広告会社で働いていて一番楽しい瞬間
広告制作会社で働いていて一番楽しい瞬間はいつ?と聞かれれば何と答えようか。
「街で自分の携わった媒体を見たとき?」
「プレゼンが取れた瞬間?」
「仲間たちとあーだこーだブレストしてるとき?」
いや違う。僕が一番楽しい瞬間は
自分が落ちたプレゼンの完成物に、仲間たちとイチャモンをつける瞬間だ。
「全然要件満たしてない」
「結局今までと一緒じゃないか」
「絶対うちの方がが良かった」
「てかオリエンの内容変わってるやん」
「普通やなー」etc...
それはもうイチャモンが止まらない。他人が作ったモノに関してはいくらでも悪い部分が見えるのは何故だろう。自分が作っていたらあのような見え方はしない。次から次へと粗を探して、いかに弊社の案が素晴らしかったかを喚き立てるのだ。そして最後に少し虚しくなる。
僕たちは知っているからだ。プレゼンした内容でゴールまで行くことなんて万に一つもないことを。謎の上司の登場、社長の一声、予算減額などなどプレゼンが終わった後も様々な困難が待ち受けているのだ。一通り喚き散らした後は『きっとこの会社も大変な目に合ってこうなってしまったのだろう』と同情心が芽生えてくる。彼らもまた不本意なのだ。
以前それなりに大きな案件のメインビジュアルが最後の最後に変更になり、とてもおかしなことになったことがあった。(その時は突然得意先のリジチョーが現われたのだ)
営業担当は、せっかく実績としてアピールになるのに、そのビジュアルを他社に見せるのが恥ずかしくて、見せれないと泣いていた。仕事とは世知辛いものだ。きっと競合他社は、そのビジュアルを酒のツマミにワイワイやっているのであろう。どこかの酒席にホットな話題を与えられたのであれば、死んだ目で作業したデザイナーも少しは報われるってものである。
今日の一曲
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