【140字/空想】ある夏の、夕刻の、いとけなさ

右の乳房ちぶさの上には赤い金魚を。
左の乳房ちぶさの上には黒い金魚を。
真昼の頃には汗ばんだ肌の上、
所在無げに漂っていた彼らが
遠くお囃子の音に顔を上げる。
丸い目に光が宿った。
今夜また掬いに行くかい？
もっともっと、泳がせようよ。
可愛いおねだりに微笑んで
私は浴衣の胸元を
鏡の前できっちり重ね合わせた。

以前、Xの企画で書いたもの。
テーマは「浴衣」でした。
日本のお祭りって、自分の記憶より
文章の中の方が多いので、
どこか幻想的なものを求めてしまって。
金魚、アメリカにだっているんですが、
すごく日本的だと思うのはなぜでしょうか……。

さて……夏休み的けだるさ(楽しさじゃなく)で
思考能力が低下する一方だった週末。
今日は雨降る月曜日ですが、
しっかり目を覚まして
あれこれ企画に参加したいものです。