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人形狩り人形と魔窟の主(#9)

承前

干からびた男の濁った双眸が何かを捉えた。
僕の目には捉えられない何か。
相棒が「人の形をした空気の淀み」と表現した何かを。

「ヴォルフガング、そやつから離れろ!」

干からびた男───、魔窟の主が呻き声をあげる。まるで見えない何者かに攻撃されているような。たった今、僕に両手両足を切り落とされても微動だにしなかった男が、涙を流しながら見えない何かに対して謝ろうとしている。胴体から、四肢からは青い燐光が立ち昇る。

「青い炎……。あんた、❝呪い人形❞だったのか」
「……そうだ、私は死んだことによって彷徨える魂が循環する流れを確かに捉えた。そして自分の死体に改めて乗り移ったのだ」

叶うならば生きているうちに真理に辿り着きたかったがな、と魔窟の主は自嘲気味に呟いた。

「俗に言う❝お迎え❞がやって来た。私にしか見えない死神。罰を免れても、罪からは逃げられない。私を動かす青い炎を嗅ぎつけて、どこまでも追いかけてくる……」

続く

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