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教養・ノンフィクション

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#エッセイ

『規則より思いやりが大事な場所で』 カルロ・ロヴェッリ

『規則より思いやりが大事な場所で』 カルロ・ロヴェッリ

本書は、『時間は存在しない』や『世界は「関係」でできている』などの著者である物理学者のカルロ・ロヴェッリが、2010年から2020年にかけてイタリア、イギリス、スイスのメディアに発表したエッセイを一冊にまとめたものである。
著者による「はじめに」と題される一文に、本書の内容及び本書が伝えんとする事が分かりやすく述べられているので、ほぼ丸写しとなるがここに引用したい。

科学、文学、宗教、詩といった

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『ロシア語だけの青春』 黒田龍之助

『ロシア語だけの青春』 黒田龍之助

代々木駅東口。駅を出て道を渡った先には、雑居ビルが立ち並ぶ。その店舗と店舗の間に、狭くて古い階段が。

道案内で始まるプロローグを読みながら、自然とその歩幅に呼吸が合っていく。
狭い階段を上って行き着くのは、小さな語学専門学校。著者が高校時代から通い、後に講師も務めていたミール・ロシア語研究所だ。
本書はこのロシア語学校の物語、そして著者の「ロシア語のことしか考えていなかった青春の日々」が、瑞々し

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『牧師、閉鎖病棟に入る。』 沼田和也

『牧師、閉鎖病棟に入る。』 沼田和也

本書は、牧師の沼田和也氏が、3ヶ月の精神病棟への入院を通して見知ったこと、学んだことを綴ったエッセイ/ノンフィクションである。

幼稚園の理事長兼園長としての仕事に忙殺されストレスが爆発してしまった氏は、妻のすすめに従って精神科の病院に入院する。

自分自身が入院患者となったことで、今までの自分が牧師としての役割とはいえ、その溝を自覚せずに「わたしたちは一つになって祈っている」と思い込んでいたこと

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銀河の片隅で科学夜話

銀河の片隅で科学夜話

『銀河片隅で科学夜話』 全卓樹

各回10ページ弱ほどで、短時間で読み切るのにちょうど良いサイズ。

数学、物理学、天文、生物学など、科学の様々な分野の興味深い事柄を、筆者ならではの温かみとユーモアをもって日常的な景色に溶け込ませた、詩的な科学エッセイ集である。

セピアカラーの挿絵も美しく、筆者もおすすめしているように、夜寝る前のひとときや通勤電車の中で、一話ずつ読むのに最適の一冊だ。

この本

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