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デザイナー、アイルランドから1年間時差勤務してみた

アイルランドから時差勤務をしているデザイナーの伊藤です。
時差勤務を初めて10ヶ月、あんなことやこんなことの体験談の一部をこちらの記事にまとめようと思います。


なぜアイルランドに行ったの?

初めてアイルランドへ行ったのは、7年前でした。
首都ダブリンに5日間滞在して思ったのは、

「ここに住んでみたいな〜」

川があり、歴史的街並みからモダンな建造物まであり、ゆったりとした時間が流れてすごく住み心地がいい。
私は京都出身なんですが、ダブリンの街並みに何か京都みを感じ、第2の故郷を見つけたような感覚がありました。

月日が流れ、ダブリンの記憶も旅の思い出の一つとなり、日本で日常を送っていた矢先、コロナと隔離が始まりました。

生活がガラッと変わり、殺伐とした環境を余儀なくされ、私は東京から地元の京都に移り、リモート体制で勤務を続けていました。
その中でもいろいろ生活の楽しみを工夫していたのを覚えています。
元々旅行が好きなので安いホテルからリモートしたりしてました。(当時京都はオリンピックに向けたホテル開拓祭りで、温泉付き新築ホテルが1泊1000円ほどの安価で泊まれました。ラッキー!)

私は20代の頃、イギリス、カナダ、トルコ、大阪、京都を中心に転々としていて1つの場所に長くい続けたことがありません。一番長かった東京も3年間でした。

またどこかに行きたいなーと思い初めたころには、コロナで今までの状況とは全く変わってしまっていました。リモート勤務の環境で何か行動する術はないかと思い至り、会社に打診し審議していただいた結果、アイルランドからリモート勤務をする運びとなりました。(ほんと会社には感謝✨)

時差は最大9時間

まずアイルランドには、サマータイムとウィンタータイムがあります。

  • サマータイム:4月1日〜10月27日
    🇯🇵13:00~翌朝6:00(🇮🇪5:00~22:00)

  • ウィンタータイム:10月29日〜3月31日
    🇯🇵14:00~翌朝5:00(🇮🇪5:00~22:00)

    弊社のフレックス時間は5:00~22:00です。その中から8時間勤務+1時間休憩かつ、日本の時間にできる限り合わせることから主に以下の時間帯に勤務しました。

  • サマータイム:🇯🇵14:00~23:00(🇮🇪6:00~15:00)

  • ウィンタータイム:🇯🇵15:00~24:00(🇮🇪6:00~15:00)


実際どのように勤務した?

大まかな流れ

  • 🇯🇵14:00-16:00(🇮🇪6:00-8:00)
    主に打ち合わせ、連絡ごとや即対応できるタスク(主に10分内で終わること)などコミュニケーションを有する業務を対応します。

  • 🇯🇵16:00-19:00(🇮🇪8:00-11:00)
    さらにあれば打ち合わせ、などコミュニケーションを有する業務を優先に行います。デザイン作業も始めていきます。

