3 日常的に写真を撮ると変わる事

今週からオンライン授業もはじまり、折角なら良い画質で配信したいなと思って、長い間貸し出ししていたカメラを返却してもらいました。

今回は日常的に写真を撮る事を意識すると変わってくる事。
物事を継続すると何が成長するのかについて書いていきたいと思います。
昨日の記事でも少し触れた部分ですが、少し突っ込んで行きます。

僕が写真を始めたきっかけ

実はあまり意識をして考えたことが無かったので、これを機に掘り下げをしてみたいと思います。
僕の年齢は30半ばなので、写真を始めた20歳くらいの時は今の様にスマートフォンに高性能なカメラが付いている時代ではなく、写真を撮るには専用のカメラが必要な時代に写真の撮影を始めました。

新卒時代は貧乏で月5000円くらいの食費でお金をためて、最初に買ったカメラは一眼レフではなく、今でいう高級コンデジやネオ一眼という分類のものを購入しました。マニュアルでの絵作りにとても興味があったことを覚えています。

僕なりの写真撮影やカメラの原点をさかのぼってみると、専門学校時代に3DCGの絵作りに興味を持ったことがきっかけだと朧げに思い出しました。

高校生までは、暇があればゲームばかりやっていたのですが、専門学校に入って3DCGに出会ってからはプレイよりも作る方に夢中になっていました。

絵を本格的に学び始めたのもそのころで、初めてデッサンをデッサンとして捉えて取り組み始めました。
それまではなんとなく絵を描いていましたｗ
その絵に関しても3DCGの質感やライティング表現をどうするのか悩んだときにアナログに答えを見出して、楽しく勉強をしていたのを思い出します。

カメラの勉強も同様に3DCGの表現力を上げる為の勉強として興味をもち後にのめり込んでいきました。（ハードルとしてはカメラ機材が高く中々スタートを切れなかった事です。今は熱意のある学生に同じ経験をさせたくないので、カメラを貸したり古いカメラをあげたりしています）

ちょっと特殊で極端な例だなと我ながら思います・・・

ただ、思い返すと結構理にかなっていて、3DCGが大好きになってより良い作品を作りたいと思った結果、3DCGに関わるあらゆるもの（デジタルもアナログも含めて）に興味を持ち勉強してスキルを上げられる。
そういう部分で考えると3DCGという無限に広がりのある分野に興味を持ったのは幸せだなと感じます。
3DCGの良い所は何でもできる神様になれる事です。
空気・重力・風・キャラクター・ストーリー（感情や演技）・動き・エフェクト（自然現象のシミュレーション）など興味が出ればきりがなく、たぶん死ぬまで色々な事に興味を持って勉強し続けられるプラットフォームだなと感じています。
そんな3DCGと出会い現在まで
3DCGでの制作に関わるあらゆる分野
ストーリー制作などに関わる民俗学、人間行動学、社会や経済の事までありとあらゆる分野
に興味を持ち手当たり次第に勉強したり情報を吸収していく土台が出来上がったのだと思います。

きっかけは人それぞれです。
　・ 綺麗な写真を撮りたい
　・ 思い出を忠実に残したい
　・ 憧れのカメラマンみたいな写真を撮りたい
など

僕の場合は3DCGでの作品表現のクオリティアップという一点でした。
その為、アナログの機能をデジタルで再現したいという欲求が強かったのを覚えています。特に蜷川実花さんのような極彩色でフィルム感のある分かりやすくてCGっぽくない絵作りが当時は大好物でしたｗ
まだインスタグラムなどが無い時代からトイカメラやフィルム撮影にまで派生していき（当時はデジタル一眼ブーム到来時）時代と逆行していくのも構わずに自分なりの探求を進めていました。
アナログで撮影したようなフィルム感やレンズを通したリアリティなどをどうデジタルで表現をするか？

そういったものを考えつつも、写真を撮り続ける事で得られた普遍的な変化もありました。

写真を撮り続けて変わった事

写真を続けて得られた大きな収穫は次の点でした

　　① あらゆる視覚情報に興味を持った（行動力・観察力）
　　② 感情に敏感になった（感動力・美意識・感受性）
　　③ 見たものを深く考える癖がついた（洞察力）
　　④ 作品をどう見てもらいたいか考える癖がついた（表現力・想像力）

