見出し画像

好きな部屋と毎日付き合える、その暮らし。

ホテルが好きだ。
その拠点の点をもとに、まわりを歩くごとに解像度が高まってゆくのが、楽しいのだと思う。
元来、知らない土地の知らない施設、室内や観光での非日常その世界観としてたったのひと晩だけのホテル滞在では、いつも物足りなかった。
もっと日常的に、もっと生活として、わたしはホテルで過ごしたいのだと思う。

先日も書いたように、わたしとホテルの結びつきで欠かせないのは、“清掃を誰かがやっておいてくれる”、この一点。
そして、建築好きの自分にとって、ひとときをいくつもあるお気に入りの部屋で暮らせるのは、至福のことだと思う。
ただ寝転がっているだけでも「今!わたしは!推してるホテルの!推してる部屋を!ハグしている!」と考えれば、毎秒が最高の連続だ。


粉雪がふわふわと舞うのを眺めながら、あたたかさを味わう
HOTEL KARUIZAWA CROSS


推し消ゆ、そしてホテルステイという沼。

それまではライブやイベントがある土地に行ったら、それの前後で寝に帰る場所としての利用しかしたことがなくて、情報収集も「会場への交通の便がいい」か「安さ」に重きを置いていて。交通会社に最も貢いでいたと言っても過言ではないのは、推し活の経験がある方には頷いてもらえるのではないだろうか。

そして推し活をしている人の多くは、集中的に人物像に興味をもつ特性があり、わたしもそうなのだ。
当時、在宅でも活発にコミュニケーションを取れるコミュニティに居たこともあって、そこで知り合った人に会うことを目的にして日本各地に行くうちに、いつの間にかホテルステイにハマっていた。

理由として、ライブやイベントに行く目的が、配信になるなどして移動に多くの時間を割かなくてもよくなった。
あの熱量を爆音を浴びれる一瞬は、現地で体感してこそと身に沁みてわかってはいるものの、その頃わたしの推しているグループは、ちょうど活動縮小することになり、時間とお金を費やすものがなくなっていたことも大きい。
ホテルステイ生活を集中的にしていた2021年は、友人たちから「お金に余裕があってうらやましい」というニュアンスで話しかけられることもあったのだけど、お金を使うところをスライドしたのが本当のところで、余剰なものがあったわけではない。
すべてはリアタイ命のために掛けてきたものが、行き場を無くしたからなのである。
(そしてホテルステイ生活がすっかり終わった頃に、サブスクで泊まれる各種サービスを知ったのであった……。)

清澄白河のLYURO
このブルーの外壁にひとめぼれ


大好きだよ、an/other TOKYO。今でも。

北陸新幹線から東京駅に降り立ち、ホームから通路へと降り、八重洲南口を目指す。
そこからずんずんとブックセンターの脇を通り抜け、京橋エドグランの吹き抜けを突っ切って、横断歩道を渡った先にあったan/other TOKYOでの滞在が、わたしのホテルステイの原点だった。

ホステルタイプのベッドと、個室があるホテルでグレーにピンクゴールドの調度品の設えの数々がほんとうにほんとうに大好きで!
あの頃の写真データが1枚も残ってないことが残念でならない。
気に入って何度も泊まりに行ったのに、その痕跡がこの間、処分してしまったコーヒーチケットにしかなかった。

都会の真ん中にあるホテル、窓から見える景色が風靡なわけでもないのに、窓側にぴったりと横づけされたベッドに、収納と兼用のソファのコンパクトな造りが、今もわたしの瞼の裏にあるのに共有できないのは、ほんとうに惜しいので、だれかわたしの瞼を剥いてくれ。

あと1日だけ、と宿泊を重ねるほど、そのときめきを超えるものがないまま、感染症の自粛期間に入り、そしてひっそりと、ほんとうにひっそりとan/other TOKYOは閉業していた。
ブッキングができなくなったことに気がついたときの淡い期待は、ついに叶わなくなり、ひとしきり落ち込んで、そしてわたしは「いいホテルはいねがー!」とホテルなまはげと化して、ホテルdigが日課になり、今日こんにちのホテルステイ沼へとつながってゆくのである。

シャビーシックなグレートーンが最高。
HOTEL TRIFITO 金沢


そして、ホテルステイは続く。

わたしがホテルを探す際に、見ているポイントは「キャリーケースをらくらくと広げられるゆとりがあるか」。あとは場所や目的に応じて、条件が変化する。
もともと広い部屋でなくても、ソファーの下や調度品の工夫が見られると、途端に嬉しくなるのだ。
そうして広げたキャリーケースの中から、まずは電動歯ブラシとスキンケア用品、バス用品を取り出して並べ、あらかじめ決めてきたコーディネートに沿って、洋服を準備しておく。
ワンピースは1枚で決まるし、荷物も少なく済むので最高だ。薄い素材なら洗えてすぐ乾くので、連泊の常連になる。
本は枕の近く、デバイスの充電コードを準備して、チェックインの前に買ってきておいた飲み物をテーブルに置いたら、一息。

さあ、わたしの暮らしがはじまるぞ。



じぶんZINE「pooks プークス」では、わたしにまつわるボディポジティブとフェミニズム、そしてホテルステイの記録を書いています。

ボディポジティブとフェミニズム、自撮りのInstagram
https://www.instagram.com/cccbypks/
ホテルステイ記「chiccaとホテルの物語」 for Instagram
https://www.instagram.com/cccbypks.hotel/

お仕事のご依頼はこちらからどうぞ。


chicca

#ハマった沼を語らせて

この記事が参加している募集

新生活をたのしく

この街がすき

応援のプロ求む!🙌 サポートいただくとホテルステイ生活に一歩近づきます!