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*DAY4 ダリ・トリップ / 1月17日(Fri) ---5

不安はなくなり、人の優しさに触れて再び元気に。さぁ、Bubó に向かおう!いつも通りにマップを開いてルート検索。
書いてある駅の路線を見て周りを探すと、改札外にその線は見当たらない。まさかと思い、先ほど出た改札の中を見ると……
やはり、その中にあるホーム。あんなに出たかったさっきの改札を、出ないままが正解だったことが判明。改札を出ずにそのまま電車に乗れたのだ。

「おお……。」2人で顔を見合わせる。私たちはてっきり改札内は長距離列車だけだと思い込んでいて、改札外に行くことになんの疑いもなかった。今日の一連の流れを思い返してみると、2人でいることに安心しすぎているんだと思う。自分だけだとしたら行動する前にいちいち確認すると思うのだけど、2人の「多分そう」が合わさると、なぜだか強い自信になる。

しかし、私たちを助けてくれたおじさんはまだ改札内の同じ場所にいた。あれだけ手を振った手前、おじさんがいる前を通って戻ることができない私たち。気のせいかまだこちらに視線を感じるし、どうしたって、また改札に入ったらおじさんの目に入ってしまうだろう。
外に出ようとしていた私たちを助けてくれたのに、また入るんかいという風になると、おじさんが間違えたみたいになってしまう。こんなとき同じ言語が話せたら、「出るんじゃなくてこっちが正解だったみたいで、ハハハ」と会話して通り過ぎればいいけれど、今の私たちにうまく伝えられるとは思えない。目の前を通ったらおじさんが「あれ?どうしたんだろう」と思ってしまうよね……。少なくとも、私がもし逆の立場だったらそう思う。多分また心配する。

ついさっきまであんなにハッピー!だったのに…… なぜこんなに身を隠すことになる?自分たち、何をしているのか。
しかし、そうこうしている間にも時間は過ぎる。おじさんの名誉にかけて、もう改札内には戻らない、と私たちは決めた(謎の気づかい)。

少し歩けばバスや電車の別ルートが出てくるはずだと思い、私たちは駅の外に出た。
バルセロナ・サンツ駅は駅舎ビルの上部がホテルになっているみたいで、駅自体もとても立派。駅の前も広いロータリーで、急に都会に戻ってきたな、と思った。駅上のホテルが気になって調べてみたら、すごく近代的でスマートなホテルだった。こんなシュッとしたホテルにビジネスの用事で来てみたいものだな。


少し歩いた場所から地下鉄に入り、やっとBubóに向かうための電車に乗った。急いでいるのに、謎の遠回り。でもあそこではもう、おじさんの前を通るという選択肢を2人とも選べなかったのだから仕方あるまい。

Bubóはボルン地区にあり、一昨日行ったサンタ・マリア・ダル・マル教会のすぐ近く。お店の存在はガイドブックを見て知っていて、一昨日お店の前を通りかかったとき、ここは絶対おいしいお店だ!と確信した。お店の雰囲気、人の入り具合、入口から見えたスイーツ。これは食べてみたいなぁ、と思い、今日あらためて訪れることにしたのだ。

なんやかんやしていたおかげで、到着したのは閉店1時間前。こんな時間ではもうケーキの種類が少ないのでは?と心配しつつお店に入ると、ショーケースにはたくさんの輝くケーキたち!良かった〜。
選べる種類の多さに胸が高鳴り、思わず笑みがこぼれる。こんな時間なのに、ここまで選択肢をくれるなんてありがとう。つややかなイエローに惹かれ、ケーキはレモンパイに決定。それと大好きなマカロンもあったので、ピスタチオをオーダーし、飲み物は紅茶にした。

紅茶は様々な種類のティーバッグが入った箱を持ってきてくれて、そこから好きなものを選ぶことができた。「Tila Night」という名前とライラックのパッケージに惹かれてそれにしたら、シトロンの風味がして思いがけずレモンレモンな組み合わせになった。
私は普段の生活でも何かを選ぶ際に名前で決めることが多いし、面白そうな名前があると頼みがちである。特に旅行だとなおさらチャレンジ精神になるのかも。

そんな私とは対照的に、mamiさんはしっかり味を見て選んでいた。アールグレイとか、ダージリンとか、ちゃんと味がイメージできるもの。このお茶の選択だけでも、それぞれの性格がよく出ている。

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レモンパイはレモンムースの上にカリカリのメレンゲ、下には硬めのクッキー生地。ムースは酸味があり、味がしっかりしていて濃厚。
ピスタチオのマカロンも甘さがちょうどよく、「おいしい」という感想しか言えないくらいパッと食べてしまっていた。食欲が全面に出てさらりと食べてしまい、おいし〜い!と思っていたらもうなかった。もう1つくらい食べたかった。

店内の雰囲気も落ち着いていて上品。素敵なお店だったなぁ。
ちなみにBubóは日本にも表参道にお店がある。日本に帰国してから表参道にもあるんだ!と思ってインスタを見ていたら、なんだか見たことがある。
数年前、「夜の巷を徘徊する」でバレンタインチョコを買うためにマツコさんが訪れた回を見ていたのだった。表参道のお店にも行ってみたいな。


お腹も満たされ、今日絶対行きたいと思う場所は行けたので心にゆとりができた。時間は20時前で、まだほかのショップは開いている。行きたかった雑貨屋さん「OMG」が近くだったので行ってみよう。

この辺かな〜とウロウロするが見当たらず、マップを見ながら歩いていたけど、どうやらその場所を通り過ぎたみたい。
あれ、通り過ぎた?今見た中にそんなお店あったかな、と折り返して戻る。マップをしっかり見ながらピンのついた場所で立ち止まると、閉まっているお店に貼り紙。なんとホリデー中で開いていなかった……!看板が閉まっていたのでお店の存在に気がつかなかった。ネットで見てもクローズの情報は分からなかったので、今この瞬間に目の前で知り、残念すぎる。

これはもう仕方ない。やっぱり今の時期は、1年の中でもお休みの時期なのかなぁ。
でも少し歩いてみると、明かりがついているショップが並んでいた。気を取り直し、雑貨屋さんやキャンドルショップ、古着屋さんなどをちらちら覗いた。良い感じのお店がたくさん並んでいて、見ているだけでも楽しくなった。日本だと何も言わずに入り、そのまま出ることが多いけど、こっちは入るときには「Hola~」と言い、出るときも「Gracias」と言う。それだけでも少しの緊張感と、笑顔のコミュニケーションがある。1つのショップに入るだけで1つの思い出。

まだ見たいものはあるけれど、21時近くなりお店も閉店なので、ホテルへ戻ろう。明日もこの辺に来る予定なので、残りはそのときに。
列車移動の時間が長かったからか、いつもより足は疲れていない。口の中が甘いなぁと思いつつもお腹は満腹だ。明日はまた別の、おいしいものを食べたいな。



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