人形狩り人形と魔窟の主(#16)
(承前)
「数日も経てば、この魔窟は奴らに荒らされて何も残るまい。我らの収穫は、その二冊のファイルだけか」
淡々とオートマトンが呟く。責めるでも失望するようでもなく、ただ事実のみを語る。死神は追いかけて来ない。既に気配も感じられない。太陽光に動じない❝死の影❞も衆人環視の中で物騒なことをする気は無いということか。それは結構なことだと思う。思いたいが。
「さて、既に推進剤は使い切った。ここからどうやって帰ればいいのやら」
一難去ってまた一難か。推進剤が無ければ歩いて帰る