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Study Groupで学ぶ「フィードバック」の極意

Study Groupとは

九月、MBAがスタートしまし。入学直後、5人のメンバーで構成されるスタディグループが発表されました。最初の2学期間の全科目の課題を一緒にこなすメンバーです。毎日数時間以上、この5名で一緒に過ごし、課題の話し合いをしなくてはいけません。

国籍や仕事のバックグラウンドなど、なるべく多様性を重視して学校側がこのスタディグループを作ります。衝突する可能性の高いグループ構成となっています。

私達のグループは、アメリカ人の男女1名ずつ、イタリア人男性1名、インド人男性1名と私でした。

アメリカ人の2人は若く、人間的には成熟していない面を感じることもありました。アメリカでは、はヨーロッパより若くMBAに行く傾向があります。またINSEADはヨーロッパの外では無名なので、ヨーロッパ人の学生に比べてアメリカ人でINSEADに来る人は、経歴的には見劣りするように感じます。やはりMBAの本場はアメリカです。

イタリア人はマッキンゼー出身の秀才で、彼が実質のグループのリーダーでした。

インド人はエアバス出身のエンジニアで、年齢もやや上でした。INSEADの学生の平均年齢は20代の後半です。彼は、少し周りから浮いていました。

Study Groupで感じた「差別」

同じメーカー出身、アジア人ということで、私は心理的にはインド人の彼が好きでした。

ただ、グループディスカッションで彼が発言すると、アメリカ人の若い2人が、あからさまに嫌な顔をしたり、2人で視線を合わせて肩をすくめたりしていました。

私は残念ながら、ほとんどスタディグループのディスカッションに貢献できませんでした。そのため、インド人のように周りと対立することさえなかったです。

フィードバックを伝える

それでも、インド人に対するアメリカ人2人の態度が嫌でした。

組織論(Organizational Behaviour)という授業で、スタディ・グループのメンバー同士がフィードバックをしあいました。

私はアメリカ人の前では言いたくなかったので、インド人だけを授業の前に呼び出して、本音を伝えました。

彼は興奮して話し始めると周りが見えなくなるので、ポイントを先に言って周りの反応を見ながら話した方がいいのではないか、と。

逆に、アメリカ人に対しては、「その子供っぽい態度、どうにかして!」と思っていましたが、表面的なフィードバックを伝えただけで本音は言いませんでした。

Feedback is the present

MBAを卒業し、ドイツのアマゾンで働いていたときのことです。

アマゾンでは、1年に一度同僚にフィードバックをする人事制度がありました。

部長が、チームミーティングで、「フィードバックは贈り物(Feedback is the present)。好きな人にはプレゼントをあげて。嫌いな人にもプレゼントをあげて。」と言っていました。

この言葉を聞いたとき、Organizational Behaviourの授業で習った様々な、フィードバックを与えるテクニック(①ポジティブなフィードバックを伝えてから、ネガティブなことも伝える。②フィードバックは事件が起きたらできるだけ早く、等)の本質はこの言葉だ、と思いました。

フィードバックというのは、相手を思いやってのみするものなのだ、と部長の言葉から改めて気づかされました。

現実としては、自分の言うことを聞かない同僚に「八つ当たり」や「好き嫌い」をするために、フィードバックを使う人も多かったです。

私は、それはやめようと思いました。

好きな人にプレゼントをするのは気持ちのいいものです。相手の成長を願って、気が付いたことを誠意あるフィードバックとして言えます。

難しいのは嫌いな相手へのフィードバックです。嫌いな相手にプレゼントをしたくないように、自分の誠意が伝わるようなフィードバックをするのは難しいです。

ただ、祖母が生前、「憎い鷹には餌を上げよ」と言っていました。嫌いな人にこそ、プレゼントをあげるのが処世術なのかもしれません。


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