  • 🇯🇵19:00-20:00(🇮🇪11:00-12:00)
    休憩

  • 🇯🇵20:00-23:00(🇮🇪12:00-15:00)
    重めの作業時間
    翌日メンバーに向けた連絡事項を仕込みます。

事例1:打ち合わせ+作業が満遍なくあるプロジェクト

案件:社内SaaSシステム管理系
体制:デザイナーと2人
ポジション:デザイナー件マネージャー

  • 15:00~クライアントと打ち合わせ 2時間

  • 17:00~社内進捗会+ラップアップ

    • 進捗会ではその日行ったタスクや課題を共有いただきます

      1. ここで引き継ぎ作業があれば引き継ぎます

    • 打ち合わせのラップアップを行います

  • その他連絡事項の確認、連絡

  • 19:00~休憩

  • 20:00~作業

  • 23:00~作業まとめ+翌日メンバーへ引き継ぐメールや勤怠確認・連絡を仕込む

  • 24:00退勤

事例2:社内の開発メンバーが多いプロジェクト

※クライアントとの打ち合わせなし
案件:3ヶ月スパンのBtoB企業サイトの大型回収
体制:ディレクター1人、デザイナー3人、開発4〜5人
ポジション:デザイナー

  • 15:00 Slack等の連絡を確認

  • 15:30 他案件の打ち合わせ

  • 16:00~1時間社内進捗・課題共有会

  • 17:00~各メンバーの課題引き継ぎ

    1. ありとあらゆる連絡事項を確認、連絡

    2. 即対応課題の対応

  • 19:00~休憩

  • 20:00~作業 3時間

  • 23:00~作業まとめ+翌日メンバーへ引き継ぐメールや勤怠確認・連絡を仕込む

  • 24:00~退勤

事例3:クライアントとの打ち合わせが多い日

案件:BtoC管理プラットフォーム構築系
体制:デザイナー3人
ポジション:デザイナー

  • 13:30~打ち合わせ①2時間

  • 15:30~打ち合わせ②社内30分

  • 16:00~連絡等の確認・共有資料確認・課題整理

  • 17:00~打ち合わせ③1.5時間

  • 18:30~打ち合わせ④社内30分

  • 19:00~休憩 1時間

  • 20:00~作業 2.5時間 ※最後の30分ほどで作業まとめ+翌日メンバーへ引き継ぐメールや勤怠確認・連絡を仕込む

  • 22:30~退勤

業務のメリット・デメリット

メリット

  • 申し送りで進捗を共有したため、やることが整理しやすかった。

  • 翌朝までに対応が必要な急ぎタスクを引き継げる

  • 日本メンバーが退勤した後のクライアントからの連絡を引き継げる

デメリット

  • 朝〜14時*まで連絡が取れない

  • 朝〜14時*までの打ち合わせに入れない

デメリットの対策

私宛にいつでもSlackからメッセージを送ってOK。出社時にまとめて確認。
打ち合わせは他のメンバーに出てもらい、議事録と進捗会でその日の内容を把握し進めました。
※デメリットに対してどう対応するかは社内のメンバーと話し合う必要があります。

プロジェクトメンバーからの声

  • 同時にプロジェクトを進めるときに、共通認識を作るという点で、デメリットにあるような打ち合わせに参加してもらえないことはネックでした。

  • 一方で、日本の退勤時間のあとに仕事を連携しておくことで、夜中作業や調査を進めてもらい、翌朝確認できるということもあって、急ぎタスクがある時はうまく時差を活用できると思います。

これはやってよかった

  • 毎日30分の社内進捗会ー情報が共有でき、午前中に決まった内容も抜け漏れなく進められた

  • 打ち合わせを14時*以降に設定ー

  • 課題処理期間は2営業日

    • 内容の複雑さにより前後しますが、1課題2営業日の速度で対応させていただきました。(同時に複数の課題を対応するため、1週間で達成する課題量は結果通常通りだったかなと思います。)

時差対策のための便利機能

カレンダー:GoogleカレンダーとAppleのカレンダー
連絡:Slackのスケジュールメッセージ
※時間を間違えないように注意してください。私は2回間違えました😓

Googleカレンダーを設定すると、2つのTimezoneの時間が見れます。

ワークライフバランスのメリットデメリット

メリット

  • 朝早起き

    1. 朝活人間になれます。

  • 夕方からアクティビティの時間を多く取れる

  • のんびり過ごす

  • 友達と遊びに行く

  • コミュニティに参加する

  • 金曜の夜、旅行に前乗りする

弊社はリモート勤務なので、メンバーの出勤状態を確認することができます。プロジェクトメンバーの勤務時間が終わった後は、個人の裁量で昼休みの休憩時間を長めに取ったりして過ごしました。(ウィンタータイムは16時から外が暗くなり結構寂しいので、昼休みに休憩長めにとってできるだけ日光を浴びるようにしました。)

サマータイムは、夜10時まで明るいので、仕事終わりに散歩しに行きます。
麻雀の集まりに飛び入りしました。
FENDI本社をどうしても見たかったので、ローマに行きました。一般は入れないみたいなんですが、警備員のおっちゃんと仲良くなって入ることができました。圧巻
ちなみに、四角いコロッセオと呼ばれるらしいです。

デメリット

  • 朝早起き
    私はもともと朝起きるのが苦手だったので、早起きは何よりの不安要素でした。
    運よく私と一緒に暮らしている人たちが早起きで、5時から生活音が始まってたので、思ったよりも朝起きが苦痛にならなくて助かりました。
    (2回寝坊しました。ざんげ。。)

  • 早寝
    私は8時間、最低6時間は寝ないと翌日に支障が出る、ちょー睡眠大事人間なので、平日は22時に布団に入るように心がけました。(ショートスリーパーの方なら気にしなくていいかもですが、、笑) せっかくの海外で友達と出かけたのに早く帰るのもったいないなと思ったりもしましたが、アイルランドのバーは特に平日だと12時までに閉まるところが多く、周りの人も程よい時間ですんなり家に帰るので、(あとバスが地域によっては無くなっちゃうので)睡眠を削って夜ふかしすることはそんなにありませんでした。

  • 英語と日本語が混ざる

    1. アイルランドにいる=1日英語漬けの環境が100%だとすると、1日8時間(休憩入れると9時間)は日本語に触れているので、その分英語学習速度は減速します。

その他メリット:現地で活動する人たちとの交流

現地で活動する人たちとの交流が盛んで、毎週どこかで交流会があります。
アイルランドはヨーロッパのシリコンバレーと言われていてテクノロジーに関心のある人と集まれる絶好の場所だと思います。
その中でもおすすめのアプリはこちらです。
いずれも”UX designer”または”Engineer”と調べるとテック業界の人と交流できるミートアップが見つかります。

