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【詩】ヒマワリへ〜シロクマ文芸部〜

ヒマワリへダイブしたい
ひどく真面目な顔で彼が言った
ごらんよ
あの緑色の瞳
まるで夏に恋する乙女たちだ
あの真ん中に飛び込んだら
どんなに素敵だろう
私は肩をすくめて見せた
ないと思うわ
茎はザラザラ毛深くて
種は硬くて刺さりそう
ひょろりと長くて首だけだから
きっとみんなあっけなく倒れて
地面にキスすることになる
あなたの下敷きになってくれる
健気な彼女がいることを願うばかりね
容赦ないね
そこは一つ頼むよ先生
得意のファンタジーだよ
僕を抱きとめるヒマワリ
いいタイトルじゃない
柔らかくていい香りのお願いします
私は閉じていた目を開いた
ちょうど列車は
太陽を背に丘の上をいくところだ
眼下には黄金のひまわり畑
緑芯ばかりの人気スポット
その森色の瞳が一斉に私を見た
ではではお望み通り
私はノートを破って紙飛行を折り
窓を開けて風に放した
攫われるように出発する機体
綺麗な放物線を描いて
それは黄金の波に迎え入れられる
楽しんでおいで坊や
南の風はまだ熱い
遅い夏休みは始まったばかりだ


小牧幸助さんの企画”シロクマ文芸部”に
今週も参加させていただきました。
お題「ヒマワリへ」から始まる小説・詩歌。

夏休みの気怠さと楽しさ。
読んでくださった方に伝わるといいなあと
願っております。


*今週は2作書けました。
 もう1つも短い詩です。
 そちらはもっとファンタジー。
 よかったら読んでみてください。


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