書いたものを見てみるとめっちゃいい感じに見えますねｗ
ひとつづつ説明します。

① あらゆる視覚情報に興味を持った（きっかけ作り力・観察力）

カメラを構えてシャッターを切るという事が、今の様にスマホで気軽に写真を撮るよりも少しハードルが高かった時代は 撮 る ぞ ！
という意識が必要でした。
カメラは重いしかさばるし、撮影に行こうと思う必要があったのです。
何かをはじめる行動力が自然に身に付きました。あとは自分のコントロールの為にきっかけを生み出す理由づくりも上手になりました。
そして、いざ写真を撮るぞと思うと、何をとるか観察をする力が求められて来るのです。ただシャッターを切れば写真が取れてしまいますが、何をどう切り取るのか、それをよく見て考える必要が出てきたのです。
僕がカメラをはじめたときはデジタル化がすごい勢いで始まる直前で、フィルムのメリットとデメリットやデジタルカメラのメリットやデメリットが頻繁に考察をされていて、特にフィルムの1枚には現像・撮影という時間のラグと費用というとても重いデメリットがありました。その為、シャッター1回の重みがすごくあったのです。（僕はデジタルからスタートしましたが、そのことも意識をしながら有難いと思いながら撮っていましたがｗ）

デジタルの恩恵を受けながらも取り終わった写真をディスプレイで並べて、週末に何百枚の写真を比較検討して何が良いのか考えたりする時間も楽しくて勉強になったのを覚えています。
（微妙な写真をクロップしてたり、全体的な雰囲気や色味を調整して作品として生まれ変わらせる現像作業もとても楽しかったです）

② 感情に敏感になった（感動力・美意識・感受性）

続いて感情面ですが、これは単純に見過ごしていた風景や一瞬に敏感になる事により、感情を意識する機会が増えました。
これはモノづくりを行う人に共通でもった方が良い部分ですが、チュートリアルを終えて終わりではなく、何のために誰に向けて、どう感じてほしいのかまで無意識に考えられるようになったのはとても良かったです。

まずは自分が感じた第一の感情がとても大事で、自分が可愛いと思っていないものは殆どの人が可愛いと思ってくれないでしょう。。
そんな自分の感情に素直に気づけるようになった点と、その感情や美に対する意識を比較検討してより高いレベルの美しさや感情表現を学べた所はとても大きかったです。

③ 見たものを深く考える癖がついた（洞察力）　　

次に見たものを考える癖についてです。
①や②であったように、毎日撮影をしたり週に1回見直しをしたりすることで、なんとなくとるのではなく、良い写真とは何かを考える癖がついてきます。
良いレイアウト、良い撮影時間やシチュエーションなどの環境
これらを探求したりその場で深く考える洞察力が磨かれてきます。
切り取った写真が与える印象や本質を瞬時に判断するという力です。

続ける事でこれらの能力が無意識に磨かれていき、他の分野や日常生活に生かされているのを今は感じられることが出来ます。

④ 作品をどう見てもらいたいか考える癖がついた（表現力・想像力）

これは3DCG作品を作っていて抜けやすい部分です。
3DCGは言ってみれば　　　

　　　『 全てが作られた偽物です 』

この偽物を本物に見せる為には

　　　どう見えるか？どう見せたいか？

という意識がとても重要です。
僕も最初はチュートリアルと比べて上手に出来て満足。
という自己満足で終わっていたのですが
仕事をはじめると相手がいるという事がほとんどです。
発注企業や視聴してくれるお客さんや購入してくれるお客さん
これらの人たちが喜んでくれる対価としてお給料や報酬を頂く事になります。

自己満足で3DCGを楽しむだけでは社会で通用しなかったのです；

これは趣味で楽しむ分には全く問題ありません。
しかし、僕の場合は仕事として3DCGを活用するデザイナーの道を歩みました。その点で言うと、この誰かを意識できるかどうかがとても重要です。
写真は趣味でしたが、友達やネット上に公開する事もあり、見てくれる人が良いね～と言ってくれることが嬉しくて、自然にこの誰かの為の作品を意識できる様になったのは良かった点です。
（客観的に自分の作品を見れる様になる事は重要な能力だと感じます）

まとめ

今回は自分の3DCGのお仕事をしているという部分にフォーカスしつつ、写真を続けた変化をテーマに記事を書きました。

共通部分でまとめると
写真撮影を続けていると

感受性が豊かになる
観察力が身につく
表現力や想像力がアップする
客観性が身につく

この辺の変化が出てくると思います。
自分なりに楽しみながら続けるのが一番ですが、目的が一致していれば続けていくモチベーションにもなるかと思います。
特に今はスマホのカメラ機能が優秀なので誰でもチャレンジできると思います。是非参考にしてみてください。

特に3DCGでプロを目指したい学生は客観性は身に着けてほしい部分なので、手軽に毎日数枚写真を撮ってSNSにアップしてみるのも良いと思います。