その22 荒れ狂う暴君
高校をなんとか卒業し私の浪人生活が始まった。母方のみなのでもちろん予備校に1年間通うなど難しい。そのため後期から通うことにしそれまではバイトと家での勉強に専念した。
新生活を楽しみ充実した日々を送っていた周りの流れに逆らうように私はバイトしては勉強しを繰り返していた。家での勉強はもちろん限界もある。ストレスも溜まった。そんな時は夜に外の公園のブランコを音楽聴きながら全力でこいで発散した。自分でちゃんと決めたことだから後悔はない。でも障害はあった。
それは2歳程離れた従兄弟の存在だ。彼も不遇な運命にあるのか小さい頃から叔母の家に預けられていた。きっと闇が深くいつからかそれが彼を守る術となっていったのだ。私とは性格が正反対で幼稚園の頃に叔母のお財布を盗んではお金を配る行為をしたり人の物を盗んでは同じものを持っていた私が譲ったり。
そんな彼だからか常に疑心暗鬼で一度だけ家のゲームが亡くなったことを相談した。実際は机の奥底にあったのだが私は盗まれたと思い叔母に相談。その頃にはもう何が悪いのかさえわからないようにやさぐれていたのか平気で嘘をついては悪いことに染まっていく彼がいた。その時はお兄さんにこってり絞られたそうだがそれも彼が作り上げてきた自信なのだ。もちろん私が勘違いしたのも悪かったので謝罪とゲームはあげたのだが。
そんな彼だが少年院に2回入っている。どちらも暴力沙汰だったように思うが一方は本当に下手したら相手が亡くなってたのではないかという行為だ。そんなことから私は距離も置いていたし関わらないようにしていた。なにせ今後書き記すが専門の奨学金を持ち逃げしたのは彼の父親なのだから。
そんな彼をずっと見てきた叔母はすっかり疲弊していた。だからこそ頭ごなしに怒ったりしては彼から逃げたくて私たちに電話してきたり見張りのように側に置くようになった。
ほんとにやることが破天荒でよく警察からも電話があった。叔母の車を勝手に運転しては事故ってボコボコにして車を乗り捨てていたり、女を連れて居座ったり。その女もまたふてぶてしかったのだが。
そしてある時叔母が1人でいるのが怖いといって泊まった時に深夜遅くに従兄弟が帰ってきた。私は前述にもある通り夜行性で眠れず更に彼のような人間がいたらなおさらだ。そっと私のバッグに彼の手が伸びる。そして財布を手にした瞬間に私は起きたふりをした。すると焦って財布を戻し何事もなかったかのように振る舞う詐欺師がそこにはいた。
私は浪人しつつも叔母の護衛もしていたのだ。時にはそんな波乱なこともあるため勉強などできる環境でもなかった。
すべてを書き記すには刺激が強すぎるのでいつかなにかで表現できたらと思う。私に関してももちろんそうだが全てを話さなくてもよいこともある。人には隠したい過去もあるものだ。でもフィクションと題していつか形にしたいとも思っている。そんな過去も私なのだから。エゴの塊ではない。変わるべきときには変わるのだ。エゴイストでは変われない人生もあるのだと最近の恋の経験で知った。
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