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あの時の自分も、今の自分も、好きだよと思えるなら


「大学入ってから、変わったよね~」

せかせか、バイトに向かう支度をしている私に母がのんびり言ってくる。

良い意味でも、悪い意味でもない、ニュアンス。

この言葉は大学に入ってから何度も母に言われているから、その次に出てくるフレーズも言われなくとも予測できる。

「あこが今打ち込んでるものって何?」

「んー。バイト?(笑)」

「バイトねぇ。中高の時はテニスとか、勉強とか、一つのものに情熱注いで打ち込んでたからさ。」

「…大学入ったらみんなそんなものだよ。」

自分でもよく分からない理論を打ち出して、逃げるように玄関に向かう。



このくだりはもうn回目だから、慣れた。

本当は、みんなそんなものじゃないってことは分かっている。

大学に入ってからも部活一筋で頑張っている人もいるし、団体、サークルで一生懸命頑張って、輝いている人たちを沢山知っている。

◇◇◇

「努力家」「自分にストイック」

中高時代、友達、部活仲間、同級生からよく言われていた。

中学時代は、ソフトテニスに明け暮れて、人生で一番努力したんじゃないかって思うほどに、頑張って頑張って、とにかくテニスが楽しくて好きだった。練習すればするほど上手くなる感覚がたまらなくて、持てる情熱すべてをテニスに捧げていた。

高校受験で、一番行きたかった高校には行けなかった、受験すらしなかった。それが悔しくて、「大学受験は絶対に第一志望に受かる」と決めて、そこから高校3年間ずっと走り続けた。

「なんでそんなに頑張れるの?」と友達に不思議がられたり、「体壊すぞ」と心配されたこともあったけど、何かに熱中することが楽しかったし、そんな自分が好きだった。

”頑張るものがある”ことに安心していた。頑張っていれば、大丈夫。

その言葉はまるで呪文みたいだった。



だからこそ、大学に入って、心から打ち込めるものに出会えなくなった時に、焦った。

留学、バイト、サークル、いろいろなことにちょっとずつ挑戦していたけれど、中高時代ほどの熱量で頑張りたいと思えるものは見つからなかった。

「頑張れていない自分、好きじゃないなぁ」と思うこともあったし、「今私、低迷してるの」と友達に嘆いたことも少なくない。

3年生までは、母に「変わったね~」なんて言われる度に、心苦しかった。

◇◇◇


でも、そんな自分に少し変化が訪れた。

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