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中日本・西日本自動車旅思い出し旅行記〜紅葉と有馬温泉〜

先だっての11月11日から14日まで、「9月に行った山籠りの儀式で使用した結界を回収して燃やすため」鳥取県まで旅行した。旦那さんと一緒に、有馬温泉(兵庫県)を中継地に、2泊4日の自動車旅である。関東を出発して13県に跨り、往復1,400km以上の長旅だった。初めて行った県、場所も多かった。西日本の美しい紅葉の写真と共に、旅の足取りを思い出してみようと思う。

11月11日 出発

出発日は11月11日。2泊4日の旅…ということは、1日目はそう、車中泊だ。11月12日、13日と有馬温泉に宿泊する予定で、12日朝出発ではかなりタイトなスケジュールになる…ということで、余裕を見て11日の夜出発し、清水のパーキングエリア(PA)で仮眠した。

冬の車中泊は寒かった。そしてクッションなどのグッズは用意して行ったが、疲れは回復しなかった。

出発前、猫をペットホテル(行きつけの動物病院)に預けたのだが、初外泊、よその人に預けられるのが去勢手術以来という1歳7ヶ月の猫は、キャリーに入れて車に乗せた途端、「ニャーオ、オウオウアウーオウオウオウ」と叫び出した。のんびりぼんやり猫、攻撃性を置き忘れてきた猫であるうちの猫は、シャーと威嚇する代わりに激しくネコ語で抗議した。そうか、うちの猫は「喋る猫」だったかと思いつつ、猛抗議を無視して病院に預けてきた。

そんな猫が、夜中に気になって仕方なかった。人見知りをする猫なので、大丈夫だろうか。ちゃんとご飯は食べるだろうか? 3泊も預けて性格が変わらないだろうか。しかし流石に4日も留守番させる訳にはいかない。「強くなれよ…」と思いながらうつらうつらした。

11月12日 喫茶マウンテン

12日はあまり眠れず目が覚めて、5時半くらいに出発した。今日の最初の目的地は、”遠出するなら一度は行ってみたい所”としてどちらともなく出てきた、名古屋の喫茶店「マウンテン」。独創的な甘味メニューとその量で有名なお店である。甘味メニューに挑むことを「登山」、完食することを「登頂」と言う、一種の覚悟と冒険心が求められる場所だが、そこに挑戦しに行くことにした。ちなみに完食できなかったら「遭難」である。

旦那さんの負担を減らすため、私も1時間ほど運転をした。
この日の為に何度か練習はしてきたものの、「ペーパードライバー、お先にどうぞ」のステッカーを貼り高速をヨタヨタ運転する私は、他のドライバーにかなりの恐怖を与えただろう。運転しているこちらも酷く気力を消費するので、1時間が限界だった。

そして「喫茶マウンテン」。かの有名な山の絵の看板が目立つ、山荘風の佇まいである。

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私は「プロジェクトパフェ」に登山した。内容はその時々変わるらしいが、この時は「シュークリームを上に乗せたアイスクリーム・ゼリーパフェ」だった。貫禄の大きさである。天辺に乗った丸一個分のシュークリーム、そしてコーンフレークやホイップクリームで量増しするような軟弱さとは無縁の、ぎっしりと詰まったアイスクリーム。昼ご飯をパフェだけにしたのは正解だった。私は無事、登頂した。

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しかし、旦那さんは更なる挑戦をしていた。ホットメニュー、マウンテン名物の甘味スパゲッティである。「りんごスパ」。太麺のパスタに絡んだりんご味のソースとシナモンがアップルパイを思わせるスパゲッティ。ホイップクリームとリンゴの甘煮もたっぷりと乗っている。食べた感想は、「アップルパイをホールでいった感じ」だそうだ。旦那さんはあわや遭難するところだった。

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琵琶湖

その後、滋賀県に入ったところで、琵琶湖を見ていく事にした。琵琶湖を見るのは2人とも初めてだった。広い。海だった。水平線が見える。砂浜もある。

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しかし、これが海でなく湖だという証拠に、打ち上げられた流木が芽吹いていた。塩水ではないのだなあと実感する光景だった。

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うどん「すじかま」

そして夕方、やっと兵庫県有馬温泉の宿に到着した。素泊まりの宿を選んだので、食事は外でである。この近くに詳しいシャーマンの師・松木さんに「有馬温泉に行ったなら絶対行くべき」うどん屋「すじかま」さんを教えてもらっていたので、行ってみる。温泉街から車で10分ほどだ。

山の中の幹線道路沿い、町もないがポツンポツンと建物が建っている道沿いに一軒の土蔵のような作りの建物があった。駐車場がやけに広いが、その時間は平日の夜でもあり、他に車はほとんどなかった。そこがうどん屋「すじかま」さんで、中は広く、天井も高く、巨木の一枚板を渡した机が目を引いた。

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注文したのは「ごまだれうどん」。この時期に冷たいうどんだが、松木さんのおすすめメニューである。