実際に、交流を深めた現地のデザイナーやマネージャーと時々あってご飯会をしています。大体しょーもない話をしているんですが、それもそれで楽しいですね。

https://www.meetup.com/

https://www.eventbrite.ie/

その他

https://www.codu.co/

アイルランド1大きいコーダーのコミュニティです。MeetUpからもイベントに参加できます。

https://gdg.community.dev/

世界各国で行われているGoogle主催のイベントです。

https://dogpatchlabs.com/

アイルランドのスタートアップが集まるシェアオフィスで、イベントも開催しています。

Coduイベントにイベントに参加した時の様子
コミュニティーを通じて定期的に会うテックメンバー。生まれも職種はバラバラですが、仕事の話から日常の話まで意見交換ができて話が尽きないです。

渡航前にやっておいてよかったと思うこと

他の国からリモート勤務を試してみる
アイルランドに行く1年ほど前から徐々に、ベトナムから数週間、シンガポールから数週間リモート勤務を試しました。
時差はアイルランドより短いものの、異なる環境から勤務してみることで、心の準備となってよかったと思います。

居住先は渡航前の日本にいるうちに決めておく
通常のワーキングホリデーでは、現地到着後ホテル滞在かホームステイをして、初めの1ヶ月のうちに家探し、ビューイングをして居住先を決めるのが一般的だと思います。
私は日本の仕事を続けられるリモート環境が必須だったため、レントのハードルは誰よりも高かったと思います。

私の家探しの条件

  • ネットが問題なく使える

  • セキュリティー面で安心できる

  • ある程度部屋が広い

  • 仕事ができる机がある (現地についてから購入するのもあり)

  • シャワールームのシェアは3人以下(ある程度は妥協できる)

好条件の家を渡航後の見知らぬ土地で、短期間で見つけるのは現実的にも精神的にも高リスクになると感じ、渡航前にゆっくりじっくり見つけることにしました。(好条件の居住先が見つからなかったら渡航を諦めてたぐらい大切でした。)
結果的に、いい大家さんと巡り会え、日本にいるうちに無事に見つけることができました。大家さんとはメールと電話で、時間をかけてやり取りさせていただき、お互いを納得感と安心感を持って契約するとことができました。

めちゃめちゃお互いのIDを見せ合っていたけど、最終決め手になったのは、大家さんが送ってくれた自撮り写真の背景に映る車と、Googleマップに家の前に映る車の特徴が一致していて、

「あ、この人ちゃんとこの家に住んでる人や」

と確信を持てました。

同居人になる方とも事前に連絡を取らせていただき、意気投合して今では一緒に旅行に行く仲です。
その子もアイルランドの会社でリモートワークをしているので、シェアオフィスに住んでる感覚でした。
大家さんと同居人は、一緒に住む以上、めちゃめちゃお世話になるので、ゆっくりと信頼関係を築いて相性のいい方を見つけることをお勧めします。

※契約を急かしてくる大家さんは要注意です。

広くて快適、街はずれの部屋は750ユーロでした。東京で言うところの西荻窪みたいな。


渡航前にやっておけばよかったなと思うこと

  • IELTSの試験で6.0以上を取っておく

    1. 最近大学に興味を持ち始めたことからいざという時に選択肢が広がるので、受講しておいてもよかったなーと今改めて思っているところです。

  • パソコン・スマホなどのデバイスをアップデートしておく
    渡航中に故障して外貨で高額支払いにならないように、アップデートしておくことをお勧めします。

最後に

海外へ渡航する目的は、いろいろあります。

  • ヨーロッパを旅行したい

  • リフレッシュしたい

  • 語学を学びたい

  • 恋愛をしたい

  • 大学へ行きたい

  • 新しい文化を体験したい

  • 日本以外の環境も見てみたい

  • 海外就職を目指したい

  • やりたいことを見つけたい

※Chat GPT調べ

この10ヶ月でポーランド、マレーシア、日本、中国、ブラジル、アメリカ、などに拠点を置く会社に勤めながら、アイルランドからリモート勤務している方や、その他、日本⇄カナダ、イギリス⇄アメリカ間で時差勤務をされている方と交流しました。
その中でも学校に通いながら、時差勤務を両立している方もいて、世の中にはいろんな選択肢があることをこのアイルランド生活を通してあらためて実感しました。
時差勤務は不可能ではないけど、課題はまだまだあります。
この先、日本の会社に在籍したまま海外生活を体験してみたいと思う方はこの記事を参照してみてください。
また会社の人と税理士さんとよく相談された上でご準備されることをお勧めします。