見出し画像

仙台育英vs慶應 センバツ2023 どこよりも詳しく見どころ解説

第95回選抜高校野球大会
2回戦 仙台育英(宮城)vs  慶応(神奈川)

最強投手陣に挑む強力打線

昨年夏に甲子園を制した仙台育英。

尾形・橋本・山田のセンターラインと4番を打つ佐藤陽
優勝メンバーが多数残った「最強世代」が今年のチームである。

しかし、それでも昨年秋は苦しんだ。
宮城大会で東北に敗れ、県内11連覇ならず。
そして東北大会は4試合すべてが接戦。

その中でもセンバツ出場を果たせたのは、間違いなく投手陣の活躍だ。
高橋・湯田・仁田、いずれも140km/h台中盤の速球が武器の好投手。
そして甲子園経験も豊富な強力すぎる本格派3本柱は、今大会出場校の中でも最強の投手陣と言えるだろう。

投手データについてはこちらの記事を参照ください。
2023年センバツ出場校の投手力をデータ分析 マニア向け|甲子園ラボ|note

対する慶応は強打を武器とする攻撃型チームだ。

清原和博氏を父に持つ三塁手の清原が注目されるが、チーム全体でも秋の公式戦では12試合で本塁打15本、チーム打率.384とハイレベルな打撃成績を残している。

打撃データをセイバーメトリクスで分析した結果、チームOPSが出場校中2位、チーム長打率が出場校中1位となった。
秋の神奈川大会では横浜の好投手・杉山投手から12安打を放つなど圧巻の打棒を見せつけた。

打力データについてはこちらの記事を参照ください
2023センバツ出場校データをセイバーメトリクスで戦力分析 打力編|甲子園ラボ|note

宮城vs神奈川

過去のセンバツで宮城県勢VS神奈川県勢の対戦は1度もなく、
今回が初対決となる。

また意外な事に、夏の甲子園で仙台育英は過去1度も神奈川県勢に勝利できていない点も、データとしては面白い。

そして夏の甲子園においても神奈川県勢で過去、宮城代表に敗れたのは1校のみ。その唯一敗れた1校が慶応である点も何かの縁だろうか。

投手力比較

仙台育英
仙台育英には上述の通り、高橋・湯田・仁田という甲子園経験豊富な強力3本柱がいる。3人とも140キロ台後半のストレートを武器に、三振も取れる左右の本格派だ。
須江監督は継投でつなぐのが基本路線なだけに、3人とも登板する可能性は高い。投手力では仙台育英が慶応を上回ると言えるだろう。

高橋と湯田の両右腕はともに長身から投げ下ろすMAX147キロのストレートとスライダーが武器でコントロールも良く、非常に安定している。
サウスポーの仁田もストレートの球威がすばらしく、3人の中でも最もパワーを感じさせる。

慶応
慶応はサイドハンドの技巧派エース松井、本格派の小宅というタイプの違う両右腕を軸に秋の大会を戦った。
松井は球速は130キロ台中盤で決して速くはないが、多彩な変化球を操る技巧派だ。中でも左打者の外に沈むシンカーに注目したい。
また新2年生の小宅は140キロのストレートと切れの良いスライダーが武器だ。非常に打たれ強く、ピンチでも動揺しないメンタルの強さにも注目だ。

神奈川県大会では準々決勝以降で東海大相模、日大藤沢、横浜と強豪校との連戦により失点が増え、チーム防御率は悪いものの投手力は決して低くはない。

打力比較

仙台育英
昨夏の中心メンバーでもあった橋本・尾形・山田・佐藤陽を中心とした打線はスピードとパワーを兼ね揃えて、非常にバランスが取れている。
中でもトップバッターの橋本は昨夏の甲子園でも打率.500を残した俊足の好打者である。
ただ、秋は甲子園経験豊富な4人が不調に陥り、公式戦11試合で10点以上は2回だけでチーム打率も.288と物足りない成績だった。
本来は力のある打線なだけに、一冬越えて若き名将・須江監督がどのように仕上げてくるかに注目したい。

慶応
慶応打線は何と言っても秋季大会12試合で15本塁打の長打力が光る。
秋はとにかく上位から下位までバットを強く振れている選手が多かったの印象的だった。
渡辺・加藤・福井と続く中軸は全員が本塁打を打てるパワーが売りだ。そして注目の清原が下位打線にいるのも強みの一つだ。
清原は先日の明石商との練習試合で場外ホームランを打っており、状態の良さが伺えた。
この強力打線を引っ張るキーマンは1番を打つ丸田。
非常に俊足で、丸田が出塁すると攻撃のバリエーションが一気に増えるだけに、丸田が出塁出来るかがこの試合のキーポイントになりそうだ。

この試合のポイント

投手力の仙台育英 vs 打力の慶応
という分かりやすい構図の両チームだが、総合力で見ると仙台育英がやや上回るか。

秋は本調子を発揮できなかった仙台育英打線ではあるが、須江監督は冬の間に反省点を踏まえて改善してくるだろう。

一方の慶應は投手力でやや劣るとは言え、強力な打線を誇り、本来の力が発揮できれば今大会で数少ない「仙台育英投手陣を崩せる可能性のあるチーム」の1つである。

そういう意味では仙台育英にとって初戦から難敵が相手であると言えるだろう。

この試合のポイントが「仙台育英投手陣vs慶應打線」であることは間違いない。

しかし筆者は逆に「慶應の投手陣が仙台育英を最少失点に抑えられるか」を最大のポイントと考えている。

仙台育英投手陣を攻略するには、平常心を持たせないことだ。
「1点ならあげても良い」という余裕を持たせてしまうと、なかなか攻略は難しい。

慶應投手陣が最少失点で切り抜けて、仙台育英に余裕のある状態で継投させない展開に持ち込む事で勝機が生まれてくる。

「1点もやれない」というプレッシャーの中で投げさせてこそ、隙が可視化されてくるはずだ。
慶應としては僅差で終盤勝負に持ち込んで、数少ないであろうチャンスで一気にビッグイニングを作りたい。

逆に仙台育英はプレッシャーの少ない場面で得意の継投を行う為にも、序盤から主導権を握る展開にしたい。
昨秋のように序盤のチャンスを生かせずに、主導権を握れないようだと慶應に流れが傾く可能性もある。
それだけに大振りして打ち上げず、コンパクトに低く強い打球を心掛ける必要がある。
その為には、慶應投手陣のボールになる変化球の見極めが出来るかをこの試合のポイントに挙げておきたい。


昨年夏の優勝監督インタビューで
「青春ってとても密だから」
という須江監督のコメントが感動を呼んだ。

あれから半年が経ち社会ではマスクが解禁されはじめ、甲子園での応援の声援も解禁された今大会。

観客の歓声の中、両校には戻ってきた甲子園を賑わせる好ゲームを期待したい。

甲子園ラボ


この記事が参加している募集

#スポーツ観戦記

13,520件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?