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ゲーム開発のタスク管理、出来ていますか?

サイバーコネクトツーの山岡です。

タスク管理、進捗管理、スケジュール管理、工数管理、スタッフ管理…
ゲーム開発に関わらず、モノづくりにはいろいろな「管理」を行う必要があります。

「クリエイティブだけをやりたい!」という気持ちはすごくわかりますが、仕事には必ず納期や予算、目標があり、それらを管理し達成することで報酬が得られることを考えないといけません。

とはいえ、管理、管理と言われても、何から手を付けたら良いのやら…という人も多いと思いますし、私自身もちゃんと言葉に出来ておらず曖昧な部分も多いなーと感じています。

なので、今回はいろいろな「管理」の中でも基本中の基本となる「タスク管理」を掘り下げてみたいと思います。

■「タスク管理」って何?

いろいろ調べてみた結果、Wikipediaの「タスク管理」の説明が簡潔で的を得ていると思う。

タスク管理は、ライフサイクルを通じてタスクを管理するプロセスである。タスク管理では計画、検査、追跡、報告などを行う。タスク管理は、個人の目標達成にも、チームメンバーが協力して全体の目標達成をするための知識共有にも役立つ。また、タスクは複雑さによって、低位レベルから上位レベルまで区別される。

Wikipediaより

個人の解釈ではありますが説明の一部をもう少し掘り下げてみます。

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ライフサイクル
タスク(作業)が生まれてクローズされるまでの一連のサイクルのこと。

タスクにはいくつものステータス(状態)があり、それらを経てクローズされるという流れがあります。主なステータスは以下の通り。※()は実際に起こっている状況

■タスクのステータス
 ・準備(開始待ちの状態、スケジュール、工数出し、内容の精査中)
 ・開始(作業者が作業を行う)
 ・終了(作業が終了)
 ・一時停止(仕様変更等の理由で作業を中断)
 ・確認待ち(チェック待ち、検品中)
 ・期限切れ(期限から遅れている、放置されている)
 ・担当者変更(何らかの理由で担当者を変更した)
 ・中止(何らかの理由で作業が無くなったなど)
 ・失敗(やり直しなど)


タスク管理では計画、検査、追跡、報告などを行う

上記のような状態変化が随時発生するので、その状態、状況を把握し、問題、課題を常に追っかけ、クローズに向けて進行させていく。

個人の目標達成にも、チームメンバーが協力して全体の目標達成をするための知識共有にも役立つ
状態を正しく把握することで、何をすべきかが明確になり目標達成への計画を行いやすくなる。チーム開発の場合、必ず後工程や影響し合うタスクが必ず存在するので、互いにどういった状態なのか、何をしようとしているのかを把握することで、適切な対応や対策を行うことが出来、目標を達成しやすくなる。

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なので、タスクを管理するとは「タスク(作業)の状態を常に正しく把握し、発生する問題、課題を解決しながら、タスクを完了(クローズ)させること。また、チームやプロジェクト内でタスクの状態を共有し、目標達成がしやすい環境を作る」ことになります。

■タスク管理あるある

プロジェクトのタスクの状態でよく見かける状況を以下に挙げてみます。

①現在の状態がわからない

タスクのステータスが把握できておらず、タスクが終わっているのか、終わっていないのか、順調なのか順調ではないのかが分かっていない状態。

原因の多くは「タスクリストを作っていない」か「タスクのステータスを更新できていない(進捗資料やタスク管理ツールのステータスを最新化できていない)」です。

②遅延タスクが多く存在するが、遅れの報告が無い

期限を超えているタスクが大量に溜まっているのに、進捗報告では遅れが無い旨で報告されているケース。

こうなってしまう原因はほぼ「作業者では無く、他の要因で遅れている(作業者は遅れていないと思っている)」ことがほとんど。

どう言うことかと言うと
・締め切りや優先が付けられていないフィードバック対応をしている
・他の作業担当者の対応待ち
など、作業担当者の心理としては「自分は期限に間に合うように作業している(作業した)。期限に間に合っていないのは他の要因が原因なので、自分の遅れでは無い」と思っていることが多いです。

③タスクの作業優先が適切ではない

仮リソースを先に揃えたいのにブラッシュアップ作業が優先されているとか、仕様作成が放置されているとか、先にやるべきタスクが後回しになっているケース。

作業者自身は作業優先が間違っていると思っておらず、指示されていることをやっている認識のことがほとんどで、管理者のレイヤーで作業優先を間違ってしまっていることが多いです。なので、表面化しにくい問題でもあります。

