思うこと

先日の訃報で衝撃を受けた。他人事には思えない問題だったからである。故人の尊厳のために敢えて名前は記さないが、考えさせられることは各々あるのではないか。私自身にも生きることに考えさせられるものもある。

まず第1に女性ホルモンの副作用について話そう。
肝臓への負担や血栓ができやすくなる、情緒不安定、倦怠感、あらゆる意欲の低下など。更年期障がいに近いものもあるのかもしれない。中には鬱になりやすくもなると言われている。
私自身やはりホルモン投与してからお酒も弱くなったし倦怠感などがあるときもある。もちろん自分で選んだことだから後悔はない。命をかけて本来の自分になろうとしているのだ。

どんな境遇であれ、偏見は無くならない。それは私が生きてきた中で強く感じるところでもある。
今回はメディアに出ていた彼女が女性ホルモン投与やトランス意向を示していたためにその言葉が取り沙汰されているが、全ての人が理解してくれるわけでもない。それは口唇口蓋裂の当事者としても同じである。みんながそれぞれなにかの当事者であり、心無い言葉を刻まれているかもしれない。

言葉とは最大の凶器である。刻まれたものを元の形に戻すのは容易ではない。だからこそ勢い任せの言葉や匿名の言葉には気をつけなければならない。どんなに画面上に載せた言葉を削除してもその人の心に刻まれた言葉は消えないのだから。もちろん、その言葉を刻んだ事実も。

憶測で何かを語るのはやめよう。本人にしかわからないことである。ただ自ら命を絶つ程までに追い込まれていたのかもしれない。決してホルモンの副作用だけを理由に片付けてはならないことだと思う。
人はそれぞれなにかを抱えていて時には消えたいと思うかもしれない。私自身もそうであった。ただ、思いとどまれるのは父の死があったから。同じ死に方を選ばないようにと心に決めていたから。残された側の気持ちも体感しているから。

人は虚勢を張る生き物である。私自身がそうだ。弱みを見せないよう、そして何より何気ない言葉で傷つかないように。そうやって今まで生きてきた。だからこそ話せないこともあるし、人を信用してないとしてしまうのはそんなところからかもしれない。
後悔先に立たず。こうなる前にもっとできたこと、寄り添えたことがあったのではないか。言葉が、行為が人を追い詰めるということを忘れてはいけないよ。私自身も気をつけて、何より抱え込むタイプなのは自負してるから、無理はしないようにと心掛けて。

ここに記したのはきっと当事者だからこそ聞かれたり話題を振られることがあると思ったので私なりの考えを上手くまとめてみました。身体を変えるんだもん、それなりの副作用もあるしそうなるに至る経緯もある。みんなが生きやすい世の中になることを願って。

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