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Story 全国のコミュニティホスピタル

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全国各地で増えているコミュニティホスピタルの仲間の取り組みをご紹介します。
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記事一覧

地域のための摂食嚥下リハビリ・栄養指導の取り組み

こんにちは、CCH協会です。コミュニティホスピタルでは患者さんが住み慣れた地域でそのひとらしく生活できるようにするために様々な取り組みを推進しています。 今回は水海道さくら病院で在宅療養支援中の患者さんに対する訪問嚥下リハビリテーション導入が誤嚥性肺炎リスクの低減とQOL向上に寄与した事例をご紹介します。取り組みを推進した久富護医師に実際にお話をきてみました。 1 嚥下機能(飲みこむ力)について 嚥下機能(飲み込む力)について、意識したことはありますか? 若い方などは、

当事者目線の共感と理解/認知症AR体験(認知症に優しいデザイン3)

前回までの① ②では認知症にやさしいデザインについてご紹介してきました。3回目の今回は、医療や介護に従事している人たち、また一般市民の方々にとっても、当事者目線で考えるきっかけづくりとなる、認知症AR体験「Dementia Eyes」を紹介します。 認知症は身近なことであり、私たちの身の回りでも多くの方が認知症とともに生活をしています。私たちは認知症AR体験は知識レベルだけではなく、認知症体験を通して具体的な困難を理解し・共感することで、実践に移るための最初の一歩になると考え

その人が持っている能力を引き出すためのデザイン(認知症に優しいデザイン2)

前回は、認知症に優しいデザインの背景や考え方について解説しました。今回は、水海道さくら病院での実績を踏まえて、医療機関や高齢者施設への導入事例を紹介していきます。 皆さんの中にも、例えばホテルなどで自分の部屋がどこかわからなくなった経験や空港やデパートでトイレの場所が見つけられない経験などをした人がいると思います。場所の手がかりは、探さなくてもパッと自然に目に入ると良いと思いませんか? 1 扉(ドア)を認知症に優しいデザインにする すぐにわかって欲しい場所、例えばトイレ

火災による全焼...地域住民に支えられ復興を遂げた病院が住民を支えるコミュニティホスピタルとして地域貢献を果たす意義。

神奈川県横須賀市にある衣笠病院(198床)。在宅医療先進地域である横須賀市でコミュニティホスピタルとして存在することの意味を歴史的背景を振り返りながら紹介します。 病院概要 神奈川県横須賀市小矢部2-23-1 198床(急性期一般病棟/回復期リハビリテーション病棟/地域包括ケア病棟/緩和ケア病棟) 1 歴史と運営理念 日本医療伝道会衣笠病院グループは三浦半島の横須賀市にある198床のケアミックス型の病院です。病院には一般病床の他、回復期リハビリテーション病棟、地域包括

コミュニティホスピタルの認知症ケアのアプローチ(認知症に優しいデザイン①)

こんにちはCCH協会の草野です。みなさんは「認知症に優しいデザイン」をご存じでしょうか?コミュニティホスピタルが向き合う重要な課題の一つとして認知症ケアがあります。 水海道さくら病院では、2022年から認知症ケアを強化するためのプロジェクトが始まっています。その中で、デザインからアプローチを行う新たな取り組みについて数回にわたりご紹介させていただきます。 認知症とは? 認知症は、脳の病気やさまざまな原因によって脳の働きが低下し、日常生活や社会生活を送るうえで支障が出てくる

コミュニティホスピタルに向けた同善病院の組織改革②(2022年10~12月)

専攻医など若手医師が取り組む組織マネジメント 2022年春からコミュニティホスピタルを目指して再出発した東京都台東区の同善病院。患者さんの人生を支えていくためには、病棟、在宅医療、外来がシームレスに連携して、継続したケアを提供していく必要があります。2022年4月に在宅医療を開始して以降、病院自体の組織改革が進んでいます。今回はその後編です。 前編はこちら STEP3 専攻医などの若手医師がセンター長に(2022/11) 2022年末の時点で始まっているのが、入院、在宅

コミュニティホスピタルに向けた同善病院の組織改革①(2022年4~9月)

すべてのサービスをシームレスに提供する組織を目指して 2022年春からコミュニティホスピタルを目指して再出発した東京都台東区の同善病院。今回はまだ道半ばではありますが、この同善病院が取り組んでいる組織改革についてご紹介していきます。今回はその前編です。 なぜ組織改革が必要になったのか? 私たちは「コミュニティホスピタル」を、総合診療を軸に超急性期以外のすべての医療、リハビリ、栄養管理、介護などのケアをワンストップで提供する病院と定義しています。つまり、入院・在宅医療・外

医師が来ない…赤字の第三セクター病院から、地域の先進モデルになるまで。豊田地域医療センターの変革

コミュニティホスピタルの先駆的なモデルである豊田地域医療センター。190床の第三セクター病院が、総合診療を軸に超急性期以外のすべての医療、リハビリ、栄養管理、介護などのケアをワンストップで提供するコミュニティホスピタルに転換しました。そのストーリーをご紹介します。 病院概要 愛知県豊田市西山町三丁目30番地1 190床(一般病棟100床 / 回復期リハ40床 / 地域包括ケア50床) 1 地域の自治体病院としてスタート 1980年、愛知県豊田市の地域医療を担うために豊

経営難と災害から3年で奇跡の復活。地域の在宅医療拠点になるまで。水海道さくら病院の変革

茨城県常総市にある水海道さくら病院(93床)。利根川氾濫で病院の一階が水没する水害を経て、地域包括ケアシステムを支えるコミュニティホスピタルとして再生してきた軌跡をご紹介します。 病院概要 茨城県常総市水海道森下町4447 93床(一般38床 / 障害者一般27床(うち地域包括ケア17床) / 療養28床) 1 有床診療所から始まり、外科、透析病院へ。 茨城県常総市にある水海道さくら病院は、昭和56年に田中病院(19床)として開業しました。当時は、病床拡大のニーズもあ

人を助けてきた歴史ある病院を、経営難から再建。地域コミュニティづくりがはじまるまで。同善病院の変革

東京都台東区にある同善病院(45床)は、2022年4月に、回復期リハビリテーション病棟と機能強化型在宅療養支援病院の機能を持ったコミュニティホスピタルとして生まれ変わりました。ここでは同善病院の歩みについてご紹介します。 病院概要 東京都台東区三ノ輪2-12-12 45床(回復期リハビリテーション病棟) 1 昭和31年、同善病院開設 東京都台東区の三ノ輪駅の近くにある同善病院。当病院の前身となる同善会は、明治19年から小学校、保育園として活動を開始しました。 大正12