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高松商 vs 九州国際大付 どこよりも詳しく見どころ解説

第104回 全国高校野球選手権大会
3回戦

高松商(香川)vs九州国際大付(福岡)

スラッガー対決!
怪物・浅野はどんな打撃を見せるのか

強力な打線が売りの両チーム。
高松商は噂通りの強力な打線で打撃戦を制した一方で、九州国際大付は息詰まる投手戦。
初戦は対照的な試合で勝ち上がった。

注目は何と言っても高松商のスラッガー浅野、そして九州国際大付の2年生スラッガー佐倉の強打者対決だ。

浅野で感心したのは2本のホームランでも、真上に打ち上げた滞空時間6.3秒という高いファールフライでもない。昨年から見続けている打者だけに彼の凄さは十分に把握している。
試合後のインタビューで彼が最も熱を込めて語ったのはホームランではなく、最終打席の二塁打についてだった。そのコメントに筆者は感心した。

「3本目を狙うと良くない打撃につながる。最終打席は低い打球を打つよう心がけました」

この意識を持っている限り、次の試合でホームラン狙いで大振りになってしまう事もないのではないか、と考える。

初戦の勝ち上がり

高松商は長野・佐久長聖と対戦。
佐久長聖の先発・広田投手に序盤3回は1安打と抑え込まれたが、2巡目からはキッチリ対応。4回に2点を先制して主導権を握ると、その後は浅野の2本のホームランで完全に流れを掴んだ。終盤には4番本田にもホームランが飛び出し長打で佐久長聖を圧倒。結果的には先発全員の16安打で14-4で勝利した。

試合のキーマンは間違いなく1番の浅野だ。
打席での迫力、スイングスピードともに高校生レベルではない強打者と言えるだろう。
1本目は逆風をついて右中間最深部へ、2本目は完璧に捉えてレフトスタンド。
そして冒頭でも述べた通り最終打席はレフトへの二塁打と手のつけようがない状態だった。

また浅野だけではなく井桜、渡辺、本田の強打、そして浅野に繋ぐ9番横井のしぶといバッティングが光った。

投手陣はエース渡辺(和)、大室の左腕2人のリレーで逃げ切った。投手陣は打たれるものの粘りの投球を見せたが、内野守備陣の4つのエラーは反省材料だ。


九州国際大付は初戦で高知・明徳義塾と対戦。
明徳の変則サウスポー吉村投手の好投もあり、自慢の打線が5安打に抑えられた。勝利はしたが九州国際大付の打線が攻略したとは言えない内容だった。
序盤に明徳義塾に1点を先制されるが、3回4回に1点ずつ得点をあげ、そのまま逃げ切り2-1で接戦をものにした。

勝因は何と言っても背番号11の左腕・香西の好投だ。センバツではエースとして甲子園を経験しているだけに、終始落ち着いた投球を見せた。ストレートは120キロ台と速くはないが、多彩な変化球と抜群のコントロールで丹念にコーナーギリギリを突いて明徳義塾に的を絞らせない「高校野球のお手本」のようなナイスピッチングだった。

特に右打者の外角にしずむスクリューボールのような緩いチェンジアップは、見せ球にも決め球にも使える「魔球」と言っても過言ではない。
九州国際大付には他にもこの夏の福岡大会で好投を続けてエースナンバーを勝ち取った右の本格派・池田がいる。香西とはまた違うタイプの好投手がいるというのもチームの大きな強みだ。

この試合のポイント

強力打線を擁する両チームの対戦。
5、6点勝負の打撃戦が期待される。

ただ投手力と守備力を加味した総合力では、戦力はわずかに九州国際大付が上回るか。

この試合の最初の注目ポイントは九州国際大付の先発投手だ。右の強打者が多い高松商に対して右の池田でくるか、初戦同様に左の香西が投げるのか。どちらも好投手ではあるが、個人的には高松商打線と香西投手の対決が見ものだと感じている。右打線には右投手というのが定石ではあるが、フライアウトの多い高松商打線にとって、緩急で前後に揺さぶる香西は最も苦手なタイプの投手だと感じるからである。

そして何と言ってもスラッガー浅野の打撃である。順当に行けば15日の最も客入りの良い日の試合で、初戦の活躍から浅野の打撃に注目が集まるのは間違いない。その中での一発は球場のムードを変える一打になる。
観客の声援を後押しに、流れが一気に高松商に傾く可能性もあるだけに九州国際大付バッテリーとしては配球に気をつけたいところだ。

また高松商としてはエース渡辺(和)は好投手ではあるが、決してゼロで抑えるタイプの投手ではない。それだけに九州国際大付打線に対して、ある程度の失点は覚悟しないといけない。
明徳・吉村投手のようにコーナーを突く丁寧な投球でピンチを最小失点に抑えたい。

初戦で封じ込められたとは言え、小田原、黒田、野田、佐倉と続く九州国際大付の上位打線は力がある。中でも注目の2年生佐倉は初戦ノーヒットながら、やはり一発で流れを変える力がある。それだけに高松商バッテリーとしては配球に気をつけたいところだ。

また高松商は初戦4エラーしたが、強力打線を相手に無駄な走者を溜める事だけは避けなければいけない。

どちらの打線が相手投手を攻略するか!?
浅野、佐倉からホームランは飛び出すのか!?

見どころたっぷりの楽しみな一戦だ。

甲子園ラボ

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