■タスク管理時に気をつけること

私自身がタスク管理を行っている時に気をつけていることを紹介します。上記の「タスク管理あるある」の防止、対策にもつながります。

①毎日、タスクの状況確認とステータス更新を怠らない

スタッフ1人が1日で行うタスクって数件だと思いますし、作業が忙しくて更新できないってことはまず無いと思います。しかし、それをやらなかったりサボったりすると、あっという間に数十件になりチームスタッフ全体はでは数百件になり、相当な労力を掛けないと把握できない事態になります。

優秀なクリエイターや管理者は個人やチームのタスクの状態を常に正しく把握できている人が多いです。そうでないと正しい報告や相談、判断や指示が出来ないことを知っているからです。そのためには、日々の確認と更新を愚直に行うことが必要です。

②遅れタスクはトリアージする

トリアージとは「多数の傷病者が発生した場合に、傷病の緊急度や重症度に応じて治療優先度を決めること」です。

期限から遅れているタスクが存在することは、問題無く進めるためのスケジュールに影響がある、ということ。早く治療しないと大きな問題、取返しのつかない事態になります。

とはいえ、なんでもかんでも治療すれば良いという訳ではなく、状態によって優先を決めて治療しないと、他タスクに対応できないという事態が発生します。なので、タスクもトリアージをしてあげることが必要なのです。

以下に遅れタスクのトリアージ基準をまとめてみました。

■遅れタスクのトリアージ基準
①第一順位(赤色)

【状態】
対象タスクがクリティカルパス上にあり、他要素に与える影響が大きいタスク(仕様やレギュレーション決め、リソース準備などそれらに準ずるタスク)
【対応】
直ちにプロジェクトやチームへ問題提起し、最速で対応できる体制、スケジュールを検討し実行する

②第二順位(黄色)
【状態】
残り作業が明確になっており、他タスクと並行して進めることが出来る
【対応】
遅れとして扱い、経過観察を行う。

③第三順位(緑色)
【状態】
軽微な修正や調整、又は結合後に再確認など、今すぐの対応が必要でない
【対応】
タスクはいったんクローズして、調整タスクを新たに作りそちらで管理する

④第四順位(黒色)
【状態】
レギュレーションやクォリティライン、設定などが明確になってないまま進行している。仕様やクォリティの観点からやり直す必要やどう頑張っても他タスクと並行できない。
【対応】
進めてもやり直し等の無駄になる可能性が高い為、ただちに作業を止める。問題になっている部分をクリアにするための作業を最優先で行う。その上でスケジュールやマイルストーンの変更、調整を行う。

トリアージはディレクターやリーダーであれば、瞬時に判断してくれるので、迷った場合はすぐに相談して判断を仰ぎましょう。

③タスクの緊急度、重要度を正しく判断する

タスクには必ず「緊急度」と「重要度」が存在します

緊急・・・納期が迫っているタスク
重要・・・クリティカルパス上に存在するタスク、又は会社やプロジェクトの損失に直結するタスク

緊急度、重要度別の作業優先は以下の通り。

緊急かつ重要 > 緊急じゃないけど重要 > 緊急だけど重要じゃない > どちらでもない

よく間違えやすいのが「緊急=直ぐに対応しないといけない」では無い、ということ。「差し込み対応で遅れます」ということが良くありますが、現行タスクとどちらの重要度が高いのかを考えるようにしましょう。

また、作業優先は作業の難易度によっても変わります。

スクウェア・エニックス
ゲーム開発 プロジェクトマネジメント講座より

このあたりはタスク管理というより、マイルストーンの管理領域として上位レイヤーでコントロールした方が良いです。

■まとめ

以上、今回はゲーム開発のタスク管理について、掘り下げてみました。

タスク管理はただタスクの状態を監視しておけば良い、というものでありません。作業の優先度や状態によってどう扱うのか、など様々な判断や決定もセットで行うことが超重要です。

いちスタッフでは判断できない部分も多くあります。迷う場面や遅れが発生した場合は、すぐにディレクターやリーダーに報告、相談しましょう。

その為にはタスクの状況が常に見える状態が必要です。自分だけが分かっていれば良いのではなく、進捗状況をチーム内に積極的に見える化することが問題や課題の解決に繋がります!

より良いゲーム開発を行うためにも、しっかりとタスク管理を行っていきましょう!

サイバーコネクトツー
執行役員 山岡 寛典



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