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注文前から、お通しのうどん生地の素揚げやきゅうりの漬物とタクアンが、一口食べただけで驚くような美味だったのだが、ごまだれうどんは…サクサクの天かすをごまだれに絡めつつもちもちのうどんを啜ると、止まらなくなった。食レポができるようなグルメな語彙力がないのが悔やまれる。サイドメニューのすじ丼もホロホロの牛すじとシャキシャキ感を残した玉ねぎが熱々の卵とじにされていて、この食事だけでこの旅に来た甲斐はあったと思われた。うどんの概念を覆すうどんだった。
有馬温泉に来たのなら、食べないと旅行の楽しみが何割か損するうどんである。是非行ってほしい。

有馬温泉

12日と13日に泊まるのは、兵庫県は有馬温泉の素泊まり宿「康貴」である。素泊まりだが風情があるし、温泉が6つもありそのうち4つが順番に借りられる貸し切り温泉という充実ぶり。

有馬温泉には赤色の含鉄ナトリウム塩化物強塩高温泉である「金の湯」、透明なラジウム温泉である「銀の湯」の2種類の湯が湧き出している。温泉街を少し探索してから貸し切りの「銀の湯」に入った。車中泊と長時間のドライブで強張った体に、柔らかいベッドは染み込むように熟睡した。

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温泉に入る前に少し探索した夜の有馬温泉郷。懐かしさを感じる土産物屋で、名物の炭酸せんべいを購入した。湯元のライトアップもしていた。

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11月13日 結界回収

13日は鳥取県のとある山奥へ。

9月末に松木さんの活動団体「マザーアース・エデュケーション」主催のネイティブ・アメリカンの儀式「ヴィジョンクエスト」で訪れ、一晩山の中に籠り飲まず食わずで祈り続け、ヴィジョンを視たその場所に向かい、儀式の折に使用した結界を回収し、焚き上げた。1ヶ月半、風に吹き晒され、祈りを届け続けてくれた結界は煙になって天に昇っていった。

ヴィジョンクエストの時視て、聞いて、感じたことはいずれ別の機会に話すかもしれない。夏の終わりには、暗闇の森に朝が来て緑の洪水に変わった森だったが、1ヶ月半で樹々は紅葉し、祈った場所に生えていた小さな木々も親指位に成長し、自然の移り変わりを感じさせられた。

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その他のこの森で撮った写真はこちらの記事にまとめたので、紅葉の風景を堪能したい方は是非どうぞ。(「みんなのフォトギャラリー」にも登録しています)

帰り路(大山の麓)

帰り路は大山を眺めながら有馬温泉へ。大山の麓の道の駅で昼食をとり、自分の家用のお土産に、クロモジ茶、しいたけ醤油、めかぶ入り浅漬け塩などを買う。これがとても美味しい。特にしいたけ醤油はプレーン玉子焼きにつけるだけで料亭の味なのでオススメ。

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すじかま 2日目

有馬温泉まで帰ってきたのは夕食の時間だったが、「すじかま」があまりに美味しくて、別の料理も食べたくなり、リピート。天ぷら盛り合わせと「温すだちうどん」を食べた。

天ぷらは、「舞茸ってこんな味だったのか」と素材の味を初めて知ったような逸品。蓮根を塩で食べたが、蓮根には香りと旨味があると初めて気付かされた。そしてすだちうどんがまた絶品。すっきりとしたすだちの酸味と、皮の苦味が出た汁は、天かすが入っても油っぽくなく、うどんを堪能した後全部飲んだ。

すじかまに月1でも来れるのに、と兵庫県に住んでいないことを悔やんだ。

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有馬温泉 2日目

有馬温泉の2日目は、「金の湯」に入ってみた。真っ赤なお湯がボコボコと湧いている。熱めのお湯に入ると、強い温泉独特の効能が体に染み込んでくるような感覚がして、湯あたりギリギリまで浸かってから、ポカポカになって出た。体を拭くと手拭いに赤い微粒子が付き、付けたまま出られないのが勿体無いと思いながら出た。当然ながら泥のように眠れた。

11月14日 一路、帰宅

旅行の日程は終了、とはいえ帰るまでが旅行である。

7時に有馬温泉を出発し、家までぶっ通し8時間。もちろん休み休みでないと無理なので、PAに止まり止まり帰る。

京都近くのPAで八ツ橋が売っていたので好物である八ツ橋の生皮(ニッキ味)を買って貪っていたが、旦那さんは硬い焼き八ツ橋でないと認めない派だったので苦言を呈された。

19時までに猫を動物病院に迎えにいかなければならないので余裕を持って出たが、東京近くの事故渋滞でギリギリに。なんとか間に合って猫を引き取り帰宅。

これにて旅行終了、と思いきや、余程心細かったらしく、猫は家中をナオナオ言いながらうろつき周り、やたら甘えん坊になっていた。まあ、一晩経ったら治っていたので問題なかった。

今度こそ旅行終了である。自動車旅行はなかなか疲れると思ったが、小回りは聞いたので現地で色々楽しめた。西日本や、今回あまり見られなかった近畿地方などにもまた行きたい。

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長文の旅行記をお読み下さり有り難うございました。
有馬温泉と「すじかま」はおすすめです。機会があれば、是非訪れてみて下さい!

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