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【140字/空想】矢車菊色の海

午後の図書館で、
読みかけの本に矢車菊の栞を挟んだら、
向かいに座っていた人が顔を上げた。
青が好きなの?
私は微笑んだ。
好きというか憧れ。
彼が微笑んだ。
いいね、そういうの。
遠い時間の向こうで波が騒いだ。
私は青い目を覗き込む。
理由が聞きたい?
今度こそ、
泡にならなかった人魚は想いを伝える。

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