見出し画像

人形狩り人形と魔窟の主(#13)

承前

相棒が死神を足止めしている間に、僕にはやらねばならない事があった。この部屋の机と本棚を漁る!金目の物があれば最高だが、そこに転がっている二度目の死を迎えたばかりの死体が残したレポート類か、参考にした文献でも残されていれば文句なしと言える。

「ヴォルフガング、火炎放射器の燃料も残り少ない。手短に頼むぞ」

まずは机!こちらには即物的な宝物が眠っていそうな気がする。少なくとも、魔窟の手勢によって割られた僕らの事務所の窓ガラス代になりそうなシロモノを探り出さねばなるまい。手始めに下の引き出しから順番に開けていく───。

整頓されたファイルが入っている。
ファイルが入っている。
ファイル。

「相棒!この机、ファイルしか入ってない!」
「不死者の机だ。生きている人間にとっての財宝など無くても当然かもしれない」

背表紙の題名から判断して価値のある研究結果が残されていそうなファイルを幾つかピックアップするしかなさそうだ。

続く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?