人形狩り人形と魔窟の主(#10)
(承前)
どうも、ヴォルフガングです。今までの話を要約すると、こういう事です。
❝リッチ❞が❝ゴーレム❞を作っていました。
以上です。
「こんな時代だ。ゾンビやミイラに出会っても驚かない自信があったのに」
「まるで旧世紀のコンピューター・ゲームの世界だな」
干からびた男、魔窟の主、リッチが完全に沈黙した。その死に顔は、眠りに就くように穏やかだった。背後でガラガラとけたたましい騒音が聞こえる。大会議室の❝呪い人形❞が動き出したのかと思い背後を顧みる。直立不動の体勢をとっていたはずの全ての甲冑が、倒れるか擱座している。まるで主人の旅立ちを嘆くように。その悲しみに耐えかねるとでも言うように。
「……ヴォルフガングよ。そこの男に跨っていた空気の淀みが立ち上がった。こちらに接近しつつある」
僕の視界は相棒のセンサーとは異なるものを捉えていた。
螺旋。空気、いや空間そのものが渦巻いて。まるでワリバシに巻き付くミズアメのように。
(続く)
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