなかった教育業界だからこそ、この大きな変化に乗れるか乗れないかで将来が大きく変わってくると思います。

今は試験的に全授業オンラインで行っていますが、今後どのように対応をしていくのか見守っているところです。
オンラインでも、今まで通りの対面でもどちらでも大きな問題はありませんが、個人的にはオンライン化してほしいと思っています。
移動の時間や準備の時間が活用出来てより多くの学校や離れた地域の学校への授業が可能になるので活動の幅や新しい出会いや刺激が増えるのは歓迎しています。


オンライン教育がもたらす変化

オンライン授業を実際に行ってみて様々なメリットがある事が分かってきています。アンケート結果やパッと思いつくものを羅列していくと

メリット:
・ 通学の時間を活用できる(外出トラブルの回避)
・ 交通費や食費の節約が出来る
・ 化粧や準備の時間を少なくできる
・ アーカイブや授業wikiのおかげで復習や予習がしやすい
・ 自分や他人の成長の記録がみれる事でゴールへの安心感がある

・ 空間に依存した制限を受けない
・ 距離に依存した制限を受けない
・ 授業内容を再利用する事で授業の質を上げられる
・ 場所に縛られない幅広いコミュニティの形成が可能
・ リモートワークスキルが身につく

反対にデメリットは

デメリット:
・ 対面でのコミュニケーションスキルが向上しない
・ 自制心が低い学生向けのコーチング対応が以前より重要になる
・ 運動不足
・ 不規則な生活になりがち
組織への導入と理解を得る労力が大変
・ ツール導入コストとセキュリティ管理

かなりざっくりとした感じで書きましたが、デメリットに対してメリットのほうがすぐに思いつきます。。。

このメリットもデメリットも今オンライン授業を実施しているからこそ起こっている変化といえます。
原因がどうあれ行動する事で自分も周りも大きく変わっていくという貴重な経験にもなりました。
これらの変化を認識して、編集・選択をして、次にどう生かしていくのか?
今後求められてくることになるでしょう。
戻るのか?
進むのか?
なぜ戻るのか?
なぜ進むのか?
それが大事になってきます。

オンライン教育環境が変える社会的な影響

ここからは想像の話になります。
このまま世の中にオンライン授業➡オンライン教育が普及するとどうなるのか考えてみます。
もちろん今まで通りの教育も残り続けると思いますがが、現在少数派のオンラインでの教育が逆転した場合どうなっていくのか?

① 住む場所に縛られない
おそらく、オンライン教育が普及した世の中において、リモートワークはかなり普及していると思います。農業や工場の一部の手作業が必要なモノ以外は場所にとらわれる必要がなくなってきます。
そうなってくると今以上に自由に地方にいながら都会の学校へ通う日本にいながら海外の教育を受ける事が可能になり、より教育の質が向上する可能性があります。
それと同時に上下の差が今まで以上に大きくなり、明確なランク付けがされて適切なレベルの学校での教育を受ける方向へシフトすると思います。
住む場所に縛られない事で、様々な経験が可能になるほか、金銭的な節約や今よりも時間的な余裕が増えると思います。
その反面、オンラインでのコミュニケーションスキルを磨いておかなければ社会的に活躍する事が難しくなっていくでしょう。

② 教育機関の質の向上と量の減少
オンライン教育が普及する事で、質の低い成果の出せない教育機関は淘汰されていくと思います。その結果学校数が減り選択肢が減ります。これは良い方向で考えるとよりシンプルに上質な教育を受ける事が可能で、悪く言えば教育内容の単一化をもたらします。
オンライン教育になる事により、人数制限がなくなるので質が低い・需要の低い教育機関は生存が難しくなるでしょう。

③ 先生の役割の変化
現在、学校の先生に求められる重要度の高いスキルはティーチングスキルです。しかしオンライン教育が普及していくと、上手な先生が教えた方が良いと思うようになるため、ティーチングスキルの争いが激しくなっていき、ティーチングスキルが低い先生は必要とされなくなっていく可能性があります。日本は少子化の影響子供の数が減っていきますが、それでも急激に減る事はありません。良い教育を受ける為には知識を教わるだけではなく、大人として社会で生き抜くための考え方や自制心を身に着ける必要があります。
そこで重要になってくるのがコーチングスキルです。
優秀な先生がティーチングを担当して、担任の先生や担当の先生がコーチングをしてサポートしていく連携が必要になってくると思います。
今までよりも手厚いサポートを行いつつ、質の高い教育を受ける事で子供たちが良い環境で学べるようになっていきます。

④ 街の役割の変化
都市集中型の経済が続き、地方は過疎状態になってきていますが、オンライン教育やリモート教育が普及する事で、適度な人口移動が起こる可能性があります。その結果地方の経済や文化が成長して、日本全体が住みやすくなります。人が集まる事で仕事やアイディアが生まれより良い成長をしていくでしょう。

勿論、多くの障壁がある事は理解していますが、単純に前向きにオンライン教育が普及した未来を想像すると、とてもワクワクします。


未来の教育を考える

更にぶっ飛んで飛躍してみます。
10年後?
もしかしたら50年後かもしれませんが。。。

もし未来の世界で攻殻機動隊の様に簡単に脳内に情報をインプット出来る様になったらどうでしょうか???

おそらくティーチングの必要性や教育そのものの考え方が変わってくると思います。
社会で生き抜くための力を身に着ける
という視点で考えたとき。
社会がどうなっているのか想像する力も必要でしょう。
歴史や世界史の知識はもうしばらくは人間を助けてくれます。
身体を鍛えずとも、必要な機能が得られるパーツに換装する。
欲しい情報は脳内にインストールする。
理想の行動もプログラムとして実行する。
果たしてそんな未来が来るかは置いておいて、そうなったときの世の中の教育はどうなっているか?
考えてみると良いと思います。
答えはないので自由に考えると色々な意見が出てきて面白いかもしれません。(コメントで共有してくれると嬉しいです)

人が人でなくなったとき、社会が大きく変わってしまった時、その考え方も大きく変わるかもしれません。

教育の役割が人間の研究や探求に向き、人間が存在するためにより自分たちを理解するための未知なる分野に知恵や発想力が活かされていくのかなと思いました。

その時により大きな社会問題を抱えていれば使い道も変わると思いますが、個の生存よりもより本能的な種の生存の為に生きる人が増えていき、教育の概念が変わっている事と思います。


まとめ

現在のオンライン教育の紹介からはじめて、勝手な想像の未来の考察を書いてみましたが、大事なのは前向きに未来を面白がれるかだと思います。
少なくとも子供たちは前向きで順応も早く順調に未来を引っ張っていくだろうと感じています。
そんな子供たちが生きやすい様に、大人たちが邪魔をしないでしっかりと未来を見据えて見守ってあげられると明るい未来が待っていると思います。
環境の変化があるときに、どちらを選んでも未来はやってきますが、より明るい未来が待っているのはどっちかしっかり自分の頭で考えて選択をしていきたいと思います。(自戒の念を込めて)

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